寂静生活
何のために生きているのか。なぜ生きているのか。生きている意味とは何なのか。己の意味を知らぬまま、私は今日も生きている。自分は何をしたいのか。自分に何ができるのか。己の意思をも知らぬまま、私は今日も生きている。
「私って何?何者なの?私なんかに意味があるの?」
今日も憂鬱になりながらそう自問自答をする。
「私なんかに何かあるわけない。何もないんだ。」
カーテンを閉め切った暗い部屋で、一人ベッドに横になってそう呟き、布団を頭から被る。
カーテンの隙間から光が漏れ出す。陽が昇ったのだろうか。何気なく数日ぶりにカーテンを開ける。輝く窓から目を背けながらも、そっと光へ近づく。窓の外には人影が見えた。その人はそっとこちらへ振り向いた。そして微笑んだ。その瞬間、体に電気が流れるのを感じた。ビビビと感じるものがその人にはあった。
「ねぇ君、名前なんて言うの?」
彼は不意に語りかけてきた。ああ、私なんかに構ってくれる人がいたのか。そう思った。これまで社会になじめず、人間関係も上手く構築できず、一人部屋に閉じこもり続けてきた。私に興味を抱いてくれてさらに話しかけてくれる人なんてこれまで存在しなかった。いや、この世界にそんな人は存在しないと思っていた。
「……あ、…えっと……」
上手く喋ることができない。喋ろうとしたのはいつぶりだろうか。名前すら言えないなんて幻滅されてしまうだろうか。だが彼は私を温かく受け入れてくれた。
「僕はミズナ。初めまして、よろしくね。」
そう言って彼は笑顔を見せた。これが始まりだった。ここから全て動き出したのだ。
彼と出会った後、私の日々は変わった。彼が外へ連れ出してくれた。美味しいものを食べさせてくれた。一緒に映画を観た。豪華なご飯を食べた。私の生活に明るい光が灯った。明日が楽しみになった。次はどんな楽しいことが起こるのかとわくわくするようになった。彼は私に尽くしてくれた。私だけを見ていてくれた。雨が降っても雪が降っても彼は私に会いに来てくれた。思いが高鳴り、ふと言葉が漏れる。
「君と会って、全てが変わった。」
暗い部屋に一人閉じこもっていた日々。そこから解放して生きる楽しみを教えてくれた。ありがとう。
私の生きる意味は何なのか。ずっと考えてきた。彼と出会って見つけた。彼が教えてくれたのだ。私を見つけてくれてありがとう。私を変えてくれてありがとう。
これからもずっと私に寄り添っていて。
私を一人にしないで。ずっと支えていて。
いつ何時でも私だけを見ていて。
君は私のたった一つの支えだから。
「ずっと私の希望でいてください」