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 子犬ちゃんが王子……私が彼に色々してきたことを思いだした。いくら、知らなかったとはいえ――それは王子に対してするようなことではない。


「失礼いたしました……ベルーガ・ストレーガ殿下」


 先輩に捕まる子犬ちゃんにスカートを持って、会釈した――しかし、その姿を見て子犬ちゃんは苦笑い。


「やめて、ルーチェちゃんはいつものように接して、変にかしこまらくていいよ」


「え、でも。私は知らずとはいえ……ベルーガ殿下に色々と失礼な事をしてしまって……いま思い出しても、恥ずかしい」


 その私の言葉に、黒い霧を纏ったシエル先輩に気付かず。私はあせって、ベラベラと話してしまう。


「ベルーガ王子を可愛いと抱っこしたり、モフモフのお腹に顔を埋めたこともあったし、可愛いお尻も尻尾も撫で、それに……」


「ま、、ま、まって、待て、ルーチェちゃんそれ以上は言わなくていい!」


 子犬ちゃんは慌てて小さな手を振り、私の言葉を阻止した。


「それは、もう済んだことなんだから、シエルもそう怒るなよ」


「別に怒っていない――少し、羨ましいだけだ」

「羨ましいって、シエルさん、それは本音?」


「本音だ!」


「だったら、私はシエルさんの香りが好きだから、ハグしたり、膝枕、デート……お腹に顔は……埋めたいかな……あ、それ、ちがっ」


 スルッと変なことが(願望)口がら出てしまい、両手で口を覆った。驚き表情の先輩と笑うラエルさん、ニシシッと子犬ちゃん。


「シエル、気を付けろ。ルーチェちゃんのスキンシップ、結構激しいから」


「茶化すな、ベルーガ!」


「ちょっと待って、私のスキンシップは激しくなんかないから。それに子犬になら誰だってするでしょう? しない? するよね」


「本物の子犬になら……するかもしれないが。コイツにはしない」

 

「僕もしたくないです」 


「お前らしろよ、今のオレはモコモコ、モフモフで、触り心地がよく、なにより可愛い!」


 キラキラな笑顔で、自慢げに言う子犬ちゃん。


 ウンウン、可愛い。子犬ちゃんの言う通りモコモコのモフモフだよ――絶対する、しないの? するわけない。しない。と言い合う。その横で、子犬ちゃんはお腹を抱え笑っていた。


「絶対するもん!」


「ク、クク、ルーには負けるなぁ」


「そうだね。フフ、ハハハッ……兄貴以外と言い合うのは初めてで楽しいね、……でも、ベルーガ、兄貴、ルーチェさんも。夜も遅いから、早く大切な話をしなくちゃいけないかも」


「そうだな、ラエル」


 

 


 


 私達は奥のキッチンに移動して話すことにした。先輩がキッチンで紅茶を入れ、テーブルについたラエルさんが話をはじめる。


「ルーチェさん、いまから大切な話をするね。ベルーガはいま元気にしてるけど……仔犬の姿にされ、そのうえ元婚約者に呪いをかけられているんだ……んー、魔力訓練を受けていない、ルーチェさんには見えないと思うけど。子犬の額に……ん? んん? どうして? あ、兄貴、ベルーガを見て」


 先輩はラエルさんに言われて手を止め、子犬ちゃーをじっくり見た。一瞬目を開き。子犬ちゃんを持ち上げお尻、お腹、顔、を何度も角度を変え、2人で確認しはじめる。


 いきなり、体をチェックされた子犬ちゃん。


「ちょっ、シエル、ラエル、ルーチェちゃんの前でこの格好はやめろ、恥ずかしい!」


 子犬ちゃんがいくら"やめて"と言っても、二人はやめずに、体のあちこちを確認する。


「おかしい。額に見えていた呪いの魔法陣が消えている……しかも、魔法陣が半分以上……雑に何かで拭き取られている。どういうことだ? ベルーガ?」


「お、オレに聞かれても知らないよ!」


 子犬ちゃんは首を振り、次に先輩は私を見た。


「ルー、お前……ベルーガに何かしたか? ほら、体を触るとか、何かで拭くとか?」


 何かで拭く? そういえば。


「このまえ泊まりに来た時に2人でじゃれあって、汗をかいたから、タオルで子犬ちゃんの体は拭いたけど……」


 先輩とラエルさんは顔を見合わせて。

 

「「それだ!」」


 と、声をハモらせた。

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