四話
遊園地デートに二人きりの部室。恋愛にはもってこいのシュチュエーションを経験した雅と氷堂先輩だが、はてさて、二人の関係はどれほどの進んだのか。答えは全く進んでいない。なぜなら、雅には(おそらく)その気がなく、氷堂先輩は恐ろしくヘタレだからである。これで何か関係が進む方がおかしい。
俺に出来ることといえば、なにかを仕掛けてまずは仲を深めることだろうか。しかし、友情ばかりが高まっても意味がない。ちゃんと、男と女としての仲を築いてもらわねば。
というわけで土曜日である。午前の学校が終わった昼下がり。
「ここが先輩の家ですか」
「意外と掃除が行き届いているな」
「うちの妹、二人とも優秀すぎるんで」
その二人のうち、掃除を担当しているのは夏花だ。可愛く運動もできる、成績が悪くても気にならないくらい可愛い妹だ。
「この写真は、家族写真かい?」
先輩はそう言って、テレビの横に飾ってあったフォトプレートを指差した。そこには、三人の子供と、親らしき男女が写っている。
「俺が小3の時のものですね」
三人の子供の真ん中に俺がおり、その左に夏花、右に冬乃がいる。
「この頃からシスコンだったんですね」
郡山がそう言った理由は、夏花も冬乃も、俺の腕に抱きついていたからだ。しかし、二人はお互いを睨み合っていて、せっかくの写真だというのに笑顔は見られない。俺は満面の笑みなのだが。
「どっちかというと、あいつらがブラコンすぎたな」
今ほどではないが、当時から二人は俺のことが大好きだった。それは、家にいない両親の代わりに、俺が二人の面倒を見ていたからである。二つしか変わらないというのに。
「それにしても、白髪の子と先輩、似てな……」
「光、ちょっと静かに」
郡山のセリフを、雅が途中で遮った。雅なりに気を使ってくれたのだろう。しかし、俺は別に何も気にしてない。その後を続けてもらっても、別に構わない。
「似てなくて当たり前だ。血が繋がってないからな」
それだけ言うと、俺は教科書を取るために、二階にある自室に向かった。




