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第4話 森の中の戦い(3)

「だいぶ、防備も固められたかしら?」

 夜も遅くなりニーテツの住人から預かった子供達が寝た前進基地で、焚き火を囲んでルースとレンが前進基地の整備状況を確認する。

「ええ、コンクリートのおかげでとても進みが良いです。」

「コンクリートは本当に素晴らしいわね。ギジロウがはじめて作って見せてくれたときに粉を水にとかして、それを型枠にいれて固めていたから、雨で溶けだすのではないかと思っていたけど……。そんなことは起こらないし形を工夫しやすいし便利ね。セメント以外の材料は現地でも揃いやすいから持ってくる資材も少なくて便利だわ。」

 話をしていたレンが相槌をうつ。

「石だと切り出して運んでくるのが相当大変でしたし、置きたい場所で直接加工すればよいのはいいですね。」


 ギジロウ達が中央地区へ向かった、ルース達は前進基地の防備を固めていた。  

 前進基地へと続く道には障害物を置き、周囲の森のなかにも魔獣対策のために罠を張ったり、少し広い獣道には完全に塞ぐように障害物を設置していた。

 特に道に置く障害物については、最近開発したばかりのコンクリートブロックをおいていた。

 ニーテツへと続くの道には、道路の幅が人が2人通れるくらいになるように両端にコンクリートブロックを1つずづつ置いていた。コンクリートブロックは人の腰くらいの高さで打設されており、ブロックの間には棒を掛けて塞げるように切り欠けが作られている。

 また、2つ並べたブロックのさらに前進基地側には、道の真ん中にブロックに設置し、上からみると三角形の各頂点にブロックを置き、敵の進軍のスピードを落とせるようしていた。

 ルース達はこの組み合わせを、10メートルほど間隔で3ヵ所設置していた。



「レン、追加でもう1組、道にコンクリートブロックの組み合わせを設置したいと思うけどどう思う?」

「よい案とは思いますが、持ってきたセメントがなくなりそうなので魔獣対策用のほうに振り向けるべきではないですかね?それか、建物の基礎にするのはどうでしょうか?」

「そうねえ、ギジロウもそんな使い方をすると言っていた気がするわ。」

「ギジロウさん曰く、全部コンクリートの建物も作れるらしいですからね。いったいどれだけ石灰が必要になるのやら。」

「そうねえ。資材を集めるだけで大変だわ。だけど、子供達のために安全な住居を作ってあげたいわね。といったもここは前進基地で、しっかりとした建物は不要なのだから、魔獣対策用の障壁にしましょう。」


 次の日からの作業について、詳細を詰めているとルースが馬の足音に気がつく。

「馬の足音ね! 誰か近づいてくるわ!」

「全員起きろ!」

 レンの声で仲間達が飛び起きる。

「ルース様、どうしましたか?」

「誰か向かってくるわ! おそらくはニーテツ側からよ! 用意ができた人から1番ニーテツ側のブロックまで来て!」

 ルースはそう言い残し、ニーテツへ続く道に向かう。レンはすぐに馬車が出せるように準備する。


 ルースは到着すると望遠鏡も使って近づいてくる馬を探す。

「暗くてよくわからないかしら……ってあれはベンじゃないかしら?」

 そう思ってよく観察していると仲間が遅れてルースの元にくる。

「遅れました。ルース様、見つけられましたか?」

「おそらくギジロウ達が帰ってきたわ。柵を開けて馬が通れるようにして!」

 ルースの指示に従い、ブロックの間に渡されている棒を外し道を空ける。

「障害物を置いてあるわ! 速度を落として!」

 ルースはベン達に伝わるように大声で叫びつつ大きく手を振る。少しの間を置いて、ベンが乗った馬を筆頭に3頭の馬がルース達の側を通過する。

「ギジロウ、お帰り。前進基地まではあと少しよ!」

「ルース、ありがとう!」

 最後の馬が通過するとき、馬からシノが飛び降りる。

「ルース様。」

「シノ、お帰り。一緒に乗っていたのがフローレンスさんかしら?」

「そうです、助け出したとこまではよかったのですが、敵軍に見つかりました。追いかけられているのですぐにやって来ます。」

「そうみたいね。」

 ルースが道の先をみると、馬に乗った兵士達が近づいてくるのが見える。

「早速、使いますね。ルース様、伏せてください。」

 シノが爆弾に点火し敵の方に走り勢いをつけて迫ってくる馬の前に投げる。

「それって、もしかして! 全員、ブロックの後ろに隠れて!」


 爆弾が爆発し先頭の馬が転び後続の部隊の足が止まる。

「いまよ、全員攻撃魔法を撃て! 人に当てる必要はないわ! 大きい馬に当てるか、進路上の手前の地面を狙いなさい!」

 騎士達が一旦身を引き、転んだ馬の陰に隠れながら矢で攻撃してくる。 しかし、暗い上に真っ直ぐ飛んでくる矢はコンクリートブロックの前に阻まれる。

 少しするとファナスティアル王国軍側に魔法使いが到着し、矢ではなく攻撃魔法も飛んでくる。

「やはり、コンクリートブロックの安心感は違うわね。」

 ルースは攻撃魔法を隙間に突撃してくる馬に向かって魔法を撃ち続ける。暗い森のなかでは道に沿ってしか敵も進めず、遮るものがあるルース達が有利に戦いを進める。

 森の中を進もうとした敵はシノが喧騒に紛れて背後から忍び寄り制圧する。


「ルース、子供達をのせた馬車が出発した。レンには急いでもらうように言ったけど、夜だからそんなに速度は出せないそうだ。ベンとフローレンスは消耗が激しいから一緒に逃げてもらっている。」

「わかったわ。こちらは順調に足止めできていーー」

 闇夜を切り裂くように、ルースの横を矢がすぎさる。弧を描いて飛んできた矢はコンクリートブロックを越え地面にささる。

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