十九話
昼間に寝たせいか、あまり寝られず、朝を迎えた。
熱はばっちり下がっていたので、今日は通常通り学校だ。
「風邪、大丈夫なのか?」
教室に入るなり、青葉は不安そうに聞いてきた。きっと、こいつがモテるのはこういう何気ない優しさにあるのだろうと思う。俺にはないものだ。正直言って尊敬する。
「大丈夫じゃないのに学校に来るほど俺は真面目じゃない」
勉強の遅れくらいはなんとかなるだろうし、本当は今日も休むつもりだったのだが、体温に異常がないことをあっさり三人に看破されてしまったので、仕方なく来たのだ。
「ノート、見るか?」
「頼む」
やはり青葉はいいやつだ。なぜ俺のような人間と付き合い続けるのか、分からないくらい。
受け取って、写真を撮って、返す。あとは暇なときにでも写しておけばいい。スマホ世代は楽だ。我が校は特に禁止されていないが、ほかの高校ではスマホの使用がNGなところもあるらしい。なんとも時代遅れな政策だ。
「そういや、昨日茶髪の一年生がお前の机になんか入れてたぞ」
「男?女?」
「女だったな。てか、多分お前の部活の後輩だった」
「性別の部分を過去形にすると、郡山が性転換したように聞こえるな」
机の中を探ると、硬めの紙のようなものに触れた。引っ張り出すと、本だった。俺が郡山に貸したものだ。まだ数日しか経っていないのだが、郡山は俺と違って随分と読むのが早いらしい。
「それ、面白いのか?」
「読みたいなら、お前にも貸してやろう」
「部活の時にでも読むわ」
「いや部活の時は真面目にサッカーしろよ」
いつまで補欠でいるつもりだ。
チャイムがなったので、朝の談笑タイムは終わり。気を引き締めて、昨日の分を埋めるためにも、今日はいつも以上にしっかりと授業を聞いておこう。




