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赤松記7


折しも、上様と別所殿との間に不和が生じ、急遽、滝山たきやまへと退かれました。我らはお供せず、別所方の三木みきに留まりました。


その後、(上様が)再び入国された際、別所氏と同道して英賀へ参上したところ、しゅくゆうが独断で我らの出仕を差し止めました。その理由は、前述の通り八郎を特別に引き立てていたところに、我らが現れれば、阿方の件の調査が行われて自分達にとって都合が悪くなるからです。


とにかく我らを押し込め、河合八郎に知行を与えようという魂胆でありました。


この河合八郎は、後に上月八郎と名乗りました。その子細は、御馬廻り衆に上月右京亮(こうづきうきょうのすけ)という御仁がおりましたが、彼は福井浅日山の合戦で討死したため、残された娘が一人いるだけでした。そこでこの八郎を婿養子にして、上月の名を名乗らせたのです。


しかし後に八郎は狂気を発症し、自害して死んでしまいました。


そうなれば、阿方あがたの地のことは重ねて、(沙汰を待つまでもなく)我らのものになるはずでした。


ところが、何としてでも(八郎の家系を)取り立てるために、何の罪もない我らを抑え込み、源五郎を引き立てました。その流れで、弟子のしゅくゆうまでもが左馬助に味方するようになったのです。


そのため、我らは別所氏を頼って小河おごうの地に引き籠もっておりましたが、思いもよらず、奉行の難波肥前(なんばひぜん)から使いの者が来ました。


その理由は、難波の方へ性煕せいき(晴政の戒名)様からのおひねり(密書)が届き、(密書を読んだ)難波(肥前)からの手紙を預かってきたためでした。その密書の文言は、「得平の子(虎千代)が成人したと聞いている。御曹司様(義祐)へ仕えさせるようにと、よくよく申し伝えよ」という内容の御文章でした。


このような仰せがある以上は、早々に参上するようにと難波が言ってきたため、やむを得ず承知いたしました。


息子である虎千代が十一歳の時から御奉公し、その後、元服して源四郎となり、後には右近大夫となりました。このように幼少の時から夜昼なく奉公いたしました。


また難波から使いが来て、以前と同じように密書が届きました。


「我ら(得平一門)も参上して奉公せよ」とのことで、難波からも「このような主君の意向がある時こそ幸いである」と言われました。


覚悟を決め、この時にこれまでの(これまでの土地に関する)訴訟のことなどを、自分自身で決着させようという心積もりでした。そう言って在所(小河)を空けて小塩(置塩)へ参りましたが、在所はすぐに別所氏によって押領されてしまうに違いありません。


幸いにも(難波が)奉行でしたから、「(小河を離れた後の)跡先のことを、よくよく分別して都合がつくように取り計らってください」と頼みました。


難波は「貴方が言うことはもっともだ。しかし、この段を誰彼に内密に使いを出せば、後々になって反逆の志があると思われてしまうだろう。分不相応にも、私が奉行としてお仕えしておりますので、皆様にご迷惑をおかけしないよう、精一杯立ち振る舞うつもりでおります。」と、固く約束しました。


そうして小河を捨てて小塩へ参ったところ、案の定、かねてからの通り、私の訴訟はなかなか進まず、困り果てておりました。


そこで、中将殿という方に仲介をお願いしました。この方はとりわけ主君の覚えがめでたく、熱心にご奉公されていたので、彼を頼って、上様へ詳細を記した一書を差し上げました。


すると、これをお聞き届けくださり、「言い分はもっともである。できる限り良いようになるよう、万事うまく取り計らってほしい。いよいよ油断なく奉公に励むように」と、色々と丁寧な御返事をいただきました。


その折、御曹司様が御出陣なされて高砂に陣を張られました。


私の子の源四郎はその陣に詰めており、その他の我ら得平一族は小塩(置塩)に詰めて奉公しておりました。


その時、左馬助さまのすけは陣中におりましたが、途中で行方をくらましてしまいました。


これは幸いなことだということで、弘治元(1555)年三月十七日、所々の知行を返還してくださる旨の御判(署名入りの文書)をいただきました。


左馬助については、国から追放するよう仰せの書状をいただきました。


その際、現在の知行分をひとまとめに書き出し、性煕様、ならびに義祐様の御父子から、陣中にて御袖判(主君の略署)をいただき、難波に裏判(確認の署名)を封じさせました。


めし様に御ゆかりのある者たちが後になって色々と異議を唱えることがあっても、これまでの経緯をよくよく心得ておくようにと、役に立たないことをむやみに書き集めたと思っておりますが、大筋の次第だけを書き記しています。



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