ダンジョン作成①
夜が明けて、異世界生活2日目。
今日より本格的にダンジョンを造っていくことになる。
前日に立てた計画を元に、どこまで強いダンジョンを創造できるかで僕の今後や生死までもが左右される。
自らの手で平穏を手に入れる為に頑張ろう。
覚悟を決めた僕は目を開いて起き、椅子から立ち上がる。
眠りから目覚めた僕が部屋を見回すと、バフォメットがいなくなっていた。相談したい事があったんだけどな~。
どうやら夜の内に外へ出掛けてしまったようだ。そういえば、この森には危険なモンスターとかがいないとか言っていたな。
…森?
よく考えると昨日は部屋から一歩も出ていなかったよなと思い、何となくではあるが僕も外へと足を踏み出した。
緑。
そこは一面の緑だった。
草葉が青々と茂り、木々が風に吹かれてざわめく。虫や小動物の鳴き声が時々聞こえ、見渡す限りに密になって鬱蒼と生える植物達が絡まり合っている。
部屋の中ではあまり気にならなかったが、熱気が僕にまとわりついてくるようだ。夏なのかと思っていたが、どうやらこの外の様子をみる限り土地柄的なものなのかもしれない。
前世の常識がここの世界でも当てはまるとは限らないし、判断してしまうには時期尚早なのだろうが。
ふと、部屋の入り口はどんな感じなのだろうと思って振り返る。
そこには──
巨大な木にぽっかりと空いた木の洞があった。どうやらさっきまでいた部屋は木の洞の中にあるらしい。
ダンジョンが森だから部屋の入り口もこうなっているのかもしれない。しかし、部屋の中と外との違いに首を傾げた僕。
木の中にある部屋なのに、部屋の壁が木ではないように感じられたからだ。
そういえばモンスターがいないと言っていたのに動物の声が聞こえるのも何でだろう?」
「モンスターと動物は違う生き物だからな」
「うわあああぁぁぁ!???」
いつの間に戻って来たのか、突然背後から声を掛けられた僕は驚いて情けない叫びをあげてしまった。
振り返った先にはバフォメットが立っており、僕の大声に驚かされ目を見開いていた。
「い、何時からそこに…。というか、なんで僕の考えていることが分かったんだ」
「モンスターがいないと言って、の辺りから口に出ていたぞ?戻って来たのはその時だ」
どうやら考えていることを途中から口に出していたようだ。全く気づかなかったな。
それに背後に立たれても気づかなかったなんて、そんなに考え事に集中していたのか。
とりあえずバフォメットも帰って来たことだし、ダンジョン創造を開始するとしよう。