神々の罪6
マナートはローズルと共に歩みました。
彼らは道中で出会う、様々な生き物たちや街々の様子を見つめました。
また、道ですれ違う人々と交流しました。
行く末を知る者マナートはその満月の様な瞳でもって、世界中の色を見ました。
そして二人の姉と歩んでいた、灰色の道を思い出して、ため息をつきました。
「道は美しい。木々は美しい。獣は、鳥は、人は、歌う声や笑う声は美しい。」
彼女は言いました。
黒く、刺繍がついた服を着た人形の様なマナート女神。
その姿こそは欠けゆく月。
指の間から表情を読み取る者ローズルは、ソーセージの様な太い指で行く先を示します。
「あそこだよ!あそこに違いない。赤い星が付いているよ。あの塔の先端を見て!きっとあそこがアカの人達が暮らす、天国なんだよ!」
ローズルは弾むような動きで、その灰色の都市へと近づきました。
「……。」
マナートは静かに見つめます。
黒衣の少女は長い銀色の髪を寒風に任せます。
意を決して彼女は歩を前へと進めました。
ローズルは街へ入ると、慌てた様子で姿を変えました。
古き女神マナートはそれについていきます。
沢山の人々が出入りする大きな市場があります。
パンや小麦粉、蕎麦の実が並んでいました。
「僕の好きなソーセージはあるかい?ベーコンでもいいよ。」
黒い頭のローズルは少年の姿で、市場を歩きながら歌うように言いました。
冷たい風が吹き、変身お化け、ローズルの鼻をひくつかせます。
「ひっくし!」
くしゃみをした物真似お化けの近くを通り過ぎて、運命の采配者マナートが進み出ました。
粉雪が舞い始めた市場のはずれ。
一人の男が道端にうずくまり、へたり込んでいました。
マナートは近づいて言いました。
「お腹が空いているの?」
男はガクガクと震えながら手を伸ばしました。
「ウォッカを…ウォッカを下さい…もう一日も飲んでいません…」
二人は目を見合わせました。




