祖父の祖父の祖父 米田剛乃新
B班は米田信次郎の祖父の祖父の祖父にあたる人物を、おおよそ特定する事に成功していた。
時空支配人なる者からのミッションを見る限り、一人でこなせと言う限定条件はない。期日内にミッションをこなせばそれで良いだろうと信次郎は解釈した。
まずはかなり情報が特定出来たB班に同行し、自分の先祖に会ってみる事にした。引き続きA班には相野姓の人物を探し、信次郎が戻るまでに行動がとれる様に準備しておく様に命じた。
さて、B班は信次郎の先祖を知らないのにどうやって特定したのか?答えは簡単である。江戸で米田を名乗る人物が少数だったからだ。名前は米田剛乃新と言うらしい。この辺りでは名の通った名家の様で、信次郎からは想像も出来ないお堅い人間であった。祖父の祖父の祖父と剛乃新の血など何%も引いてもない遠縁の先祖なのだから仕方無い。
剛乃新の屋敷に来た信次郎は驚いた。実家で見た家紋と剛乃新の屋敷にある家紋が全く同じなのである。先祖の名前は知らなかったが、その家紋だけはよく覚えていた。下調べは七三吉の家来に任せても良いが、この剛乃新に話をつけるのは、信次郎の仕事であった。と、言っても話を少し聞いてサインを貰い、時空支配人に会った事を証明するだけの事なのだが…。
最初のうちは緊張していたものの、剛乃新は案外話の分かる人物で思っていた様な堅物ではなかった。名前のサインにも快く応じてくれた。ただ、剛乃新には一つ引っ掛かる事があると言う。
「しかしながら何故君の様な未来の人間がこの様な所に?」
「信じていただけるかいただけないかは、それは分かりませんが、気が付くとこの時代にいました。誰が何の為にこの様な事をさせているか、理解に苦しみますがそれでも私は次に進まねばなりません。ご協力感謝致します。」
「そうか…。まぁ無理はするなよ。」
「はい。では失礼しました。」
こうしてB班の活躍により、②のミッションは何とか半月程度で達成する事が出来た。