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第3話 ナターシャの仲間たち(8)

「ルッチ、火薬を詰め直して手投げできる爆弾を作るぞ!」

「そ、そんなことできるんですか? スト黒焼きはないですよ。」

「人を確実に殺傷する必要がないなら硬い外殻でおおう必要はない。ちょっと派手に爆発するだけで、呼吸が苦しくなったりするし、爆弾知っている人は逆に怯むだろ。」

 

 ギジロウはベッドの布を短冊状に切っていく。分解した爆弾から火薬を取り出して手でほぐして粉にしながら線状に布の上に置く。(静電気でも飛んだら即燃えるから、緊張する!)

 そして、火薬を包むように布を巻いていき布端は溶けた蝋で留める。

(火薬の側で火気とか、元の世界でやったら安全責任者がすぐに飛んできそうだ。)

「これで導火線を作る。しっかりきつく巻いてくれ。蝋で布端を留める時は火に気を付けてくれ。万が一火が着いたら直ぐに手を離すんだ!」

「わ、わかりました!」

 次に四角く切った布を用意し、火薬のペレットを包んで、丸く整形していく。包む際には導火線を中心まで差し込み中央で引火するようにする。最後に丸めた布がほどけないように端は溶けた蝋で止める。

「これで、爆弾の完成だ! 引き続き作成を頼めるか?」

「わ、わかりました。」

 

 爆弾作りをしているとシノが天井裏から顔をだし、準備完了の合図をベンに送る。

「兄貴、隣の部屋を制圧する準備はできたみたいだぜ。」

「よしわかった、やってくれ。」

 ベンは全力で斧を振り、隣の部屋とを仕切る壁を破壊していく。ベンが完全に壁に穴を空けると敵の剣士を制圧したシノが親指を突き立てていた。

「兄貴、倒せたようだぜ。」

 隣の部屋と行き来できるようにベンは穴を広げていき、その穴からシノが帰ってくる。

「シノ、怪我はないか?」

「大丈夫。ベンが引き付けてくれたから。壁に向かって構えていた相手が私に気づく前に倒せた。」

「サーマリー、隣の部屋は制圧できた。他は近づかれていないか?」

「他には大丈夫! だけどこっちは全く倒せてない! 増援は来ていないけど相手の魔法使いの方が格上だから、私もフローレンス様も相手をし続けるのはそろそろ限界!」

「もう少し耐えてくれ。爆弾作りはもう少し時間がかかる。」

「サーマリー、踏ん張りますわよ!」

「はい、フローレンス様。」


 ギジロウは爆弾に点火するための準備を指示する。

「シノ、消えづらい熱源が必要だ。そこの暖炉に残っている炭に火をつけてくれるか。」

「わかった。すぐにやる。」

 シノは慣れた手付きで火をつけ始める

 

 ギジロウが再び爆弾作りに取りかかろうとすると、窓のほうからガタガタと揺れる音がする。

「兄貴、やつら窓から入るつもりだ。俺が対処するぜ。」

「任せた!」

 ベンは斧をぶつけて勢いよく窓を空ける。すると丁度扉を空けようと手を掛けていた兵士が開く扉に押されて落下する。

「やったぜ!」

「ベン、次が来る!」

 ギジロウは直ぐに窓の下を覗き込み敵が昇ってこようとするのを確認する。

「兄貴! ちょっと下がってくれ!」

 ギジロウが窓から顔を引っ込めるとベンは斧で梯子を破壊する。

「これで、梯子はしばらく来ないだろ。」

 ベンは矢が入ってこないように再び窓を閉める。


 対処し終えてギジロウが一呼吸を着いたと思ったら束の間、すぐにサ―マリーから助けを求める声が上がる。

「4つとなりの部屋で守りを固めている! ギジロウさんそろそろ限界……。」

「ルッチ、作業はどうだ?」

「シノにも手伝ってもらって15個ほどできました!」

「もうそんなにできているのか! シノも手伝ってくれているのか?」

 暖炉のほうを見ると既に炭が真っ赤に燃えている。そこには蝋燭が丸ごと火に掛けて溶かされていた。ルッチは、溶かした蝋を垂らして布を留めるのではなく、溶けた蝋に布の留めたい場所を浸すことで留めていた。

(すごいな、ルッチ。この短時間でこんなにも作業性を向上させてる。)

 

 ギジロウは真っ赤に燃えた炭を側にあった1番厚みのあるコップに1ついれて手で持てるようにする。

(どうか、コップに火か移りませんように!)

「シノ、爆弾の使い方を教える。シノなら使いこなせるはずだ。」

「わ、わかった。」

 シノはコクコクとうなずく。

 シノと一緒に窓に寄りシノに使い方を説明する。

「この紐の部分に火をつけるんだ。すると紐が激しく燃焼を始めから。そしたらすぐに爆発させたい場所に投げろ。躊躇するなよ、ほんの一瞬遅いだけで自分が爆発に巻き込まれるからな。」

 ギジロウは窓を開け、導火線をコップにいれた炭に導火線を押し当て火をつけると、すぐに窓から外に投げる。念のため直ぐに窓を閉める。

 窓の外では爆発音が響き、敵が大騒ぎを始める。

「使うタイミングは任せる。 今、ルッチが作っている分と合わせて17個あるから頼んだぞ。」

「わかった……。」


(次はどう逃げるかだな、走って逃げるには農業地区までは遠すぎる。)

 ギジロウ達はニーテツ中心部の西側にある農業地区とは真反対に位置するニーテツに東門近くの宿屋に泊まっていたため、農業地区まではかなりの距離があった。

「ベン、ここから農業地区までの道はわかるか?」

「一応わかるけど遠すぎる! 俺らならともく、体力の回復していないフローレンス様は走らせられないだろ!」

(走って逃げるには不確定要素が多すぎる。一旦、宿から出て別の場所に潜伏するか?)

 ギジロウが逃げ方を考えていると窓の外を覗いたベンが兵士が乗ってきた馬を見つける。

「兄貴、馬がいるぜ! 繋がれて誰も乗っていないから奪うのはどうだ?」

「みんな、馬はのれるか?」

 その質問にルッチ、ベン、フローレンスが手を上げる。

「よし、2人1組でのるぞ。ベンはサーマリーと一緒に乗って突破口を切り開いてくれ。ルッチは俺と一緒に最後尾を頼めるか?」

「いえ、最後尾の馬は私がのります。ギジロウさんはルッチさんと一緒に真ん中で、指示を出してください。」

「よいのか?」

「ここまで、助けにきていただいたんですから、最後くらいはお役に立ちますわよ。それに今回は手で投げられる爆発物なんてすごいものがあるのですよ。必ず生きて逃げられます!」

「わかった、2人とももう少しだ耐えてくれ。シノ、ルッチ、ベン、すぐに逃げる準備だ。」

 

 ギジロウは、シノが持ってきた爆弾の解体していない残りをカバンにいれ、ベンが奪った斧を背負う。

「よし、逃げるぞ!」

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