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小品

週末は寒くなります

作者: 星野☆明美

仕事から帰ると、夕飯もそこそこに編み物に取りかかる。

今年は余裕をもって夏場から編み始めたからきっと間に合うだろう。

しかし・・・この暑さ。異常気象もここまで来たら死んじゃうんじゃないかとさえ思うんですが・・・

BGMの音楽止めて、テレビの天気予報見る。

「異常な暖かさが続いていますが、今週末は寒くなります」

あー良かった。

青系統の毛糸を組み合わせて凝った模様編みのセーター編んでるけど、この暑さじゃ着てもらえないと思っていただよ。(なぜか訛る)

向かい合った左右の白い鹿(トナカイ?)はややこしかった。

しかーし、もうすぐ完成。

感慨深いですなー。

今週末、あの人の誕生日。タイミング良い。

気がつくと、今日も夜の11時まで編み続けていた。

「今日はこのくらいにしといてやろう!」

深い眠りにつくのは素敵に生きた時だけ~♪

歌いながら眠りにはいる。


週末。

朝から車が凍ってなかなか出発できなかった。

タイヤ、スタッドレスにしてて良かったぜい。

チラホラ雪が舞っている。

ほんとにいきなりさむくなったなぁ・・・

職場まで車で15分。途中のコンビニでお昼を買って、温かいお茶のペットボトルを抱き締める。

きんこん。

あ、LINEだ。

スマホ出して見てみると、「今どの辺りですか?」と会社からだった。

「途中のコンビニです」「吹雪になるらしいので気を付けて来てください」「はい」

えええ?寒すぎだろう!

ぼた雪が降ってくる。車のワイパーががっしゃんがっしゃん動いている。

ウソー。

視界が辛うじて見える。

なんとかたどり着いたら、他の人ほとんど来てない!

「陸の孤島ですね・・・」

完全に会社に閉じ込められた。

「へっぶし。さみぃー」

上司がはでなくしゃみした。

これは休んだ方が正解だったかも?

あの人も休むらしい。

「あのー、これ良かったら着ていてください」

完成してたセーターを上司に渡す。

もう、良いんだ。涙目で白銀の世界を恨めしげに見た。

「うわーすごいな。これ、編んだんですか?」

「編みました。今日誕生日の人にあげようと思って」

「そんな大事なの着ちゃって良いんですか?」

「風邪引くより良いでしょ」

「・・・」

「・・・」

沈黙が続いた。

「お茶沸かしますね」

「どうも」

「・・・ところで、この寒さ、いつまで続くと思いますか?」

「?」

「上空に寒気団が押し寄せてきてえらいことになってるらしいです」

「しょ・・・」

「しょ?」

「食糧はあるのかっ」

「そんな大袈裟な」

なにが悲しゅうてこんな目にあわなきゃいけないんですか?

神様のいけず。

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― 新着の感想 ―
[良い点] せっかく気持ちを込めて編んだセーターを他人が着てしまうとか、ショック以外のなにものでもない……! はちゃめちゃな展開に思わず笑ってしまいました(笑)
2019/05/09 21:04 退会済み
管理
[一言] 手編みのセーターを上司に貸してあげるとか、女神か。 雪が降る地方は、お天気キャスターが明日は雪が降るでしょーって気軽に教えてくれるのに。  いざ次の日が来たら、道が通行止めになるとか聞いて…
[良い点] 主人公優しいなって思いました。 面白かったです!
2018/12/04 13:12 退会済み
管理
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