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決意
熱波が陽炎のようにたなびく朝、麻子は夏子の道場にいた。パシパシと心地よい音に交じってバジン、ガシンと鈍い音がする。麻子と師匠が修行に使っている木刀の音だ。突き!竹刀と、違って一本一本が重い。涙が出そうだ。だが後輩や同僚の前で弱音ははけない。ましてあの夢が、現実になったらと思うと胸が、張り裂けずにはいられない。私が、あの世界を守るんだ
夏子が心配そうにみている。師匠が一瞬夏子をチラ見したときき「突きい」鋭い木刀が胴体に当たっては師匠もたまらず左足をついた。「やったあ初めて師匠が倒れた」小躍りしている私に「今はよそ見していたからなしなしと」慌てる師匠に「勝負は勝負、負けだよ。」と夏子が冷たい視線で師匠(自分の父)ゆを見おろす。「それにしても麻子ちゃんは強くなったなあ。」一カ月前とは大違いだよ。と私の髪の毛をワシワシとなでる。今試合したら陽子さんにもひけをとらないかな。師匠は言った。私もウキウキしていた。




