神々の罪8
飲んだくれ男と別れると、二人の神は再び歩き始めました。
地中海の沿岸。
アナトリアの半島や、
キンメリアの荒涼とした大地を歩みました。
そして山を越えて、ゲルマンの鬱蒼とした森に差し掛かった時、力強きアース神が彼女を見つけ出して捕らえました。
彼らは若き女神に暴行を働き、生贄の様に木に吊るしました。
オーディンはその時旅に出ていて留守でした。
偉大な雷の神トールも、その頃東の森で巨人たちとの闘いに明け暮れていて不在でした。
「嘘つきのローズルよ、何故我らの楽しみに加わらなかった?何故黙って見ていたのかね?」
アース神族の一人が、黒い一つ目玉の神にそう尋ねます。
「だって僕の一物は皆さん程にたくましくないんだもの。」
奇術師ローズルの返答にアースの男神達は笑い、足踏みしました。
ちょうどその時、オーディンが長い旅から帰還しました。
新たなる知識を携えて帰って来たのです。
彼は一つしかない眼を見開いて驚きました。
「これはどうした事だ!運命のもたらし手マナートが罪人の様に吊るされている。どう言う事だ。」
「皆さんが魅入られたんですよ。欠けゆく月の魅力にね。いつ消えてしまうか分からない、細い女の身体には目がないですものねぇ皆さん。」
一つ目玉を細めながら話すローズル。
そのずんぐりした身体を細かく震わせて彼は続けます。
「もちろん心に純粋さを満たすこの僕はこの恐ろしい出来事に関わりはないですよ。変化を欲した女神がいましたもので、連れてきた次第でございやす。こんな恐ろしい“変化”になるとはついぞ知らず…」
「なあ、他ならぬ我が弟よ。どうか答えておくれ。お前はその恐ろしい変化を食い止めるために、何かしなかったのかね?ただ見ていただけ?それで自分は何も関わりがないと?なあ他ならぬ弟よ、答えておくれ。」
統合するものローズルはただ、三日月の様に細めた一つ目をもっと細くしました。
「彼女の二人の姉、アッラートとアル・ウッザーに知られる前に何とかしなければ…」
偉大なる神々の長は呟きました。
まさにその時、力強い稲光の主トールが緑の王国の森に帰ってきました。
彼は木に吊るされたものを見るなり叫びました。
「畜生共!頭を掲げて俺の元に来い!その頭蓋骨を叩き割って屠ってやるぞ!」




