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第4話

   

 翌日、頭の植物が消えた松崎は、珍しくニコニコしていた。俺が多少ミスをしても、

「新人のうちは仕方がない。同じ失敗を繰り返さないよう、今後の(かて)にすることだな」

 と優しく(さと)すだけであり、昨日までとのギャップを思えば、気持ち悪いくらいだ。

 この彼の好機嫌は数日間、また頭に芽を生やすまで続いた。


 彼の場合は、髪が薄いために目立っただけかもしれない。

 注意して観察すると、芽の生えた者たちが、社内の至るところで働いていたのだ。

 とても奇異な現象のはずなのに、そうした人々を前にしても「頭から何か生えている!」と声を上げる者は皆無だった。もはや慣れてしまって気にならないというより、どうやらあれは、俺の目にしか映っていないらしい。

 ならば、俺は特別な人間なのか。

 いや、そもそも頭に緑を生やす人間たちと、そんな人間が(つど)う会社の方が特別ではないか。

 そんな思いから、俺はこの会社をグリーン企業と呼んでいる。


 最初の松崎の事例でもわかるように、頭の芽生えは、イライラの(きざ)しなのだろう。だから俺は、その芽が育ってきている人には、なるべく近寄らないようにしている。

 おかげで無用なトラブルを避ける形になり、いつのまにか社内では「他人の顔色を窺うのが上手い男」と噂されるようになった。

 俺が実際に窺っているのは顔色ではなく、頭に生えた芽なのだが。




(「グリーン企業」完)

   

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