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Love is over the times~愛は時空を越える~  作者: 佐久間五十六


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72/80

守るべきもの、守るべき信条。

100年後の子孫が自分を利用したと言う事は信次郎は結婚するという事を示しているものであった。事実、信次郎は3年後の6月に29歳で結婚し、その2年後の31歳の時に第一子となる男の子を。その2年後の33歳の時に第二子となる女の子をそれぞれもうけている。妻は良くできた人間で、仕事と家事を両立するバリバリのキャリアウーマンだった。


その後の信次郎の人生はタイムスリップ騒動に巻き込まれる様な波乱に満ちた人生にはならなかった。ごくごくありきたりな普通の人生を過ごして行く事になる。信次郎自身はこの事に対して何の不快感も抱いていなかった。平和と平穏をこよなく愛する彼にとって見れば、満足の行く人生であったと言っても良いかも知れない。


しかし、ここで疑問が一つ残る。何故時四郎は信次郎の未来を変えたかったのか?と言う事である。いくらタイムスリップ技術があるとは言え、信次郎の過去や現在をいじる危険性は、確実に時四郎の人生も危険性を秘めている事は分かりきっている事である。それをも覚悟で時四郎は信次郎の人生を変えた。


目的は一体何だったのかそれは闇の中、とは行かないがそれは物語のラストで紹介する事にしよう。信次郎と時四郎にはもう少し語っておく部分がある。


さて、信次郎は日常に戻っていた。会社と家の往復ではあったが、今は守るべき妻と子供がいる。仕事の方はうだつが上がらない状況であったが、何か表立って大きな何かが変わっていた訳ではない。だが明らかに信次郎が歩むはずではなかった人生が用意されていた。勿論、その事を信次郎が知る由は無いだろう。


だが、それはそれだけは確実に言えた。具体的には信次郎は出世して社会的な成功を得る事になった。信次郎の人柄からすれば、まず100人が100人あり得ない社会的な成功と言える。経営者となり、社会的な成功者となった信次郎は、その事に関して満足していなかった。本当は平社員で良い。だがそうも言っていられない。求められるものと信条が違っても家族を守る為には歯を食いしばる必要もあった。

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