八話
「はぁ、そこで私も何らかの仮病を使って休めばあの二人がデートできるという訳ですか」
昼休み──郡山と大事な話があるからと意味深な濁し方をして、雅には退席してもらった。俺の幼馴染のことだ。変な勘違いなどするはずもないので、意味深の意味がまずないのだが。
「理解が早くて助かる」
これなら素直に協力してくれるんじゃないかと胸を撫で……
「でもそれって、私にメリットがないですよね?」
おろおせなかった。めんどくさい奴だ。何か対価をよこせと、そう言っているのだろう。
「何が食いたい?」
「私そんなに食い意地張ってるように見えますか!?」
「だってこれが一番手っ取り早いからな」
少なくとも我が家では通用するやり方だったのだが、郡山はお気に召さなかったようだ。
「じゃあ、今度デートしてください」
「まあ、それくらいなら」
しかしまあ、なぜこんなにもこの少女は俺とデートがしたいのだろうか。女心というものは分からない。クラスの女子にでも自慢したいのだろうか。
「できれば先輩の家に行きたいです」
「かまわんが」
それならお金もあまりかからないだろう。俺の財布は妹たちのためにあるので出費は最低限に抑えたい。
「じゃあ月曜の放課後、さっそくアクション起こすから」
郡山の強力が得られたため、もう特に危惧することはない。あとは、俺が自然な流れを作るだけだ。まあ、これもかなりの難易度を誇るのだが……。雅は言わずもがな、氷堂先輩にも普段からお世話になっているので、ここで恩返しの一つでもしておきたい。
良い青春しろよ、雅。




