時空副支配人ソノカワ
何とか日光東照宮までは辿り着いた信次郎であったが、とりあえず辺りをウロウロする事にした。まだ夜明けまでは少し時間があったが、どこへ行けばこうなると言う確証が無かった。
「見猿、言わ猿、聞か猿」等、あらかたポイントだと思われる場所を探して見たが、特に何の変化も起きて来無かった。
この時代の日光東照宮はどうやら、一般庶民がレジャー感覚で訪れるものでは無い事が日が上ると分かって来た。警備の人間もおらず、大きな建造物を数人の通行人が通るだけと言う様子であった。
「本当にここであっているのか?」
そんな疑問も出てくる様に何事もなく1日が暮れようとしていた時だった。信次郎は何処から聞こえて来るのかも定かではない「こっちだよ!」と言う妖精の声が聞こえるのを確かに察知していた。その証拠に砂時計が共鳴するかの様に光を放っていた。信次郎は案内通りひたすら歩いた。きっとその方向には自分の目的を達成する為の何かがあるに違いはないと。一時間程歩いた辺りで声が聞こえなくなった。そして周囲を見渡すと一人の男が立っていた。
「よくぞ、ここまで辿り着いたな、米田信次郎。私は時空副支配人のソノカワだ。」
「あんたら一体何がしたいんだ?」
かなり高圧的な態度でソノカワに接する信次郎。
「詳しい事は私の及び知る事では無いからな。まぁ、焦らずともその内分かるよ。」
「人の人生を持て遊んで楽しいか?」
信次郎はかなり感情的になっていた。
「これから起こる全ての事をトータルして君を試しているのさ?」
「実験台って訳か。」
「まぁ、それを否定する気はない。」
「これは全て全知全能の時空支配人様の意向だ。」
「それと俺に何の関係があるって言うんだよ?ったく。」
「それはその内分かる。」
「頼むから自由にしてくれよ!それに俺にはまだやらなくちゃならない事がある。」
「そんなものは時空支配人様とは何の関係も無い。」
「つくづく勝手な奴だな?」
「まぁ、これも運のつきって訳さ。でも君は幸運だよ?1億2千万人の日本人の中から選ばれたんだ。光栄に思った方が良い。」
「どんだけ運悪いんだよ?で?どうすれば俺は自由になる?」
「それはミッションを全てクリアしたら、と言うよりそれしか道はないだろう。」
「時空支配人に会ったらフルボッコにしてやる。」
「まぁ、その内意味は分かるよ。点と点が繋がり線と成るように。」
「全ての伏線回収は最後まで付き合わないと分からないってか?」
「そう言う事だ米田信次郎。物分かりは良いみたいだな。」




