77話 英雄ご案内
「ダンジョンよ!俺は帰ってきた!」
転移門をくぐって懐かしい光景を見つつ俺はそんな事を言うが、ネタが分からないのか誰もツッコミは入れずに『はい戻ってきましたね』とデューオが答えてくれるぐらいだった。
「ここがダンジョンの中だと?・・・空には太陽に雲・・・風もある。どうなっているんだ?」
初めて来た才は実に予想通りの反応をしてくれた。
まあそういう反応をするよね。
「ここはれっきとしたダンジョンの中だよ。住民用のフロアで直径40キロの島をイメージして作っている・・・まあ人口に対してこの広さだから土地はまだまだ余っているけど。それは【天候魔法】で外の天気とリンクしているから雨もちゃんと降るよ」
「コレがエイミィの力を使った結果か・・・まさに神の芸当。なんでも可能にしてしまいそうだ」
まあ俺も正直この【ゴッドスキル】は反則だとは思っているし、こんな力を私利私欲に使われたらとんでもない事が起きそうだ。
「あら?ではテオプアも神狩りに参加するのですか?」
才がそう呟くと丁度そのタイミングでエイミィがやって来る。
後ろにはメリアスとグラムが一緒にいる為なのかいつもの女神モードだった。
そしてエイミィを見るとデューオ達達はすぐさま頭を下げ邪魔にならないように離れた。本当に空気が読める者達だ。
「いや女神・エイミィを敵に回してはいけないと思っただけだ」
「そう・・・私としても才とは戦いたくないですし、友好的である方がお互いに良いと思うわ。来て早々に追い返すなんてことはしたくないし」
エイミィは冗談風に言っているが後ろの二人がいる時点で追い返す準備は出来ているんじゃないかと内心思った。
「それでエイミィ・・・わざわざ迎えに来てくれたのか?」
「ええ、ダンジョン初のお客様ですし、才とはこうして直接話をしたかったからね。それと光輝がテオプアでどんなものを仕入れてきたのかも興味ありましたから」
お土産を楽しみにしている子供か!・・・まあちゃんと買ってあるけど。
「とりあえずここで立ち話もなんだし居住エリアに行かないか?才にダンジョンの街を見てもらいたいし」
「そうねそうしましょう」
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「へぇ・・・随分と穏やかな場所だな」
居住エリアに到着すると才は早速いろんな場所に建てられている家を見ていた。
今の所木造建築ばかりだから街というよりも村に近い感じだが。
「ダンジョンに来客を呼ぶとか考えていなかったから迎賓館みたいなのは無いけどな」
「今後俺以外の人を呼ぶとしたらそれは用意した方が良いかもな・・・豪華な建造物というのはその人の威厳を象徴する事も担っている。まあどういう形で呼ぶかにもよるが」
「そういうものなのか・・・ああいうのって、ただ偉ぶるために豪華にしているイメージがあるが」
「どういう偏見だよ・・・あと相手に会わせて対応する場所のランクは決めておく方が良いぞ。テオプアでも相手によって割り当てられる応接室とかあったから」
へぇ・・・これまでそういう経験が無いから知らなかったが才は貴族相手とかしてきた為そういうのに慣れているようだ。
グラムやメリアスも納得した様子で才の言葉を聞いている。
まあ客対応とかは今後どうするか皆で相談が必要だな。
「それは今後の課題かな・・・正直外の世界の事を知らない俺達からしたらマナーや常識がズレているだろうし」
「一応ギルドではそういう座学とか行っているぞ」
「そうなのか?」
「護衛、接客、商売・・・対人コミュニケーションを身に着けるための支援はしているさ。ジェコネソでも定期的にやっているからここの住民にも募集をかけてみたらどうだ?」
コミュニケーション能力か・・・俺ももう少し勉強した方が良いのかな?
「それじゃ次はダンジョン自慢の農場エリアにいくとするか」
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「これは凄いな」
見渡す限り、様々な作物が育てられている光景に才は目を奪われていた。
「奥の方に行けば果樹園や牧場とかもあるな。ウチのメリアスが担当して管理してくれている」
「なぁもう少し近くで作物見せてくれないか?」
珍しく才が目を輝かせて訪ねてきたので俺がメリアスを見ると彼女は無言で頷いた。
どうやらOKのようだ。
許可が下りた事を才に伝えると少し駆け足で畑の方へ向かい作業している住民達の邪魔にならない所から眺める。と言っても俺やエイミィ、メリアスにグラムと揃っていたら皆作業に集中出来るのだろうか?何人かはチラチラとこちらを見ていた。
「凄いな・・・これほど立派なトマトとかテオプアでも見たことがないぞ・・・あっちはジャガイモか?他の作物と比べて随分と作っているみたいだが」
「ありがとうございます。トマトやジャガイモの品種改良には特に力を入れており、研究も兼ねて多めの広さで育てています」
才の疑問に答えるようにメリアスが答えると才に採れたてのトマトとジャガイモを見せる。この二つは俺の好物のフライドポテトとケチャップの材料だからな。初めてこの世界で食べた時の感動が忘れられないのかメリアスは頑張って作ってくれている・・・まあ作物の知識を持つのアルドが来るまでは何回も魔物化させていたが。
「なぁ光輝、ダンジョンの作物とか仕入れとかできないか?」
「それは出来るけど、流石にすぐに国と取引する規模は無理だぞ」
「最初は俺が料理する分だけでいい」
え?才が料理・・・そう言えばテオプアに地球の料理を教えたの才だったな。
結構なんでも出来そうな感じだし料理くらい出来て当然か。
「なんか失礼な事考えていないか?」
「いいえ別に・・・まあ作物の出来次第で量は変わるけど」
「それで全然かまわない」
才はそう言って嬉しそうに手に持ったトマトを眺めていた。
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