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三題噺もどき3

今日の朝

作者: 狐彪

三題噺もどき―よんひゃくななじゅうきゅう。

 


 窓を叩く音で目が覚めた。


「……」

 昨日から雨が降ったりやんだりしている。

 一部地域はもう梅雨明けしたそうだ。少し前に梅雨入りしたばかりだと思うのだけど。あっという間にも程があるな……でもそうでもないのか。梅雨時期なんて言うて、六月いっぱいだけと考えればそんなものか……。

「……」

 カーテンのひかれた窓からは、微妙な光が漏れている。

 ということは、曇って空は暗いが夜ではないのだろう。

 晴れた空の光も眩しいが、こういう時の光も異常に眩しく感じる。外に出るときに思わずしかめるほどに。

「……」

 雨粒が窓を叩き続けている。

 ずっとこんな調子だから、おかげで頭が痛い。

 それも激痛というわけでもなく、微妙に痛いなぁ……ぐらいの軽いもので。薬を飲むにも飲めず、ただ何となく耐えてみるぐらいの感覚。

 地味につらい……。

「……」

 というか、腕も痛い。

 膝も若干軋むのだけど……。

 っておぁ。

 珍しく変な姿勢で寝ていたらしい。

「……」

 膝を抱え込むような形で眠っていた。

 その状態で、布団の上に横になっていたのだから、下敷きになっていた右手が痛い。

 曲げられて固定されていたせいで、膝がズキズキとしだした。

 心なし右肩も痛くなりだした……。

 とりあえず、縮んだようなこの姿勢を崩そう。

「……」

 そう思い、とりあえず右手を引き抜きながら、体を仰向けにする。

 関節が軋む感覚が痛みとなって全身に響く。

 思考は冴えていくが、最悪な目覚めだな。

「……」

 しかしまぁ、起きたものの。

 体が重い上に、頭も重い。

 頭痛と関節痛のせいではあると思うけど。

 なんというか……寝た気がしないのだ。

「……」

 たしか。

 昨日の夜も雨が酷くて。

 頭痛も酷くて。

 布団に入ったはいいモノの寝るに寝れず。

 ぼうっとしていたんだけど。

「……」

 そうしていると、余計なことに思考が回るのが私で。

 あることないこと考えだして。

 終末論でも唱えているのかというぐらいに、終わりの事を考えだして。

 もしかしたら、この雨のせいで何かが起こってるかもしれない。

 洪水に巻き込まれているかもしれない。

 視界の悪いこの大雨で事故に巻き込まれているかもしれない。

 今に電話が鳴るかもしれない。

「……」

 そのまま堕ちるところまで落ちたまま、寝てしまえればいいのだけど。

 いらん事ばかり考える癖は、どうにも一生治りそうにもなくて。

 ぐるぐるとそこからまた別の事まで考えだして。

 今すべきではない後悔をしてみたり、意味のない予想をしてみたり。

「……」

 あぁ、でもそのままいつの間にか寝たのだろう。

 考え続けるにしても私には限界があったらしい。眠気が襲えば眠くなるし、体がちょうどいいぐらいの温度になれば、自然と目は閉じている。

 それでも、なんとなく何かが怖くなって。

 あんな姿勢で寝ていたのだろう。

「……」

 おかげで最悪な目覚めになってしまったが。

 まぁ、仕方名がないということで。

 変なことを考える私がよろしくないと言うだけで。

「……」

 痛みも徐々に落ち着いてきたし。

 起きて動くとしよう。

 雨でどこにも行けやしないが。

 いつも通りに過ごしていればいいのだ。







 お題:抱え込む・堕ちる・終末論

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