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 福ちゃんと裏庭で別れて部屋に戻り、玄関と部屋にかかるキャンドルランタンに、火をともした。


「子犬ちゃん、戻ったよ」


 声をかけても静か、子犬ちゃんは私のベッドでスヤスヤと眠っていた。その可愛い寝顔をながめ夕飯の準備にとりかかる。


 キッチンでさっき買ってきたパンと、子犬ちゃんには朝食用のバナナとオレンジをきった。

 

 もともとこの部屋はニックさんが住んでいた部屋で、最新の魔導シャワーはある。だけど店で食事を済ませるからか、飲み水のはいった水瓶とシンクだけ。私も店が休み以外は、店の厨房を借りて料理しているので困らない。


(そうだ、子犬ちゃんの寝床を作らないと)


 使っていないカゴとバスタオルを出して、ベッド傍の空いたスペースに置いて、飲み水も用意して、キッチンに戻り作りおきの、水出し紅茶を小さな冷やし庫から取りだした。


 子犬ちゃんが目を覚またのか足元で鳴き、お腹が空いたと、一生懸命に短な前足で催促した。


「キューン、キュン」

「いま、ご飯にするね」


 子犬用に切ったバナナとオレンジの皿を置くと、子犬ちゃんはいただきます、"キュン"とひと鳴きしてお皿に飛び付いた。私も紅茶とパンの袋を持ち子犬の隣に座る。


「さあ、一緒に食べようね」

「キュン!」


 買ってきたくるみパンはふわふわの生地に、カリカリのくるみが贅沢に練り込まれていた。一個では足りなくて、もう一個、もう一個とパンに手を伸ばした。


(このパン、水出し紅茶とあって美味しい。また、買ってこよ)


 自分の食事に夢中で子犬ちゃんから目を話した隙に、たらないと朝食用の果物のカゴに頭を突っ込んでいる。


「あ、それは私と君の朝食の分だよ」


 そう伝えても、子犬ちゃんの勢いは止まらない。

 

 相当、腹ペコのようだ。


「キュンキュン」

「フフ、腹ペコならしかたない」

 

「キュン」


 久しぶりに1人じゃない休日の夕食は楽しかった。だけど、明日は仕事なのでそろそろ寝る時間なので、シャワーをすませて明日の準備をした。


「子犬ちゃん、そろそろ寝よっか」


「キュー」


 玄関のキャンドルランタンを消して、ワンピースを脱ぎ、髪を下ろしてパジャマ代わりのシャツと短パンのラフな格好になる。

 いつもならベッドに寝転んで、読書の時間なのだけど、今日は子犬をもふもふさせてもらった。


 ーーくぅっ、もふもふ。

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