神々の罪4
偉大なる女神。
運命のもたらし手マナートは率先して足を踏み出して、森のはずれにある教会に近づいていきました。
門の直ぐ側で神父が、赤いワインの瓶を持って酔い潰れています。
黒き月マナートはその表情を遠目に見ます。
その顔に後悔の念が張り付いてあるのを見て、しばし佇みました。
道化の先祖たるローズルは彼女についてきて、神父に尋ねました。
「こんにちは! 君はどうしてそんなに酔っ払っているの?」
神父は声のあげ主を一目見るや絶叫しました。
「ぎゃー! 一つ目おばけ!!」
「しまった…」
ローズルはため息をつくと、まぶたの無い眼を不思議なやり方で閉じました。
そしてくるりと一回転します。
瞬く一瞬の間に、その姿は変貌しました。
黒い髪の、小さな少年の姿になったのです。
少年はその碧の瞳で神父を見ました。
「どうかなさったのですか?」
神父は何回もまばたきをしながら、変身の術を行使した狡猾な神を見つめました。
「いや、何でもないです。見間違いだったようだ。」
ローズルは声変わりする前の少年のような声で、神父に再び問いかけました。
「あなたはどうして酔ってるの?」
神父は道化師の総領に答えて言いました。
「答えが無かったんだよ。」
碧い眼のローズルは三度尋ねました。
「あなたはどんな問いに対して答えが無かったの?」
そう、白い首を傾げて尋ねます。
神父は答えました。
「そこに私の家族が眠っている。弔う者はいなかった。私こそが弔う者だったのに、自分自身の家族を弔う方法が分からなかった。」
そう言って銀の粒のような涙を流しました。
ローズルとマナートは神父が指し示した先を見ます。
土の盛り上がりがあり、木の枝で十字架が立てられていました。
「泣いているということは、それは悲しい事だったんだね。」
俳優の祖ローズルの尋ねに神父が頷きます。
「良かったら聞かせて。」
緑の風マナートの願いに神父は応じました。




