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七話

 ガタンゴトン。ガタンゴトン。そんな音を立てながら走る電車に揺られつつ、俺は考え事をしていた。

 今日の脳内会議の議題は、いかにして(みやび)氷堂(ひょうどう)先輩のデートをセッティングするかである。

 俺の知る限り、雅は氷堂先輩に対して悪い感情は持ち合わせていないはずなので、普通に誘えば十分な勝算はあるだろう。しかし、俺にこの役目を与えたということは、自分から誘うなんて恥ずかしくてできないというクソみたいなな感情が働いたのだろう。まったく、ヘタレ野郎が。

 さて、ヘタレ先輩への罵倒はこれくらいにして、閑話休題、どうセッティングするか問題に取り組もう。制限時間は15分。登校のために電車に乗っている間だけだ。

 二人きりで出かけさせるのには、今思いつくだけで二つの方法があるが、俺はそのうちどっちの方法を取るべきなのだろうか。

 その方法の一つ目というのが、「部活でこれ必要だから買ってきて」作戦である。

 内容は作戦名通りなのだが、この作戦には穴がある。

 俺と雅の間に遠慮というものが微塵もないということだ。つまり、頼んだところで「自分で行け」と言われるのだ。これを穴と言わずして何と言おう。幼馴染故の弊害とでも呼ぼうか。

 なので、ここで取るべきは二つ目の作戦だ。その名も、「部員全員で出かけることになったけど俺風邪ひいたから休むわ」作戦。こちらも、内容は名前通りだ。しかし、この作戦には面倒な点があって、それはうざい後輩の存在である。

 俺たち三人だけで出かけるのは不自然なので、部員全員としているが、俺の他にも、郡山(こおりやま)も欠席させる必要があるのだ。あれに話を通すのは面倒なうえに、話したところで面白がって思い通りの結果にならない恐れがあるのだ。それは非常に面倒だ。夏花(なつか)を起こすの以上に面倒だ。しかし、必要な通り道ではあるわけで……。

 気が付けば、学校の最寄り駅まであと一駅。事の早期解決をしたいので、今この場で結果を出さなければいけない。

 幼馴染のやさしさに祈るか、後輩の常識に祈るか。どっちにしても、骨が折れそうだ。

 迷った末に、俺は二つ目の作戦を取ることにした。はてさて、これがどういう結果に転ぶのだろうか……。うまくいってくれることを願うが。

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