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第3話 ナターシャの仲間たち(1)

ベン、ナターシャが加わり開拓地の人数が増えたギジロウ達はせっせと冬越えの準備にいそしむ。それと同時にニーテツ奪還に向けて武器の製造をしようとするが武器を作るためにぜひ手に入れたい鉄の採掘だ進まずにいた。その時、ナターシャから一緒にニーテツから逃げてきた仲間が未踏の森の別の場所で暮していることを教えてもらった。

 季節は夏が終わり過ごしやすい秋を迎えて開墾した田畑から収穫だけでなく、未踏の森の実りも最盛期を迎える。

「人数も増えてきて、冬超えの準備は順調かしらね。」

 開拓地全体を見渡しなからリースはキジロウに話しかける。

 ベン達、ナターシャ達が仲間に加わったことで人数は28人と1匹となり、森の開墾、田畑の拡張、宿舎や倉庫などの建物の建設、石灰の採取も順調に進む。また、ポーラを筆頭に戦いに向いている人達は来たるべきニーテツ奪還に向けて毎日の鍛錬を怠らない。

「人数も多いし、長期保存する食料はなるべく蓄えていきたいな。」

 燻製小屋からは狩猟した肉を燻す煙が小屋の隙間から漏れて空に立ち昇っている。

「そうね、最近は塩も確保できるようになったし、魚の塩漬けとかも作っていきたいわね。」

「カイナやルッチのおかげで住居や防寒着の確保も順調だな。まだ時間はあるし本格的に冬になる前に準備は整いそうだ。」

「衣食住の確保は順調ですね。それはそうと、ルース様は以前ニーテ ツ奪還に向けて武器を作るという話をしておりましたよね。そちらは進んでいるのですか?」

 ギジロウとルースの話に、ナターシャが参加する。

「そう、それよ! そろそろ武器を作りたいわ! ここまで人数が集まったからできるのじゃない?」

 ルースは期待の眼差しでギジロウの方を見つめる。

「お、おう。残念だけど、武器を作るのは冬が開けてからの話になってしまうな。」

「え、そうなの? 何が問題なのかしら?」

 ルースは明らかにがっかりとした表情で肩を落とす。

「そもそも、武器を作るための原料がないのだよね。もっと言えば鉄かない。

 現在、開拓地で採取できる材料は石、木、植物の弦、それに石灰であり明らかにこの世界で武器として渡り合える素材たちではない。ベンの持っていた槍やポーラの剣がある程度の強さの鉄であると感じたギジロウは、自分たちが用意する武器も石などではなく同等以上の強度の武器が必要と考えていた。

「なら、鉄の採掘を始めましょうよ。」

「そう言われると思って、既にベン達に鉄の鉱床を探してもらっている。何回か探索してもらったところ、北にかなり進んだところにある川の川底に鉄鉱石が落ちていることは見つけたんだ。」

「それなら、そこに行けば採掘できるのではないかしら?」

「いや、その付近では鉱脈は見つからなかったらしい。ベンは「上流の方で取れるのがたまたま流れてきていただけでは?」と言っていたよ。」

「それならば山に登って鉱脈を探してもらいましょうよ。」

「さすがに石灰のときと同じく採掘拠点がないと厳しいぞ。石灰の時と違って鉄鉱石を見つけた場所も行くだけで1日かかったらしい。それに、場所も開けているわけではないらしいからな。拠点を作るだけでかなりの人手がいるうえ、これから秋が深まっていくにれて摩獣の活動もさらに活発化するのだろ? 護衛もそれなりに必要と考えると、冬に向けた準備で忙しい中、5、6人抜けるならまだしも、10人近くいなくなるのは冬支度に支障が出るな。」

「なら収穫の終わった後に行けば……雪が降る未踏の森では厳しいわね。」

 ルースは俯いてしまう。

「あの、ギロウ様。」

 ナターシャがすっと手を上げる

「冬仕度の人手が確保できれば、採掘に行くことができるのでしょうか?」

「まあ、そうなるな。追加で10人くらい必要だ。」

「それなら追加の人手を借りてきましょうか。」

「えっ! なんかあてがあるの?」

 

「えぇ、ギシロウ様の元にきた私たちには途中で別れた仲間がいます。居場所はわかっているので彼女らの元に行って人を借りてくるのはどうでしょうか?」

「そんな人がいたのね。でも、会いに行っても大丈夫なの? 別れたと言っていたけれど。」

「私と別れた方々の関係を気にしているのであれば問題はないですわ。意見が一致しなくて行動を別にしていますが大喧嘩して別れた訳ではありませんので。それに新しい土地を見つけたら再び会うと約束していますので、この開拓地のことを伝えてあげたいと思います。」



 ナターシャは別れる際に交わした約束を思いだす。


 手作りのテーブルを挟んでナターシャと銀髪の女性向かい合って座る。

「みんなの意見が、ここまでこじれてしまうとみんなで同じ行動を取るのは難しいですね。」

「本当に申し訳ありません。リーダの私がもっとみんなをまとめられていればよかったのですが...…。」

 ナターシャが銀髪の女性に頭を下げる。

「いえ、そんなことはありません。亡くなってしまった方も多いですが、一時期は50人以上をナターシャさんは率いていましたからね。みんなの間で意見が分かれるのも無理がないです。私はここに残りますが、ナターシャさんはその統率力を生かして、未踏の森の中でさらに安住できる場所を探し出してください。」

「分かりました。必ず探し出して見せます。」

「それと最後に、1つ約束してください。もし、安住の地を見つけられたら、この場所に戻ってきてください。私たちはあなた方が安心して帰ってこられる場所を守りますわ。」

「はい、結果がどうあれ必ず戻ってきます!」



「向こうにも魔法使い、建築作業者、農作業者がいましたので、開拓が進んでいるかもしれませんね。」

 ナターシャは別れた人たちのことをギジロウとルースに紹介する。

「ギジロウ、ナターシャがもともと暮らしていた場所に行って人を貸してもらえないかお願いしましょうよ。」

「そうだな。すぐにでも会いに行くか。ナターシャも一緒に来れるか? 会いに行く約束をしているのならその約束も一緒に果たしてこないか?」

「えぇ、是非同行させてもらいますわ。」


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