ブラックアウト
「あんたはソノカワって言ったっけ?何をしに来たの?」
「米田信次郎をタイムスリップさせる為に来た。言ってみれば君は実験台だ。」
「次は何時代だ?戦国時代か?平安時代か?もう好きにしろ‼」
「ネタを明かしては面白くも何とも無いだろう?」
「これが人類の発展に役立つとでも言いたそうな口ぶりだな?」
「時空を支配しているのは我々の方だ。君に勝機はない。」
「'我々'だと?」
「私は沢山いる時空メンバーの一人だ。」
「また訳の分からない集団に目をつけられてしまったな。」
「それもまた運命だな。だが諦めろ。もう御主には選択の余地はない。」
「ここでのミッションはもう終わりなんだろ?よく分からないが?」
「そうだな。信次郎には別の時代に行って貰おう。」
「貴様の一存で決めて良い事なのかよ?」
「構わんさ。これでも組織のNo.2だからな。」
「是非ともこの壮大な実験が終わったなら聞きたいものだな?」
「何を?」
「この実験がどう人類の発展に役立つのかをな。そして一発殴ってやるのさ。時空支配人とやらを。」
「命まではとらないが、実験の後は好きにしろ。」
「よく分からないが、あんたら何をしたいの?」
すると、ソノカワは姿を消していた。周囲を見渡しても、誰もいない。ソノカワとの会話は信次郎にとってかなり大きなインパクトがあった。自分をこの様な時代に放り込みミッションをさせ、達成すると次のミッションへと叩き込む。
相手の素性が少し分かりかけた所で姿を消すのはどうもやり方が汚い。時空副支配人…って、ホテルかよ?とツッコミを入れたくなったが、今の信次郎にはその余裕は無かった。
人類の発展に役立つとは、また随分大きな話だなと思いつつも、きっとタイムスリップが何とかと言っていたのは確認した。ようやく、彼等の狙いが人間を時空移動させる事である事を信次郎は理解した。
しかし、何の為にそんな事をしているかまでは分からなかった。きっと時空支配人には色々な目的があるのかも知れないが、まだ情報が少なすぎて、そこまで考えが至っていないのは確かであった。
そんな事を考えていると、辺りが暗くなってきた。今日は何処で眠ろうか心配していたのであるが、その心配は不必要であった。目の前が少しずつ暗くなるのと同時に信次郎は横になった。そこで彼は突如意識を失った。まるで誰かに魔法をかけられたかの様に…。




