十話
「夏花と冬乃の仲が悪かったのは、「自分と似た存在がいること」による恐怖だと、俺は思ってる。当時は夏花は母親に捨てられたと思っていただろうし、冬乃に至っては生まれたときから父親がいなかった。何時捨てられるかわからない環境に置かれていた二人にとって、取り入る先が俺だった。共働きだったし、二人とも家に帰ってくるのは深夜だった。家事はしてくれたけどな。飯は作り置きだったが。だから、二人は両親の代わりに俺に、どんどん依存していった。それと同時に、お互いに抱いた敵対心も、どんどん大きくなっていったことだろう。どちらが俺に気に入られるか、それが二人にとって、勝負の分け目だった。
そして俺が中学校に上がったとき。
両親は、突如海外へと飛んだ。何も言われてなかったから、戸惑いの連続だ。
飯は作れないのに腹は減るし、洗濯はできないのに服は汚れる。なれない中学校生活も相まって、俺は日に日に死んでいったな。
それでも、何とか夏ごろにはまともな生活ができるようにはなっていった。何も知らないはずの雅も、手伝ってくれたしな。
そしてある日、三人でショッピングモールに出かけたとき。
夏花の帽子を買おうと思って店に入ったら、ヘアアクセサリーが目に入ってな。それも、夏花にぴったしのと、冬乃にぴったしのと、二つ。
衝動買いだ。迷わず買った。買った瞬間、二人につけてもらった。ものすごい可愛かった。この世のものとは思えないくらいに可愛かった。天使、いやそれ以上の存在だあれは。
あれ以来だな……俺がシスコンになったのは。雅にひかれる位、俺は二人を大好きになった。そして、俺が二人ともを大好きなのが伝わったのか、いつしか夏花と冬乃も、自然に仲良く……。
そして今では、三人でお風呂に入る位には、俺たち兄妹は仲良しだ。以上、日山家の兄妹事情でした」




