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 外は夕暮れ時を迎えている。


 私はその光景に驚いていた。カランと空っぽの丼がテーブル上に転がり、丼から満足げに顔を上げた子犬ちゃんはコロンと寝転がり。


「キューーッ」


「ええ、ごちそうさま? もう、あの大盛りの量を食べたの? 食べすぎだよ、子犬ちゃん!」


「キュン!」


「美味しかったって……お前も、ルーと同じで食いしん坊だな」


「ちょっと、先輩、子犬ちゃんと比べないで!」

  

 



 食べ過ぎの子犬ちゃんはタオルの上で、横になり寝息をたてている。日が暮れ、部屋の中をキャンドルランタンの淡い光がみたす。


「キャンドルランタンか、それもいいが。ルーにこれを持ってきたんだ。よかったら使って」


 シエル先輩がポンと手を叩くと、その手の中には魔法屋で見たあの魔法のランタンと、ライトの魔法が一回使える杖と、ほかの魔法が使える枝の束ーー石鹸、化粧水、ハンドクリームなどがあった。 


「先輩、これどうしたの?」


「ん? 魔法屋でじっくり見ていたんだろ? 弟から聞いた、俺からルーへのプレゼントだ」


 ーープレゼント?  


「貰って、いいの? ありがとう、シエル先輩」


「ああ、枝使ってみるか?」


 私は頷き貰った枝を握りめて、それを振り上げて唱えた。


「ライト!」

 

 枝に仕込まれた魔法陣が浮かび上がり、丸い光の玉が複数目の前に浮かぶ。これは魔力を持つ者だけが唱えられる魔法だ。


 ーー私が憧れている魔法。


 その【ライト】の光りはすぐ消えると、思っていたのだけど。ライトの明かりは消えず、プカプカ浮かび、部屋の中を照らし輝いてた。


「きれい、とても綺麗だわ。シエル先輩、素敵なプレゼントをありがとう」


「ハハッ、喜んでくれて良かったよ……」

 



 +

 



 紅茶を飲みらお菓子をつまみながら、話をしていくうちに半年前の話になった。


 先輩は私の舞踏会での、話を聞いていくうちに目がすわり。


「カロールとリリーナ、親衛隊の奴ら、ルーの両親はあいかわらず酷いな……ヤルか」


 どこらか出したのか杖を握り、物騒なことを言う。


「仕方ないよ、なるようになっただけだもの。それより先輩に貰った何でも入るカバンと、羽が生えるワンピースは凄かった」


「あぁ、無限収納カバンと、守護魔法とか色々魔法をかけたワンピースか……あれ、役に立ったのか?」 


 私はコクリと頷き。


「すっごく、役に立ったわ。屋敷を出るとき、カバンにたくさん物が詰めれたの。お父様が部屋にきて慌ててバルコニーから飛び降りた、そのとき、背中に羽が生えて庭に下ろしてくれたわ。ほんとーーあのときはお父様のほかに、王の側近の魔法使いが屋敷に来ていたから焦った」



「はあ? ルーはバルコニーから飛び降りたぁ? そんな、無茶をしたのか」



「だって、逃げるのに必死だったから……」



 ふと、その話をしていて新聞の内容を思い出した。


「ねえ、シエル先輩、新聞に書いてあったことって、ほんと?」


「ん? カロールがルーを探しているというやつか……ほんとうだ、アイツは何を考えているのか分からん」


 きっと私を牢屋に入れるために探しているんだ……婚約破棄されて、私は家からも追い出されたのだから。殿下の温情で、そっとしておいてくれてもいいのに。


「ルー、髪飾り使ってくれてる? あとブレスレットも」


「ええ、出かけるときに使っているわ。そうだ、港街と魔法屋で『会いたくない奴が近づいている』って、何処からか声が聞こえたのだけど……」


「そうか……それら二つには俺の魔法がかかっている。頼む、変に思わずその声に従ってくれ。したがえばカロールから必ず逃げれるから」


 私は「はい」と頷く。学園の時に助けてくれた、シエル先輩が言うのだもの。

 

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