表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/62

第6話 眠らない熊(7)

 ギジロウ、ルース、ベンはベルの音が聞こえてくる、工事中の道を進む。

 すると途中で工事に従事していたベルを鳴らしながら道を戻ってくる男性とすれ違う。

 その男性に道案内され脇の獣道を進んでいく。

 男性たちは3人組で森の中に張ってある罠の状況を確認するため獣道を進んでいたら熊と鉢合わせしてしまったらしい。

(1人だけで呼びに来たということは、クマの対処法はみんなに伝わっているようだが。)

 ギジロウは2人でクマと対峙する仲間たちのことを想像し身震いがする。

「武器は何買っているかしら。」

「いえ、木の棒くらいしか。」

 獣道を曲がると、ジロウ、ルース、ベンはベルの音が聞こえてくる、工事中の道を進む。

 すると途中で工事に従事していたベルを鳴らしながら道を戻ってくる男性とすれ違う。

 その男性に道案内され脇の獣道を進んでいく。

 男性たちは3人組で森の中に張ってある罠の状況を確認するため獣道を進んでいたら熊と鉢合わせしてしまったらしい。

(1人だけで呼びに来たということは、クマの対処法はみんなに伝わっているようだが。)

 ギジロウは2人でクマと対峙する仲間たちのことを想像し身震いがする。

「武器は何買っているかしら。」

「いえ、木の棒くらいしか。」

 獣道を少し進むと、大きな声が森の中から聞こえてくる。

「声は聞こえるようだけどどのあたりかしら。」

「兄貴、あれだ!」

 ベンが静かに森のなかを動く黒い物体を指差す。

 ベンの指さす先には、前足で木に寄りかかりながら立ち上がり、しきりに木の上にいる何かを追いかけるマンテングマがいた。

 ルースは持っていた望遠鏡を取り出しマンテングマの方を見る。

「あの熊、一部体毛が無いわね。」

 ルースが差し出してきた望遠鏡を受け取りギジロウもクマの様子をよく観察する。

 ルースの言うとおり、体表のあちこちが小さく禿げており皮膚が見えている。 その皮膚は一部にしわが赤黒く寄り盛り上がっており明らかに異常な状態ではない。

(火傷の痕のようだな。)

 ギジロウは自分の左腕を見る。

 

 そして、木の上の方を見ると男性2人が昇ってこようとする熊を棒で突き返したり、声を上げて威嚇していた。

「俺の方でクマの注意を引くから、その間に上の2人を連れて逃げろ。それで、戦える人間を連れ帰ってきてくれ。ここでこのクマは倒しきる!」

 ギジロウはベンの方を見て指示を出す。

「わかったぜ。」

 ベンと男性はゆっくりとギジロウから離れて木の上の2人を逃がすために移動する。

「ルースも一緒に――」

「いえ、私はギジロウと一緒に囮をやるわ。」

「……。」

「だって、ギジロウは1人では戦えないでしょ。」

 結局、ギジロウは、いろいろなものを作り出すことはできても戦うことはできない。

(体力がついてきたとはいえ、さすがに厳しいか。)


「また、一緒に頑張りましょう!」

「あぁ! やるか!」


 ギジロウとルースは立ち上がり、ルースがベルを鳴らす。

 マンテングマは2人に気付き前足を地面に降ろしゆっくりとギジロウ達の方へ歩いてくる。

 ギジロウはマンテングマの目を見て、クマを落ち着かせるように声をかける。

「落ち着け、森へ帰れ。」

 クマは全くギジロウの言葉などは聞き入れず近づいてくる。

(1度人を襲っているから、人が弱いことがばれているか。)


「ギジロウ、3,4歩下がったところに罠の紐が張られているから気を付けて。」

 ルースが静かにこの先に丸太を落とすタイプの罠であることを伝える。

「すぐ後ろ、足を高く上げて大きく後ろに下がってちょうだい。」

 ギジロウは言われた通り罠の紐をまたぐ。

 しばらく下がるとクマも罠の位置に到達し紐に足が引っ掛かり上から丸太が落ちてくる。

 勢いよく落ちた丸太はクマに打撃を加えるように思えたが、ぶつかる直前に羽が落ちるようにフワッとした落下速度になりマンテングマの背中に上に置かれたようになる。

 丸太に気付いたのかマンテングマは立ち上がるような動作をする。

 マンテングマの背中でバランスが取れない丸太はそのまま地面に転がり落ちていく。

「やっぱり、逓減魔法ね。明らかにマンテングマの上で木の速度が落ちているわ。」

 事前にベンの報告どおり物理攻撃が通らないようにギジロウには見える。

 マンテングマとの間に少し見通しの良い直線ができてしまい、マンテングマが速度をあげて飛び掛かってこようとするためルースがギジロウ越しに攻撃魔法を撃ちこむ。

「やはり、手前に撃ち込むと一瞬怯んで動きが止まるわね。」


 その後も何回か周囲にある罠を利用して逓減魔法の突破を試みるがマンテングマに有効な攻撃を与えられず、張った罠を順番に消費していく。

 途中でルースが攻撃魔法で攻撃をしてみるが、いろいろな角度から攻撃の攻撃を試すが前回遭遇時と同じように効果があるように感じられない。


「このままではジリ貧だけど、どうする。」

 ルースも全く有効打が出ない状況に焦りを感じたのか、声を震わせながら次の行動をギジロウに求める。

「あと、攻撃をしていないのはどこだ。」

 ギジロウはマンテングマの目も見て動きに注意しながら次の一手を考えるヒントを得ようとする。

「えっと、えっと。」

 ルースはぶつぶつと体の部位を挙げては違うと自分で否定する。

「お腹ね。まだ、お腹は攻撃できていないわ。だけど、どうやって攻撃するの?」


「お腹か。どうやって狙うか。」

 4足で歩いているため普通にしているとお腹を見ることができない。お腹を見るならクマを2本足で立たせてさら出せるかクマの下に潜るしかない。

 ギジロウはルースにいってクマを下から覗けるような立体になっている場所がないか探してもらう。

「中に空洞ができている倒木があるわ。に入ってクマを上に誘い込むのはどうかしら?」

「やってもよいが、そんな脆そうな木がクマの体重に耐えられるのか最悪下敷きになる。それに木の中に入るのはルースだ。ルースにそんな危ない目に合わせる訳にはいかない。」

「そ、そうね。ありがとう。」


 残った手段はマンテングマを立たせてお腹を見せることだが。

(木に登ってしまうとクマが木の幹にお腹を密着させるからお腹が見えない。)

「ギジロウ、あの2本の木が途中でくっついている木に登るのはどうかしら?」

 マンテングマクマが立ち上がった時に胸くらいの高さで2つの木がくっつきい二股になっている木をルースが見つける。

「寄りかからせて隙間から攻撃魔法を撃ちこむのはどうかしら?」

「それだ。ルースの案でいこう。」


 ギジロウ達は少し急いで後退し、ルースから順番に木の上に登る。そしてギジロウは大きな声を出しクマの注意を引く。

「よし、予定通り木を登ろうと前足をかけたな。」

「わかったわ。」

 ルースはマンテングマの視線の外から隠れるように木の幹を下っていき。地面に飛び降りると攻撃魔法をおなかに向かって撃つ。


「やったわ。拡散されていないようよ。効いているわね!」


 マンテングマは木の幹から前足を離し4つ足に戻る。

 

 しかし、すぐにその巨体を幹に密着させて木の幹を掴み全力で幹を振り、ギジロウを振り落とそうする。

 ギジロウは振り落とされないよに体を倒し乗っている枝を抱きかかえるが、揺れでバランスを崩し脚と腕でぶら下がる格好になる。

 

(やばい、頭に血が昇って限界だ。ルースは逃げれたか。)

 

 ギジロウの視界の端ではルースが攻撃魔法を撃つように震える腕を前に構えていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
↑↑是非、反応ボタンだけでも押していってください!!↑↑
ブックマーク、ポイント評価もよろしくお願いします。
script?guid=on
小説家になろうSNSシェアツール ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ