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第4話 森の中の戦い(8)

「ギジロウ! 大丈夫かしら?」

 爆発の煙が晴れた頃、ルースがギジロウのもとに心配しながら駆け寄ってくる。

「俺は大丈夫だ。サーマリーは大丈夫か?」

 ギジロウは地面に埋められた爆弾に攻撃魔法で点火してくれたサーマリーが爆発から逃れられていたかが心配だった。

「飛んできた小石とかで傷が付いたようだけど、意識ハッキリしているわ。自分で歩けるようだったからシノとルッチに支えられて先にレンの元に向かっているわ。」

「そうか、無事なら良かった。」

 ギジロウが辺りを見回すと、爆発地点には大きなクレーターができており、敵の装備が散らばっておる。

「あまり、凝視はしたくない光景だ。」

「……まあ、仕方ないわね。ギジロウが気にする必要はないわ。」

 自分の行動の結果がまざまざと突きつけられギジロウの気持ちはすごい落ちる。その様子を見てルースはギジロウに気にしないように励ます。

「もともと私たちの戦争よ。ギジロウは私のために協力してくれた。今はそれで良いじゃないかしら?」

「そうだな。」

 少し離れた場所では、敵の隊長がクレーターから逃げるようにうつ伏せに倒れているが動く様子はない。

(隊長は生きていそうだな。)


「あれだけの爆発よ、増援がくる可能性が高いわ。すぐに逃げましょう!」

 ルースに手を引かれてギジロウは森の中を走りだす。



 無事にレン達と合流したギジロウは2日ほどかけて、ナターシャが待つフローレンスの拠点に戻る。

「おかえりなさい、フローレンス。みんな、あなたの帰りを心こら待っていました。」

 ナターシャ達が温かくフローレンスを出迎える。

「みなさん、ありがとうございます! ご心配をおかけしました。」

 ナターシャの指導もあり拠点の復旧はかなり進んでいた。ナターシャは復興作業をフローレンスに引き継ぐ。

「ナターシャ、またあなたに助けられましたね。本当にありがとうございます!」

「フローレンス、これからも頑張ってください!」

 ナターシャとフローレンスは固い握手をする。

「そうだわ、未踏の森の奥深くで良い場所を見つけました!」

「良い場所というのは、ギジロウ様達の住んでいる場所ですか?」

「そうです!」

 ナターシャはフローレンスにギジロウ達との出会いを楽しそうに話す。そして、フローレンスの元を再び訪れた理由を話す。

「知っているかもしれないですが、銀髪の女性はオステナート領主の娘のルース様です。」

「やはり、そうでしたか。」

「ルース様はニーテツを取り戻すために戦いに備えているそうです。それで、これから武器を作ろうとしているのですが、人手が足りないので貸してほしいと。」

「そういうことですか。それなら私も協力しますわ。ここの復興は皆さんの努力の甲斐があり順調です! 少しくらい人手が足りなくてもそういうことならみんな頑張ってくれます!」

「ありがとうございます。」

「その前に……。」

「どうしましたか?」

「私もナターシャの暮らしている場所に1度は行きたいです!」

「はい、是非きてください!」


 そんな様子をギジロウ達は外から眺めていた。

「さて、カイナたちも心配しているだろうから、明日の朝には帰路につくか。」

「子供達も早く安心した場所で寝たいわよね。」

 ニーテツで預かった子供達は知らない場所につれていかれとても不安な表情をしていた。

「大丈夫よ。もうすぐあなた達の家に着くわ。」

 子供達をなだめるようにルースは話しかけ、子供の相手をする。

「ルース様、小さい子を相手にそれではダメです。」

 ルッチも一緒に相手をする。

 翌日、ギジロウ達は開拓地に向けて出発する。

 帰りはもとのメンバーに加えて、ニーテツから預かった子供達、そして、フローレンスが一緒に向かう。


「ギジロウ殿、おかえりなさい!」

「カイナ、待たせたな。」

「本当に無事で良かったです!なかなか時間がかかりましたね。」

 人を借りる話し合いに向かってからフローレンスを奪還して帰ってくるまでに、結構な日数がかかたかったため、出発時には未完だった建物も建築が進んでいた。

「あぁ、結局、ファナスティア王国の部隊と戦うことになった。」

「そ、そうだったのですか!? それは本当に大変でしたね。でも、みんな無事で良かったです。まて、お話を聞かせてください! それと、子供が増えたのですか?」

「あぁ、そうだ。」

 ギジロウは子供達が増えた経緯を軽くカイナに話す。そして、みんなで育ててほしいとお願いする。

「大丈夫ですよ。任せてください。将来が有望な仲間が増えただけです!」


 到着したら直ぐにナターシャはフローレンスを案内する。

「あちらが、干し肉を作ったりする小屋で、こちらがレンガを焼成する場所です。そして、セメントを作る場所もあるのですよ。セメントってわかりますか? いずれもギジロウ様の指導で作っているものです。」

「やはり、ギジロウ様はすごい知識をお持ちの方なのですね。」


 その夜、ギジロウは、ルース、フローレンスなどリーダ格の人材を食堂に集めて今後の計画を話し合う。

 話し合いがヒートアップしたところでルッチが飲み物を持ってきたのでいったん休憩する。外の空気が吸いたかったギジロウは食堂の外に出る。

 初めてこの世界にきた時と違う星空が空に煌めくが、そのときと同じ様に雲はない空だった。

(はあ、ようやく一段落できるか……。といっても、これから冬前までに鉄を採掘して製鉄の設備を整えつつ、冬声の準備をしてとやらないといけないことがいっぱいあるな。それに、俺の本来の技術分野を生かせるようにもしていきたいし。魔法を解析して技術的に利用していきたいな。)

「ギジロウ、お疲れさま!」

 ルースも外に出てきてギジロウの隣に来て話しかける。

「あなたのおかげで、私は反撃の拠点が持てたし、頼もしい仲間ができたわ。ギジロウにはとても感謝しているわ。ありがとう!」

 ルースは丁寧に頭を下げる。

「貴族にお礼を言ってもらえるなんて光栄だな。ニーテツを出る前に君とは約束したろ、助けるって。」

「でも、想像していた以上に大変だったし、苦労させたじゃない?」

「そうかもな。でも、俺は君とここで色々なモノを作って楽しかったぞ。」

 ギジロウは魔道書を手に持ちながら感慨に耽る。

「君とここに来てものを作って、モノ作りってやっぱり楽しいなって思えた。」

(望遠鏡はルースとで会う前か。レンガ、建物、コンクリートを作ったな。どちらかと言うと建築が多かったな。今度、金属が作れたら電気がやりたいな。)

「知らないことはこの魔道書で調べれば良いし君も協力的だ。実験大好きな君とならもっと色々なことができる気がする。これからも2人で色々作っていこうな!」

 ルースは少し俯いて顔を紅くする。

「……それって--」

「ギジロウ様!ルース様!再開しますわよ。」

 食堂の中からナターシャが呼ぶ声が聞こえる。

「ごめん、何て言った?」

 ルースは顔を上げ、食堂の方を見て頬を膨らませる。

「いいえ、何でもないわ!」

 ルースは食堂の方へ数歩いてギジロウの方を振り返る。

「これからもよろしくね! 技術者さん!」

 もっとも信頼した笑顔でルースはギジロウに感謝を伝える。

第1章はこれで終わりです。

楽しんでいただけでしたでしょうか?

おい、メーダーはどうした!という方はこれからギジロウとルースとその仲間達の活躍に期待ください!

是非応援をお願いします!

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