エピローグ的なアレ
昔々、魔王とが世界を支配していました。
魔王は、至る所で悪事を働き、村人を苦しめていました。
勇者はそんな魔王を許せませんでした。
勇者は魔王に圧倒的な力を見せつけられても諦めず、最後まで剣を振るい、魔王を倒しました。
こうして世界に平和が訪れたのです、めでたしめでたし。
「ママ!僕も勇者になりたい!」
そう叫びながら、ヒノキの棒を振り回す少年の名は、アデューヌ5歳である。
アデューヌが産まれた国は、『グランフラム』と呼ばれる、世界最高峰の軍事力を誇る大都会である。
そのため、魔物の侵入などはなく、外を繋ぐ扉が開かれるのは年に数十回であろう、17歳までは門の外に出ては行けない法律があり、門を出た後は自己責任となる。
しかしその裏腹、秩序を守らない人間に厳しく、守らなかった者は闇へ葬られる、なんて噂がある。
アデューヌは鼻歌交じりで、勇者の真似をしご満悦のようだ。
あろう事か、動き回り疲れたアデューヌは外で寝始めたのだ。
グランフラムでは外で寝る事は法に反し、何らかの処罰を受けるのである。
アデューヌが眠っていると、なんだか騒がし声が聞こえてくる。
「お願いします!私ならどんな処罰でも受けますからこの子だけは!」
「ダメだ、そのような事は認められん」
「お願いします!なんでもしますから!この子だけは!」
「ふむ…そこまで言うのなら今回だけは特別だ、お前らこの女を連れて行け」
アデューヌが目をさますと、そこはただただ暗いだけの家であった。
母親の姿はなく、たった一つのメモだけが置いてあった。
「絶対戻ってくるから、心配しないでね。」
少年は母親を探すため、門の外へと足を踏み入れる。