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03話 「おま」

「ふっ……良いじゃん良いじゃん? スキル無効化な特殊能力持たせてくれるとか神様わかってるじゃーん?」


やばい。

これはテンションが上がってきましたわ。

俺は嬉しさの余り、人の目も忘れて小躍りを始めてしまう。

これはいけない。

ダメだとわかっているのに小躍りに拍車が掛かるっ!

しかしあれだな。

こんなスキルを初期状態から持ってたから―――



「だからこのニンゲンは結界も抜けて入って来れたのね……」


「おいそこのイケメンシルバー! その、ソトビト? ってのは他にどんなスキル持ってんだ! 他にも何かあんのだろ!?」


俺は興奮を抑えきれず、声高らかに尋ねる。

しかしどこかの作品みたいに手だけ無効化が働いてるとかじゃなくて全身にその効果がある様子で、先程フルールが効かないとか言ってたのはそう言う訳かと自己解釈をする。


「ないよ」


「……ん?」


「魔法魔術に基づく力を無効化する性質を持つせいで、自身がそれを発生させる事も不可能だから魔法魔術使えないよ!」


「え?」


何も作り出せない者ノンクレイマー! それが君たちの俗称だよ!!」



…………ぱーどぅん?

いや、いやいやいやいや。

それってアレかいな。自分の能力のせいで何も出来ないってオチ!?


「キシャアアアアアアアアアア!!」


「うっせぇええ金ギドラもどき! こっちゃ今、立て込んでんだ少し黙ってろぉおおお!!」


「キ、キシャアアアアアアアアアアアッ!!」


予想外の返答に気が立った俺は奇声を上げるもどきドラゴンを一蹴する。

が、逆に神経を逆撫でしてしまったようで……。

気が付けば火球3連撃をブチかまされ、アホみたいに小躍りを続けていた俺の身体は高らかに宙に舞う。


熱いし痛い。

しかしそれは一瞬にして回復し、無傷な身体に戻ったと思えば地面の上に顔面からスライディングする。


「いっつつ……ああそう言う事か。スキルは無効化出来ても、その効果を受けた熱やらの間接的な効果は受けるって話な」


身を持ってその性能を体感をすると同時に疑問が浮かぶ。

と言うのも、スキルを無効化にする能力と別に今の俺にはもう一つ別の能力がある。

爆炎の中、目を凝らして確認したが……


「―――もしかして超回復能力持ちかよ」


たった今、受けた火傷や傷が瞬時に消えていた。

何だよ神様わかってんじゃん。

そんな事を思いながら顔を上げた向こう側じゃさっきの2人が座り込んでまだ泣いてる。

そういや弟のヤツもちっせぇ頃、しょっちゅうあんな風にスゲー泣いてたっけか……。

しかしあの2人に声をかけようにもドラゴンが盾になってて近付けそうもない。

俺を排除しようと執拗に攻撃する点を考えて、俺以外がどうにかするしか方法がなさそうだが。



「おいイケメンシルバー! このドラゴンどうやったら倒せんの!?」


「あの、まさかイケメンシルバーって僕の事?」


「アンタ以外に誰がいんだよ!」


「キ、キシャアア! キシャアア!?」


人が会話中もおかまいなしにドッコンドッコンと熱炎攻撃をぶっぱしてくるドラゴンちゃん。

うん、吹き飛ばされないように大分コツを掴んだぞ。

くそ熱いし痛いのは依然変わらんが。


そんな中、シルバーの横に佇む少女と目が合う。

何と言うか「じゃあ自分は?」とでも言いたげな瞳でこちらを見やってる。


「えーと、キミはヒロインブルーな!!」


「ヒロイン……ブルー?」


髪色でシルバーと来たなら姫ちゃんは青髪だし、ブルーだよな。

俺は得意げに彼女へ決めポーズの様に指を向けて見せるが無反応。

あれ、ダメだった?


「ニ、ニンゲン風情が馴れ馴れしく呼ばないで! 大体、貴方が森へ入って来なければこんな事にならなかったのにどうしてくれるのよ!」


「それはマジ、ごめん。……真に申し訳ありませんでした」


その事を言われて俺もいくらか勢いを無くす。

そして気付けば接客モード混じりで謝罪を口にしていた。


まぁ仕方なかったとは言え、原因俺だしなぁ。

あそこのロリ2人にも悪い事した。

……つっても鈍器で追い回された点を考えたら、なるべくしてなった事とも思えなくはないが。

そんな話はこの際は置いといて。


「い、いえ。わかってくれれば。……じゃなくてニンゲンがどうしてここに入って来たの!? まさか強硬手段で私たちを狙って―――」


「ヒロインブルーちゃんどうどう。こいつ界客そとびとだから、何も知らず迷い込んだ可能性が高いよ」


ヒートアップする彼女へ対し、俺が付けた呼び名をさっそく使ってシルバーは苦笑いを交えながらなだめる。

しかしヒロインブルーちゃんは感情の起伏具合からしてツンデレかな?

ギャルゲやらで培われたセンサーがビンビン反応してますわ。


「ニンゲン! 今、召喚されてるズメイは暴走召喚と言って術者の技量を超えた形で喚ばれてるんだ。ズメイを止めるなら一瞬で倒せるだけの攻撃を与えるか、術者へ接触して止めるしかない」


「……おま、まぢかよ」


そう語りながらシルバーは伸ばした手を発光させる。

同時に俺へ向いていたズメイの首が持ち上がったかと思えば、躊躇いも無くシルバーへ火球が放たれる。

青空の一部が赤く染まり、言葉を失っていると爆炎が晴れ……


「―――しかも術者が直感で敵と認識した対象か、魔力に反応して攻撃をし続ける。だからこうやって迂闊に力も使えない」


ヒロインブルーを抱き寄せながら構えるシルバーは何と言うか、腹立たしい事にスゲー絵になってて思わず呆然と眺める。

すると止んでいた爆撃は容赦なくまた俺を執拗に狙い、現実に引き戻された。


「更には今の2人の周りは拒絶魔法璧シャイマ・ウォリアって言う防壁魔法が展開してる。破壊してもすぐに再生されてほとんど近寄れない」


「いでででっ! じゃ、じゃあどうやって止めるんだよ! 何か手立ては!?」


「一番ラクで簡単な方法だと……」


「おぉ! そんな方法があんなら―――」


「君が死んだら止まるかな♪」


「おまっ。一番簡単だろうけど、ソレ絶対却下な!!」


「あ、それが一番早いかも……」


「お姫さん!?」


「じょ、冗談よ!!」



素敵スマイルでシルバー野郎はサラッと鬼畜な事をほざく。

しかしこの2人、俺に対してスゲー排他的だな。

まぁ人間離れした髪の色やら言動を考えると、人じゃ無さそうだし……当たり前なのか?

そうなりゃ最悪は俺を殺して止める可能性もある訳だが、かと言ってもズメイもどうやって止める?

今はまだ火球攻撃だけに留まってるが、動き回って狙われたら俺なんてひとたまりもないだろう。

ロリに近付いたとしても防壁魔法とやらの前であたふたしてればヤツに襲われて即詰み確実だ。


「そこら辺の一軒家並みのデカさあるし、ちょいと踏まれるだけで即死案件だしなぁ」


つっても超再生あんなら踏まれても大丈夫か? 

だからと言って痛みはあんだし、保証はねぇから試す気にはなれんな。


「あれ、マテよ……どうしてアイツあそこから一歩も動いてない?」


自分の中でさっきから覚えていた違和感が再び浮上する。

俺を排除する為にズメイが召喚されたのはわかるし、だから俺を狙い続けているのもわかる。

しかし動かずに遠距離で攻撃をし続けるのは排除が目的なら得策とは言えない。

動揺した動きで奇声を上げてる辺り、コイツは俺に攻撃が効かないってのを理解してる。




「なぁおい! コイツって何を基準に襲ってくるんだ?」


「何を基準にって……術者が直感で敵と認識した対象か、魔力に反応して攻撃をし続けるって説明したと思うんだけど―――」


「……オーケー、把握ッ!!」


親切に再度くれる説明をぶった切って、俺は火球を躱してズメイへ向かって走り出す。

術者の直感と言う点で、こいつの目的は最初から俺を排除する為に攻撃しているんじゃないと確信する。


「!? 何してるのニンゲン!」


「ギシャアアァアアアアアアアアアッ!!!」


制止する声とズメイの威嚇する声が爆音に入り混じり、一瞬だけ耳に届く。

すると灼熱の勢いが一層と増し、俺は再生と炭化が均衡する中で構わず前へ前へと足を出す。


そして爆炎の渦中でポッケの中に手を突っ込み、俺は確認を終えると駆ける足へ更に力を込めた。

ステータス

 

 名前 :加苅暁カガリサトル

 種族 :人間

 状態 :正常

 称号 :【コンビニ店員】

     【界客そとびと】 

     【何も作り出せない者ノンクレイマー】 ←New!

 魔法 :???

 スキル:【何も作り出せない者ノンクレイマー】 ←New!

 耐性 :魔法無効化 

     魔術無効化 

 特性 :超回復力

    




火球三連撃は樋口撃ちと言いましてね?(おっさん

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