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第8話 そのクマは冬を越さない(5)

「えっと、これで。いいのよね。」

 サ―マリーは固い地面に木の棒で穴を掘り爆弾を埋め、上から土をかけて爆弾が見えないようにする。

「シノ! 埋められたわよ。」

 サ―マリーは大声で森の中でマンテングマを引き付けているであろうシノに呼びかける。

少しすると物音が近づいてくることを感じられたため、急いで陰に身を潜めてマンテングマが爆弾の上を通過するタイミングを覗う。


 少しするとシノがマンテングマを引き連れた爆弾を埋めた地点にやってくる。過ぎ去るシノと目が合ったら、サ―マリーは地面の爆弾を埋めた場所に向かって攻撃魔法を放つ。青白い閃光が爆弾を埋めた場所に突き刺さり地面で小さな炎が発生する。

(よし、点火はできたようね。)

 サーマリーは心の中で勝利を確信し拳を握る。しかし、マンテングマが通り過ぎたころに爆弾が爆発し、マンテングマは一度背後を振り返ったもののシノを探すように再び歩き始める。

「少し点火タイミングが遅かったかしら。といっても、導火線の長さもまちまちだし……。」

 サ―マリーはシノから渡された残りの爆弾を手に取り導火線の長さを見比べる。

「長さは近くても、同じように燃えるとは限らないのよね。」

 サ―マリーはピンポイントでマンテングマを攻撃するのではなく、複数設置してほぼ同時に起爆することで面でマンテングマを制圧することにする。

(3カ所もあれば同じようなタイミングで点火すればどれかに引っかかるでしょう。)

 サ―マリーは新たに2か所に爆弾を設置した後、1度目に掘った穴に爆弾を設置し同じようにカモフラージュのために土をかける。しかし、1度目の爆発で上にかぶせていた土は周囲に散ってしまい。十分に隠せるだけの土を集めることができなかった。

「ど、どうしましょう。」

 サ―マリーが焦っている間にもマンテングマが近づいてくる音が大きくなってくる。焦ったサーマリはとにかく爆弾を隠さなければという思いで周囲の砂利や落ち葉を爆弾の上に重ねる。

(とりあえず、これで爆弾本体は見えないわよね。)

 パッと見で大丈夫そうだと感じたらすぐに荷物をまとめて周囲の身を隠せそうな場所に身を寄せて、近づいてくる音の方を見るとマンテングマが1頭でゆっくりと歩いてくるのを見つける。

(ま、まずい。シノがいないということはやられちゃった?)

 早まる鼓動を抑えながらサ―マリーは攻撃魔法を放って爆弾に点火するタイミングを覗う。

(1,2,3,……)

「サ―マリー、点火できますか?」

 サ―マリーが迫ってくるマンテングマの方を見ながら心の中でゆっくりと数を数えていると、シノが背後から声をかけてくる。

「びっくりした。」

「すぐにできますか?」

「いや、マンテングマはまだ離れているじゃない?」

「いえ、私が連れてきたのですぐ側です。」

「えっ!」

 サ―マリーが爆弾を埋めた地点を振り向くとシノが引き連れてきたマンテングマが爆弾の上に前足を置こうとしている瞬間だった。

「え、えっと。」

 サ―マリーは言葉に詰まりながらも無意識のうちに攻撃魔法を発射する体勢に切り替えて、埋めて3つの爆弾それぞれに向かって攻撃魔法を発射する。


「棒立ちは危険。」

 攻撃魔法を撃つために立ち上がってしまったサーマリーの首根っこを掴み、後ろ倒しなるようにシノはサ―マリーを地面に伏せさせる。

 

 直後爆発が起こり、空気が圧縮されるのを体で感じる。

 サ―マリーはとっさに外圧から身を守るような体勢を取る。

 森の中に静けさが戻ってきたところでサ―マリーが爆弾の方を確認すると、そこには動けなくなったマンテングマが横たわっていた。

 爆弾はマンテングマがサ―マリーが砂利や発破で覆った爆弾の上に来たところで爆発した。たまたま適度な大きさ、固さであった砂利は高速でマンテングマの方へ飛んでいき、いくつかは逓減魔法の逓減力を突破して高速でマンテングマの体に刺さる。いくつかの砂利がマンテングマの急所を貫いたことでマンテングマの動きは止まった。


「やったわ。シノ! マンテングマを倒したわ。」

「でも、もう1頭いる。」


 もう1頭のマンテングマが落ち着きを取り戻しサ―マリーとシノを目掛けて歩調を早める。

「埋めている時間はないわね。爆弾を顔にでもねじ込むかしら。」

「なるほど。それは危険。だけどやるしかない。」

 シノが持っていた爆弾を手に取りマンテングマの方を睨む。

「口にねじ込む直前に持っている爆弾に点火できる?」

「なるほど、難しいわね。でもやってやるわ。」

 2人が立ち上がり、サ―マリーは攻撃魔法を放つ構えをし、シノは爆弾を手に持ち走り出す出す態勢を取る。


「その必要はないぜ!」

 攻撃を仕掛けようとした瞬間、2人を制止する声が響く。

「ベン!」

 サーマリーが振り返るとベンが開拓地の仲間を引き連れて戻ってきていた。


「サ―マリー。前!」

 サ―マリーに向かってマンテングマが勢い良く迫ってくる。

 ベンが2人の前に出て突っ込んでくるマンテングマに対して剣を立てる。


「師匠の言った通りだ。この攻撃方法なら、攻撃が通るな。」

 ベンはマンテングマを受け止めて剣を引き抜き一旦間合いを取る。


「兄貴たちが大砲というやつを完成させて向かってきている。2人ともギジロウさん達に合流してくれ。ここは俺たちがひきつける。」

 ベンはマンテングマに目を合わせながら2人に声をかける。


 その先には数頭のマンテングマがいた。


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