第4話 腹の立つこと
第4話 腹の立つこと
直也:腹が立つのは肝臓が悪いって本当かいな。
師匠:春は名のみの風の寒さや 谷の鶯歌はおもへど 時にあらずと・・・
また何に腹を立ておる。ワシは近頃のアナウンサーに腹を立てておる。
『次は天気予報でs。明日早くには晴れるしょう』などいう。
sとはなんだ、すといえんのか。日本語に子音で終わる単語はない。
「早く」は連用形である、助詞には体言か連体形にしか接続しない。
早い時間にはであろう。日本語の感覚を疑う。原辰徳は巨人にいるのか。
直也:巨人のヘッドコーチですよ。そんなアナウンサーの低次元の話やのうて、
弱いものイジメ、みんふりする自分に腹が立つ。
師匠:(何、低次元、むっとするが)お前の精神状態が正常なことを示しておる。
昔からイジメは弱い奴がやられる。
真面目なやつはイジメられる。惨め(3ジメ)。
直也:師匠、冗談やないで、脅して金を巻き上げる。
そいつは殴られて鼻血をだしとった。
師匠:それはイジメではない。犯罪である。恐喝もしくは強盗傷害罪で告訴せよ。
直也:そんなことしたら、もっとやられるで。
師匠:とすれば由々しき問題であるな。法治国とはいえんな。
直也:あいつら5,6人で眼をつけた奴から搾り取るんじゃ。
師匠:やくざ顔負けやのう。丸暴で暴力団はおとなしくなったようやが、
予備軍が頑張っておるのか。
犯罪なれば、告訴して刑事責任を問うだけではあかんぞ。
少年法を悪用しよる。被害額に慰謝料を加えて損害賠償を請求せなな。
そいつらの親にも請求できる。刑より金が怖いぞ。
慰謝料は三〇〇〇万を下らない、とでも言うておけ。
直也:へえ、金を請求できるんか。さすがガキ大将OB.
師匠:被害者は勉学に勤しむ真面目な学生であるが、被告らの恐喝により、
原告は学校に行くことが苦痛となり、教育を受ける権利を侵害され、
加えて、人格形成において最も重要視される時期に友人とも生活を
ともにすることを妨げられたことは何をもってしても癒されない。
してみれば、原告らは金銭でこれを慰謝すべきであり、
その金額は七千万円を下らないと言うべきである。
直也:格好ええなあ。ほなけんどさっきは三千万いうたで。
師匠:言うのはただじゃ。訴訟費用がかかるか、まあ、適当でよい。
相手が払えそうな額を出しておけ。向こうの親も慌てるでえ。
直也:そんなに吹っ掛けても裁判所が認めんやろ。
師匠:うむ。それにはワシも腹が立つ。
米国では懲罰的損害賠償つのがあっての、先例の二〇倍を
目安に請求するらしい。本件はまさに『懲らしめないかんケースじゃ』。
日本の裁判所は、裁判所に限らず、日本の役所は先例のとおりやっとけば
間違いないというのが多い。
だいたい、日本の刑は軽すぎる、賠償額も安すぎる。
直也:そうじゃ。飲酒運転は死刑じゃ。
師匠:調子にのるな。一般論をいうておる。
業務上過失致死罪と殺人罪は同列に扱えん。
直也:腹が立ったらどうしたらええんかのう?
師匠:怒ればよい。当然である。
直也:怒ったら直るんかいのう。
師匠:どうしてそう短絡的なのか。憤意が氣を領びく。氣が形を領びく。
そいつら許さんとおもうたら、方法が浮かぶ。今言うた告訴も一つ。
学校全員でそいつらを取り囲むのも一つ。
武器を持ってるようなら近づかぬ。
警察に逮捕させる。そのために税金を払っておる。
先生が知らん顔したら校長にいえ。
校長も知らん顔したら教育委員会に行け。
直也:なるほど。みんフリしてだまっとるはいかんなあ。手はあるもんや。
師匠:喧嘩も戦もやるからには相手が降参するまでやる。
それだけの態勢をたててかかるのじゃぞ。
今の件は告訴と損害賠償請求がええやろう。
地震はちょこちょこくるやつは大きいのは少ない。
腹が立つと怒っておれば、いきなり人を刺したりしないであろう。
近頃ガキは平気で人を殺めるのは何故か?
昔、山口乙矢という17才が社会党委員長の浅沼稲次郎を刺し殺し、
衝撃を与えた。しかもテレビ中継の壇上での事件なのであった。
直也:昔より多いのですか。ごく一部の狂気の連中のやったことで
我々の世代を評価するのは如何なものかと存じますが、
狂気の連中を野放しにするから、のさばると思われます。
師匠、恐喝・強盗はまだええほうじゃ。腹が立つと平気で刺すでえ。
師匠:平気なのか?
直也:暴走族なんか刺した回数が自慢になるそうや。
あいつらだけが不満なことはない。
わしら、普通のもんも今の世の中に不満をもっとる。
一網打尽にして厳しく罰せなあかん。
師匠:同感じゃ。年末に一部の場所で取り締まってお茶を濁しておる。
社会的問題になっておるのじゃから機動隊全員を投入してでも
暴走族を撲滅させねばならぬ。そちのいうように投網で逮捕すれば
他に影響を少なくできよう。うむ、やる気の問題である。
直也:罰し方がぬるいわ。あんなのテロとかわらんで。
バットや鉄棒で殴り殺す。ロープで絞め殺す。あいつら人間でない。
公開銃殺か、市中引き回しの上、獄門晒し首にしたらええ。
ほれに判決がでるんが遅すぎるわ。ほら無実の人を罰したいらかんけど、
はっきりしとるやつはさっさと罰したらええが。
わっせた頃に判決出してもしゃあない。
師匠:今日はええことを言うのう。
弁護士が被告人の人権なぞともっともらしいことをノタマワって
被害者やその家族などは腹タツであろう。
刑事裁判について最高裁は『国家が犯罪人を罰すること』として
被害者の心情ナゾを考えておらんようじゃ。
近頃少し反省したようじゃが・・・。
法曹界は複雑な条文とか判例についてはようしっとるが、
人間としての基本に欠けるのが多いようじゃ。
直也:そんなら被害者は自分で復讐するようになるでえ。
地下鉄サリンの犯人が無期懲役になったというとったけど
遺族の意見きいたんかいな。わしはこらえんでえ。
無期やいうても終身刑とちゃうんやってな。
恩赦ででてこれるってきいたでえ。でてきたらサリンかけたる。
師匠:そう過激になるな。気持は分かる。今陪審(裁判員)制度が検討されておる。
直也:裁判に一般市民が参加するってやつかいな。
師匠:そうじゃ、そもそも犯罪の有無の事実認定に法律の知識がいるかと
いうことよ、社会経験と常識が大切じゃ。
世間と没交渉の検察官や裁判官が判断できるか、
おまえがいうように量刑まで陪審員が関与することになるのか、注目される。
直也:量刑って、懲役何年てこと。ほれより死刑って執行されとんかいな。
凶悪犯は公開の場でやらな信用できん。
師匠:それも一理ある。現行法は絞首刑で検察官が立ち会うらしい。
死刑廃止論も声が大きくなったり小さくなったりするが、
改めて、国家と国民のあり方が問われよう。
直也:だいたい、国家や要るんかいなのう。
師匠:うむ、国家とは『一定の領土に定住し、主権によって統治される人民の集まり』と
されているようじゃが、日本国家とは日本株式会社と考えた方が分かりやすい。
国家法人説が通説のようじゃ。社長は内閣総理大臣としておこう。
戦後国有企業が民営化されてきたが
政府が大株主のところがようけ残っておる。
直也:内閣より、国会が上とちゃうん。
師匠:憲法上は国会が最高機関とされとるが、両院の議長なんて評価されとらん。
国会議員が不勉強やから行政官僚に馬鹿にされとる。
直也:ほんなら国会議員を公募したらええが。
師匠:ええことをいう。
高知県知事はおばさんたちが知事候補を全国から公募したと聞く。
訳のワカラン政党よりずうっといい。
まともな人間が集まって自分らの眼鏡にあった
候補者を立てればよい。選挙に金がかからんようになる。
汚職も減るだろう。候補者も思いきった活動ができよう。
結局、国民がどのような代表者を選ぶかに尽きる。
国民も政治について勉強していかな幸福にはなれん。
直也:よくわかります。どういう政治がしたいかを考えて公募する。
半分以上の有権者が集まったら自分やの代表を国会に送り出せる。
ほの国会議員も新聞テレビにぺこぺこせんですむ。あれみっともないわ。
師匠:向学のためにゆうておくが、
『人は人に対して狼である。そやから国家をつくって喧嘩や、食い合いを
せんようにする必要がある』と昔の人がいうておる。
おまえのいうように国家・国境なんて要らない、という者もいる。
まだ、百年早いと思うがの。早くそんな世の中になればよいが・・・。
直也:なりますか?永久にこんと思う。まだ戦争しよるところがあるのに。
師匠:希望じゃ。だいたい、人間が多すぎる。
地球上の定員を二~三十億にせないかん。
直也:エッチしたらいかんことになるでえ。
師匠:エッチが悪いとはいえんが、いや、種の保存上必要であるが
産児制限は必要である。
人類が採取でくうていける人口は1.5億という計算がある。
農業・工業なぞを始めたから増えすぎたのじゃ。
ほかの生物に、地球に多大の迷惑をかけている。
直也:いっそノアの箱船やないけど地球人口を半分削減したら。
師匠:今日は過激なことをいうのう。
誰を残し、誰を抹殺するか、どう判断する?
産児制限で根気強くゆくしかないであろう。急がねばならんがの。
直也:宇宙飛行士が美しい星地球というとった。
師匠:ちと人類は奢っておる。地球の歴史から言えば新参者のくせになあ。
直也:師匠コーヒー入れよか。
師匠:おお、今日は深刻な話になったで喉が渇いた。