二話
「……というのが、リア充の王様からの指導です」
「ごめんまったく理解できない」
放課後。雅は委員会の仕事とやらで少し遅れるそうだ。なので、今のうちに作戦会議。朝に青葉にもらったアドバイスをもとに、三人で雅攻略計画を組み立てていく。
「いや、至極まっとうなことしか言われていない気がしますけど……」
俺と氷堂先輩からすれば、まったく理解できない作戦なのだが、郡山には理解できたようだ。
まず、青葉に言われたのは、雅に対して不自然な距離の詰め方をしない事。今までは急ぎすぎたのだと、そう言われた。間違いなく、長期戦になるというのが青葉の予想だった。なので、少しずつ少しずつ、じわじわと距離を詰めて墜とすのが確実だと、帝王は言っていた。まずは、雅の心を解かすところから始めるべきだと。別に雅の心は凍ってなんかないと思う
のだが……。
「まずはフったフラれたの気まずさをなくすために、雅への態度はいつも通りで、ですね」
「変に何かリアクションを起こされるより、自然体でいてくれた方が、私は嬉しいです」
俺と郡山の二人に念押しされた内容を、先輩はぶつぶつと暗唱して、心に焼き付けている。
「よし、やれるだけ頑張る!!」
そう意気込んだところで、部室のとびらが開いた。入ってきたのはもちろん雅だ。
「……どういう状況?」
入ってくるなり、部室を見渡して雅ははてなマークを浮かべた。当たり前だ。氷堂先輩は立ち上がり、希望に満ちた表情を見せていた。そして俺と郡山も、それに合わせてこぶしを突き上げている。謎の州境団体とそう変わらない怪しさだ。
「世の中には、知らない方が良いこともあるんだよ」
お前に伝えるべき内容じゃないと瞳で語り、それ以上追及はしてこずに、雅はおとなしく席についた。
静寂。気まずい雰囲気が漂っている。何か、会話の糸口を探さねば。
「そういえば、お前なんの委員会に入ってるんだ?」
別のクラスである俺が知らないのは無理もないことなので、知っていることをわざと雅に聞いてみた。
「文化祭実行委員って前に言わなかったっけ?」
言ってました。ちゃんと言ってましたよ君は。しかし、この場の空気が悪すぎる。
「すまん、最近記憶力落ちてるみたいで」
「……まあいいけど」
どうにも腑に落ちないといった感じの顔をしている雅を丸め込み、そこでこの会話は途切れた。
いつもなら、このあたりで先輩が何か話題を提示してくれるのだが……。あれほど自然体でといったのに、ホワイトアウトしてやがる。
さて、どうしたもんかね……。




