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遅延電車の待ち時間
虚ろな猫背の黒に重ねた思い込み
凍えた子供のように丸まっていたガム
待ちぼうけ 夜の駅構内で
皸は慰め 痛みを呼ぶ風
かつての寒風と夜景を思い出す
言葉が瘦せて脳が減ってタンパク質が満ちて言葉が瘦せて毎夜
そんな脳に借りた言葉を植えても育つのは捻じれた鳴き声
本を読めなくなってずいぶん経つ
狭くなる視野 ズレたピントにこびりついた皮脂
隣の席の人の優位さだけはっきりと
煙草から吸い殻と灰を引いたら思い出の重さなのか
遅延電車がやってくる音が響く 朝が夜を虫食うように