91話 スライム達の進化
ヒュウのダンジョン攻略が終了して数日後、グラムの噂はダンジョンだけでなく外の世界にも広まった。
「凄い噂になっているな『ダンジョンのフロアボスは巨大な魔王』・・・無慈悲な一撃で相手を潰す」
「こっちは酷いよ『女神・エイミィ、魔王を使役する』だって・・・グラムは魔王じゃなくて、巨人族よ」
いつものように作業部屋でダンジョンのコンテンツ作りに励む俺とエイミィは中休憩としてギルドが発行している新聞を読んでいた。ギルドの会員になっている事でこういう情報とか来てくれるからありがたい。おかげで外の情報もある程度把握することが出来る。
「だけどこれでフロアボスの存在は明るみに出たわけだ。今後はグラム対策で攻略を仕掛けてくるだろうね。映像を記録する魔法具を使っていたみたいだしグラムの映像もしっかりと映っているぞ」
新聞にはデカデカと仁王立ちをしているグラムの写真が掲載されていた。記念としてグラムに渡すとかなりニヤついて記事を読んでいた。
ちなみに新聞にはヒュウ以外にもグラムに挑戦した者達のコメントが載っていたが『二度とあそこにはいきたくない』や『筋肉コワイ』と述べていたそうだ。仲には『筋トレしてまた挑む』と語っている挑戦者もいたそうだ・・・何故筋トレ?
まあ、あんな戦闘があったわけだし彼らが復活するのはまだ先になりそうだ。他の挑戦者もグラムの存在を知って、5階層辺りで狩りをしている者が多い。まあ、少しずつ実力を付けていけばいいさ。
ヒュウの情報公開でどんなアイテムが手に入るか等も知られたので良い宣伝になってくれている。挑戦者の数も着々と増えて魔力も溜まっていく。
「この調子なら新しいポップモンスターを出しても問題ないだろうな」
ダンジョンモンスター達の移住希望のリストアップは完了し、その後釜となるモンスター達を生み出す魔力も十分。そんな風に考えていると数匹のスライム達がやって来てまるで仕事を邪魔する猫のようにじゃれてきた。
「はは、お前達も住民になるか?」
そんな風に質問してみるとスライム達は拒否するように体の一部を伸ばして『バツ印』を作った。魂が宿った事で自我が宿り明確に意思を伝えるようになっている。
どうやらこのまま俺のテイムモンスターとして掃除係をしたいそうだ。
「ううぅ!お前ら本当に良い奴だな!」
もう完全にスライムに愛着を持った俺だがここで少し問題がある。
「とはいえこのまま挑戦者達が増えると掃除の頻度を増やさないといけないよな・・・スライムの身体じゃ不便な所もあるだろうしヒトの方が出来る範囲は増えるが」
そう口に出すとスライム達がなにやらプルプルと身体を振るわせて人の形になろうとしていた。
「あいやいや、別にお前達に不満を持っている訳じゃないんだ!ただ・・・」
一生懸命身体を変えようとするスライム達を宥める俺・・・そして傍から見ているエイミィは冷めた目をしていた。
「私は何を見せられているの?」
そんな冷めたセリフも俺とスライム達の熱い友情には届かない。
というか聞かないふりをする。
「そうだ、【テイムスキル】でお前達の進化先が選べるんだしそれで打開できるかも」
思い立ったが吉日と言わんばかりに早速モニターを開きスライム達の進化先のリストを見た。
・アルケミストスライム
・ヒーリングスライム
・セージスライム
・ビッグスライム
・ヒューマノイドスライム
お、以前見た時よりも種類が増えている。
「とりあえず幹部クラスのスライム達をっと」
幹部クラス・・・つまり俺が最初にテイムした5匹のスライム達の事。
その他に50匹ほどいるがこいつらは幹部クラスのスライムの指示に従って清掃をしている。
俺は進化先を一つずつ選んでスライム達を進化させる。
するとスライム達はプルプルと震わせ徐々に色が変色していく。
アルケミストスライムは赤色、ヒーリングスライムは緑、セージスライムは黄色、ビッグスライムは濃い青・・・そしてヒューマノイドスライムは色ではなく姿がヒトに近い姿になる。
ヒューマノイドスライムは自分の姿を確認すると「当たりを引いた!」と言わんばかりに喜び、他のスライムは落ち込んだ様子で身体が平べったくなった。
「ほらほら、お前達落ち込むなって。人に近い姿になれなくてもお前達の能力とか凄いぞ」
アルケミストスライムは予想通り【錬金術スキル】のレベルが上がっており調合できる範囲が増えた。ヒーリングスライムは【回復魔法】に特化したタイプ、セージスライムは【攻撃魔法】に特化したタイプのようだ。覚える魔法はまだ初級のものばかりだがこれから成長しそうだ。ビックスライムには【巨大化】と【分裂】のスキルが加わり最大で100匹まで分裂して統率が出来るそうだ。ある意味一番今必要と思っていた【スキル】かもしれない。
そしてヒューマノイドスライムは、外見がヒトに近い状態になった事で物を持ったり歩いたりすることが出来るようになった。そして俺が注目したのは【擬態】という【スキル】だった。
「なぁ・・・試しに俺に【擬態】してくれ」
ヒューマノイドスライムはコクり頷くとのっぺらぼうだった顔が俺そっくりになり背丈だけでなく衣服まで完璧に俺と同じになった。傍から覗くように見ていたエイミィも感心した様子だ。
「スゲーこれは面白いな、影武者とかできそうだ」
俺が褒めると「やっぱり当たりだ!」と言わんばかりにニヤリと笑うと他のスライム達が一斉に襲い掛かる。っちょ!俺の姿で攻撃しないでくれ!
そんなわけでスライム達の喧嘩を止めた後にそれぞれの役割を与えた。
ちなみにヒューマノイドスライムの【擬態】は少しでも攻撃を受けると解除されることと、何もされなくても最大で10分までしか維持できない事が分かった。
「まあ進化した訳だし今後の成長に期待だな。ここまで個性が出てくると掃除以外の役割とかお願いするかもな」
俺がそう呟くとスライム達はやる気を見せるように身体を動かす。
本当に可愛い奴らだ。
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