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その四十五

 ベッドに潜ってこれからを考える。

 貴族出身の高位侍女に「街から離れた場所で不安」と言われたのを思い出す。


 ヘムンズが恐かった。

 やはりこの塔から出たい。


 ランスロットに誤解させたのも気になるけど、それもこれも自分がこの塔へ幽閉されているのが発端だ。

 なんとか死の呪いを解呪してこの塔を脱出しなければ。


「わたくしの運勢はどう変化しているのでしょう」


 呪いの解呪を成功させるには、術者の悪魔よりも総合運で上回る必要がある。

 もし、術者より総合運が低ければ解呪に失敗する。

 解呪に失敗すれば、今度は増幅した死の呪いが降りかかって即死しかねない。


「状況は改善していると思うのですけど」


 そろそろ一度、現状の運勢を把握しておくのがいいかもしれない。 


 起き上がってテーブルの真ん中に小石を六つ並べる。

 総合運を判断するために恋愛運、仕事運、金運、健康運、学問運、家庭運の六大運勢を占う魔法を発動した。

 まず最初は恋愛運。


「えー、予想はついていました」


 恋愛運の小石は虹色に輝き、当然のように塔の壁まですっ飛び、当たって割れた。

 依然カンスト状態は変わらない。

 まあ複数人からプロポーズされたので想像はついていたけど。


「仕事運は……赤⁉ え、なんで?」


 次に良かったのは仕事運。

 この石が大きく動いてなんと赤に輝く大幸運を示したのだ。


 最初はなぜと首をひねった。

 でもよく考えると、ここ数日は恋の占い魔法に対して物で報酬を得ている。

 最初はシャルロッテの宣伝効果による集客だった。

 けどその後は、悩める女性たちのハートを掴んでの大盛況。

 結果から見れば、仕事運が最高の大幸運なのは妥当かもしれない。


「金運はまあ期待薄ですが。ってあれ? え、どうして⁉」


 もっと戸惑ったのは金運。

 なんと小石が緑色に輝く中幸運だった。


 手元に銅貨一枚すらないのに中幸運は意外だった。

 でもその気になればお金を得ることはできる。

 恋占いの対価を物ではなくお金にすればいいのだ。

 爵位のあるなしで金額を設定すればみんなも受け入れてくれそう。


「健康運は黄色になっていて欲しい。わ、緑色!」


 続けて健康運。

 こちらも小石が結構動いて緑に輝く中幸運。


 一時は餓死寸前までいった。

 骨と皮になったけど、ランスロットたちが干し肉やサンドイッチなどをくれて復活。

 さらに占い魔法の返礼品でお茶菓子を多くもらえる。

 それを相談者と一緒に食べたりするので、最近はこけた頬もいくらかマシになった。

 決してお腹一杯食べられる訳ではない。

 だけど、食べ過ぎないことが逆に健康的な生活に結びついている気がする。


「学問運はさすがに期待薄。あれ、勉強はしていないのに」


 学問運の小石は黄色に輝く小幸運だった。


 特別何か勉強している訳でもないし、教師や教材に恵まれてもいない。

 ただペンと紙はある。

 本だって相談に来る貴族女性に返礼品で望めば手に入ると思う。

 夜はひとりの時間もある。

 努力できる環境にあるということだ。

 総合運への影響を考えるならば勉強もしなくては。


「家族運は……駄目ですか」


 当然というか、家族運の小石は青色でまったく動かずにそのままだった。


 ハンナやアンディとは家族同然の付き合いをしている。

 だから家族運が改善しているかもと淡い期待をしたけど甘かった。

 家族のように大切に思っていても、まだ家族というくくりではない。

 たぶん友人枠なんだろう。


 結果として恋愛運、仕事運、金運、健康運、学問運、家庭運の六大運勢は、虹色、赤色、緑色、緑色、黄色、青色だった。

 一般的には黄色から緑色なので凄く運勢値が高い。

 以前に占って、恋愛運以外がすべて青色だったのを考えると驚くほど改善した。


「ほっとしましたけど、これでベネディクト女王陛下に扮する悪魔の運勢を上回っているのか分かりません」


 相手は国を統べる者。

 あらゆるものが思いのまま手に入る。

 潤沢な国庫を牛耳る最高レベルの金運。

 国家の統治という最高の役割が与えられた仕事運。

 贅沢な食事と最高の医者に維持される健康運。

 最高の教師も教材も思いのままの学問運。


「予想がつかないのは恋愛運と家族運でしょうか」


 悪魔は恋をするのだろうか。

 まあ恋をする時間や経済的余裕はあるだろう。

 好きな悪魔との恋愛が発展して結婚すれば、家族運も自動的に上昇する。

 でも客の侍女たちからは女王のそんな噂など聞かない。

 女性が恋占いでやって来るのに、女王に恋の相手ができて話題にしない訳がない。


 恋愛運だけは誰にも負けないと言い切れる。

 あとはほかの運勢値しだい。

 だが正体は悪魔でも女王の座に君臨するくらいだ。

 並外れた幸運の持ち主だろう。


 せめて青色だった家族運をなんとかしたいが。


「塔を出られずお母様のいる修道院へは行けません。お父様は亡くなってしまった。家族運を上昇させるのは、もう無理なのでしょうか」


 術者である女王よりも総合運を上げなければ、死の呪いは解呪できない。

 ネックは家族運になりそうだ。



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