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ルーチェが帰ったあと

　それはルーチェが港街から帰った、ほんの数分後のこと。荷馬車、馬を引き連れた一台の黒塗りの馬車が港街の近くを通った。

「ほお、ここにも街があったのか」

　馬車の客車に乗る人物は紐を引き、外の御者に止まれの合図をだす。

　すると。

　馬車のそばを走っていた荷馬車、馬も止まる。

　しばらくして馬車から、黒いローブを身につけた切長の黒い瞳、黒髪の男が降りてきた。

　このローブの男はフードを深くかぶり、ため息をつくと。近くで待機している荷馬車、馬に乗る者に近寄り言葉を交わす。

「了解した」

　荷馬車、馬に乗っていた複数の人が港街、辺りに散っていく。そして、ローブの男も馬車に一礼すると、みなと街の商店街に消えていった。

　どうやら、この黒塗りの馬車に乗る人物が指示を出したようだ。