五話
部室での勉強会は、真面目に静かな勉強だった。
しかし、打って変わって我が家での勉強会はみんなでわいわいと喋りながらのものだった。俺が誘導したのだ。二人の親睦を深めるために。
何か進展があったかといえば、なにもなかったのだが、それでも二人は徐々に仲良くなっていっている気がする。このままうまくいってほしいものだが。
「「ただいまー」」
午後五時。そろそろお開きにしようかというところで、玄関から二つの声が聞こえた。一つは明るく元気いっぱいの声。夏花のものだ。もう一つは落ち着いていて、か細く、守ってあげたくなる声。冬乃だ。
「おかえり、早かったな」
カバンを宙に放り投げ、早速抱きついてくる二人の頭を撫でていると、隣で引いている人間の姿が目に入った。
「先輩がシスコンなのは知ってましたけど、流石に引きます」
「夏花と冬乃が可愛すぎるのが悪い」
俺の言葉に、二人は「えへへ」と可愛く笑った。
氷堂先輩は以前に会っているのだが、郡山は妹たちと初対面なので、郡山には夏花と冬乃を、夏花たちには郡山を紹介した。
「お前らもテスト近いだろ。一緒に勉強するか」
キャッチしてくれた雅から二人のカバンを受け取り、勝手に教科書を取り出した。
夏花の筆箱は、明るい色の派手めなもので、冬乃はシンプルな白色のものを使っているので、この辺りに性格が出ているなと感じる。
「冬乃はともかく、うちの高校受けるなら夏花はもう少し成績あげないとな」
かくいう俺は、入試当日に電車の中で参考書を読んだほか、中学校で勉強などしていないのだが……それでも学年で平均は取れていたし、夏花の成績が厳しいのは本当なのでここは棚にあげさせてもらおう。
「よかったら、私が教えますよー。この中じゃ、一番最近の入試に詳しいんでね」
今年の2月に入試を受けて、4月には晴れて入学してきた郡山だ。俺よりも近しい年の出題形式がしれるので、ここは甘えさせてもらおう。
「よろしくお願いします!!」
元気のいい夏花の相手が、果たしてどこまで務まるのか、性格の悪い俺は見守っておくとしよう。




