三者面談2
授業中はと言うと、いつも通り、うるさいのだった。しかし、真面目な生徒が増えてきた。ナイフ事件の早川君、風間君、鈴木君も真面目な生徒に入り、私のクラスは五人が真面目に授業を受けてくれるようになった。しかし、この三人は他の授業でも真面目かどうかはわからない・・・。
放課後、この五人が教室に残って話をしていたのを見つけて、教室に入った。
「あ、先生。」
福島さんが言った。他の生徒たちも私を快く受け入れてくれた。
「ねぇ、まだ一度も学校に来てない生徒がいるじゃない?みんなは、その生徒達にも学校に来て欲しいと思うわよねぇ?」
5人の前で私が、そう聞くと、風間君はけだるそうに自分の机に肘をつけ、足をだらりと伸ばしながらもしっかりとした口調で言った。
「でもさぁ、この学校に来てる人の中には、小学校の時に不登校だった人もいるからねぇ。そう言う人たちは、来ないんじゃないのかなぁ。」
妙に納得する台詞だった。風間君は、もっとだらしない子かと思っていたけど、思ったよりも確りしていて嬉しかった。
風間君がそう言った後に、白田さんが他の子の席に座り机を爪で器用にたたきながら言った。
「そうだけど、一生家に閉じこもったまま生きることなんて出来ないんだし、学校に来た方が良いと思うよ。」
ここにいる生徒たちは、私の心の中を知っているのだろうかと思うようなことを言ってくれている。みんながそろった教室にしたいという気持ちを持っているのは私だけではないようだ。
「そうだよねぇ。それに、クラス全員がそろった写真とか撮りたいしね。」
福島さんが、机の上に座り腕組みしながらため息交じりに言った。
「でもさぁ、来ると思うか?それに、どうやって連れて来るんだよ。」
早川君が頬杖をつきながら言った。
「ねぇ、早川君はさぁ、友達がなかなか出来なくて苛々してたじゃない?全員そうだとは限らないけど、来ていない生徒の中には、友達が出来るかどうか不安で来ていない生徒もいると思うんだよ。」
私が、そう言うと、風間君が嫌そうな顔で言った。
「もしかして、俺たちに何か手伝わせようとしてるんじゃ・・・。」
意味深な表情を作って言ったせいか、風間君が私の言いたいことを言ってくれた。
「よくわかったわねぇ!そうなのよぉ。」
と言うと、白田さんと福島さんは結構、ノリノリだった。男の子達は、嫌そうな顔をしていた。
「ねぇ、先生、どうやって連れてくるつもりなの?」
福島さんが、身を乗り出して聞いてきた。白田さんが首をかしげた。
「私達は、何をすれば良いの?」
鈴木君は机の上に両足を乗せて、
「何で、俺たちがそんなことをしなくちゃいけねーんだよ。」
不満そうに言った。風間君、早川君は頷いていた。
「この作戦はね、まず、どうして来ないのかをアンケート調査するのよ。それで、来ない理由を教えてもらって、そこで一人一人作戦を考えていこうかなと・・・。」
「ふうん・・・。」
福島さんと白田さんは、納得したように見える。真剣な顔でお互いを見あっている。男の子達はというと。
「その理由が、何と無くとかだったらどうするんだよ。」
早川君の台詞だった。確かに、そう言う子もいるだろう。
「そう言う子にはね、貴方達に来るように説得して欲しいのよ。私よりも生徒の気持ちが分かると思うしね。」