14話 ストーンガーディアン
──竜の迷宮・第十四階層、雪に埋もれた屋敷。
「……屋敷、か?」
扉を開けた冒険者たちの前に現れたのは、雪に覆われた古びた屋敷だった。木造の壁は風雪に晒され、所々が朽ちている。しかし、内部は意外にも整っており、かつての住人の痕跡が残っていた。
「何か、出てきそうだな」
カイが肩の火狐を撫でながら呟く。その言葉通り、屋敷の奥から小さな足音が近づいてくる。
「ゴブリンだ!」
ヒルダが短剣を構え、即座に一体を仕留める。ラグナの剣が閃き、次々とゴブリンを倒していく。しかし、現れるのはゴブリンばかり。強敵の気配は感じられない。
「……これで全部か?」 
リヴィアが周囲を見渡すが、他の魔物の気配はない。屋敷内をくまなく探索しても、出てくるのはゴブリンのみ。
「おかしいな。これまでの階層に比べて、あまりにも手応えがなさすぎる」
ユズが眉をひそめる。冒険者たちは首をかしげながらも、屋敷内のゴブリンをすべて討伐し、十四階層の安全地帯へと向かった。
「明日は十五階層か。ゴブリンだけってことはないだろうな」
バルドが地図を広げながら言う。リヴィアが頷きながら答える。
「十四階層がゴブリンだけだったからといって、次も同じとは限らない。むしろ、ガーディアンのような強敵が待ち構えている可能性が高いわ」
冒険者たちは警戒を強めながら、十五階層への準備を整える。
__________
──翌日、十五階層の扉を開けると、そこには十四階層と同じような屋敷が広がっていた。しかし、空気は明らかに違う。
「何か、いる……!」
ラグナが剣を構えた瞬間、屋敷の広場の上空から巨大な影が降り立つ。それは、以前戦ったガーディアンよりもさらに巨大な体を持つ魔物だった。
「ストーンガーディアン……しかも、二体もいる!」
リヴィアが青ざめながら叫ぶ。そのステータスは、これまでの敵とは比較にならないほど高かった。
【ストーンガーディアン】
体力:1570/攻撃力:1401/防御力:2514/魔力:1006/運:108
魔法:土魔法
スキル:なし
「こんな化け物、どうやって倒すんだ……!」
「まっ魔王種・・・!」
バルドが叫ぶが、ユズが冷静に指示を出す。
「全員、集中しろ! 一瞬の油断が命取りになる!」
冒険者たちは必死に戦い、時間と労力をかけてストーンガーディアンを一体ずつ倒していく。その戦いは、まさに死闘だった。
誰かが死んでしまうことがあってもおかしくないほどにストーンガーディアンの強さは異常だった。
──そして、長い時間をかけながらもなんとか勝利。冒険者たちはギリギリの状態でストーンガーディアンを討伐し、レベルアップを果たす。 
【ラグナのレベルが2上昇しました】
体力:814/攻撃力:753/防御力:514/魔力:431/運:301
新スキル《烈煌剣・天閃》を獲得しました
【フェリスのレベルが2上昇しました】
体力:780/攻撃力:765/魔力:317
【セリスのレベルが2上昇しました】
体力:724/攻撃力:765/防御力:541
【ヒルダのレベルが2上昇しました】
体力:659/攻撃力:652/魔力:192
【カイのレベルが2上昇しました】
体力:811/魔力:671/召喚獣上限+1
【ユズのレベルが2上昇しました】
体力:601/攻撃力:741/統率力+スキル効果強化
【リヴィアのレベルが2上昇しました】
体力:741/魔力:567/分析・支援魔法強化
【バルドのレベルが2上昇しました】
体力:702/攻撃力:500/耐久力+自動回復強化
「この成長……普通じゃない……」
リヴィアが結界球を見つめながら呟く。
「迷宮が……俺たちを強化してる。これは試練か、あるいは……」
ガロスが目を細める。
「報酬、なのかもな」
ユズが静かに言った。
「何回言うのよ」
「ごめんなさいね」
──人間の限界を超える成長。しかし、それは同時に、死のリスクすら跳ね上がることを意味する。
「でも……もう、後戻りはできない」
ラグナが立ち上がり、剣を肩に担ぐ。
__________
──十六階層。扉を開けると、そこには再び廃村が広がっていた。しかし、現れるのはゴブリンばかり。冒険者たちは一瞬で討伐し、十六階層の安全地帯へと向かった。
「今回の戦闘、異常すぎる……」
カイが呟く。
「敵の強さが異常すぎるため、レベルがかなり上がることは助かるが、敵の強さがどんどん上がっていることに恐ろしさを感じる」
冒険者たちは食事をとりながら、これまでの戦闘を振り返る。その表情には、達成感と共に、不安と恐怖が浮かんでいた。
「この先、何が待ち受けているのか……」
ユズが呟く。冒険者たちは、再び剣を手に取り、次なる階層へと足を踏み出すのだった。
次回の投稿は明日の7時半にします
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