表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

童話

羊の流星ちゃんは、クリッとかわいい赤い目がチャームポイント。でも、天然パーマが気になって、鏡を見るのがちょっと憂鬱です。

寒空の年末。


小さな少女が一人、マッチを売っていた。

父親に叱られるっ。売り切るまで家には帰れない。


夜も更け、少しでも暖まろうと、少女はマッチに火を付ける。

マッチの炎と共に、七面鳥などのごちそうや、クリスマスツリーが現れた。


ふと、天を向くと流れ星が流れる。

少女は、可愛がってくれた祖母が「流れ星は誰かの命が消えようとしている象徴なのだ」と言ったことを思いだした。


次のマッチをすると、その祖母の幻影が現れた。


あぁ、おばあちゃん・・・


火をつけると、望むものが見えるマッチがもたらす事件とは?

流星ちゃんは、顔立ちの可愛らしい羊。仲間の羊だけではなく、牧羊犬からも好かれています。


しかし、1点、自分の体で嫌いな部分があります。


それは、クセッ毛。


天然パーマのクルクルとした白い毛を、いつも犬にバカにされるのです。


そうして、毎日 鏡を前に メェーと ため息をついているのでした。


ある日のこと。流星ちゃんは、お酒を呑んでいました。


蒸留を70回繰り返し、度数を96度にまで高めているポーランド製のウオッッカは、流星ちゃんのお気に入りです。


飲み方は、もちろん ストレート。



  おーい、流星、面白いモノを盗って来たぞ。



そこへ、犬が 街から帰ってきました。


流星ちゃんは、お酒の瓶を倒されないよう、きちんとキャップを閉めます。


犬が、持ち帰ったモノ。


それはマッチ箱でした。



  小さな女の子が、マッチを売っていたんだ。


  誰も、買わないなぁって見てたんだけどさ。



そのうちに、少女が、マッチに火を付けはじめたそうです。そうして、「七面鳥やクリスマスツリーが見える」と、女の子が言い出したとか…。



  危ない薬でもやってたんじゃないの?



流星ちゃんは、身も蓋もないことを言いました。



  違うっ。きっと、見たいものが見えるんだ。


  わざわざ、倒れた少女の手元から取って来たんだぜ。



犬は、不思議なマッチが、幸せな光景を見せてくれると言い張ります。


しかし、余計なことも言ってしまいました。



  お前のパーマがストレートになって、見えるかもな。



流星ちゃんの赤い目が、吊り上がります。


気にせず犬は、マッチに火をつけようとしました。



  ちょっと、待って。



流星ちゃんは、ウオッッカ瓶を持ってきて、グラスに1杯注ぎ、ゴクリと一口飲みました。


きっと、アルコールが切れたのでしょう。



  じゃ、つけてみて。



流星ちゃんは、うながします。


犬がマッチをつけようとした瞬間、流星ちゃんは、ダッシュしました。


犬から遠ざかるように、全速力です。


酔いが回らなければいいのですが…。



  ボンっ!



その時です。度数96度のウオッカが、火を噴きました。


犬の頭が、火に包まれます。



  おいっ! 流星、火傷したらどうすんだよっ。



犬は、流星ちゃんを怒鳴りつけました。



  あら?見たいものを見せてくれるんでしょ?


  あなたの天然パーマ、良く似合っているわよ。



鏡を取り出して、犬は、自分の姿を見ました。


自慢の毛は、黒くチリチリに焦げ、流星ちゃんと同じ、パーマになっていたのでした。


牧場の空の下に、メェェという嬉しそうな羊の鳴き声が響きました。

文字数(空白・改行含まない):1000字

こちらは『冬の童話祭2022』用、超短編小説です。

くわえて、こちらは『第3回「下野紘・巽悠衣子の小説家になろうラジオ」大賞』用、超短編小説です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 思わずクスリとしてしまいました。 火傷しなかったのかな?
2023/04/24 18:53 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ