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 気が付くと、こたつ机の両側に、佳織と佳澄がいた。いずれも、机に突っ伏して眠っている。俺のすぐ脇に、孝道が腕を枕にして転がっていた。

 俺は、妻に手を伸ばした。

 そっと、手に触れてみる。触れられる。温かい。柔らかい。

 佳織の手だ!

「佳織!佳織!」

 俺は嬉しくなって、乱暴に妻を揺り起こした。

「ん…」。妻は呻いて、ゆっくりと目を開いた。「何?お父さん」

 まだ、少し寝ぼけているようだった。

「そうや!俺や!お前の夫の純平や!」

 佳織の目が、大きく見開かれる。

「お父さん?!」。そう言って、飛び起きた。俺の方を凝視して、動きを止める。

 俺も負けじと、妻を見つめ返した。

「佳織…、俺が見えるんか?」

「何言ってんの、当たり前やないの」

 妻の目に、涙が浮かんだ。みるみる表情が歪んでいく。

 その顔が、自分の涙で曇った。

 佳織は、まるで子供のように、ワーッと泣いて俺の胸に飛び込んだ。俺は夢中で彼女を抱きしめ、その髪に顔を埋めた。

「お父さん…!純平さん…!」

 佳織はしばらく、会いたかった、寂しかったと言って、俺の胸で泣き続けた。

「また会えるなんて思ってなかった!嘘やないんよね!夢やないんよね!」

 実は夢なのだ。しかし、そんな残酷なことを言えるはずもなく…。

 そうしているうちに、佳澄が目を開けた。

「ウソ…、お父さん」。娘は目を丸くして、俺を見た。こちらは、どちらかと言うと、幽霊でも見ているような表情だった。

 孝道も体を起こした。

「…親父?!何してんだよ!こんなところで!」。いまいち、事態が呑み込めていないらしい。

 しかし、確かに、そこに俺がいると分かると(夢なのだが)、二人とも涙で顔をグシャグシャにして、俺に飛びついてきた。

 生きていたときのことを含めたって、これほど嬉しかったことはない。

 人生は、例え死んだって愛に彩られている。俺の胸は、幸せでいっぱいだった。

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