76話 ダンジョン化
『屋敷をダンジョン化させますか?』
そんな文字が俺のモニターに表示された。
「光輝どうした?」
「いや・・・なんか契約書にサインしたら『屋敷をダンジョン化させますか?』ってモニターが出て来て」
「どれどれ・・・なぁ、これダンジョン化させたらモンスターが出てくるなんてことは無いだろうな?」
才も興味深そうに俺のモニターを見ると不安そうな声で俺に訪ねてきた。
「・・・ダンジョン化だから、設定次第では出せるかも。とりあえずエイミィに連絡を入れるが才も混ざるか?」
「そうだな・・・俺からも色々と聞きたい」
とりあえず才も交えてエイミィに連絡を入れるため、ゾア達に部屋から出てもらう。
『あら?この時間に連絡とは珍しいね・・・それに隣にいるのは地天才ね』
「一応、才も交えて連絡をね・・・ゾア達は別室で待機してもらっている」
『分かったわ・・・それで?何かあったの?』
ゾア達がいない事を知ると少し表情が和らぐ・・・つまり素モードになったわけだが。
「まああったというか、実は例の貴族の件でギルドから屋鋪を報酬としてもらったんだ」
『例の・・・ああ、たしかマリーを欲しがっていた愚か者の事ね』
愚か者・・・まあその通りなんだが声のトーンが妙に低くて怖いぞ。
「っでその屋敷を貰うための契約書にサインしたら『屋敷をダンジョン化させますか?』ってメッセージが表示されたんだ。これってどういう事か分かるか?」
『なるほどね・・・簡単に言えば、その屋敷は光輝の所有物になった事でダンジョンと同じような事が出来ますよってこと』
「やっぱり・・・ちなみにダンジョン化させたらこの屋敷がそっちのダンジョンみたいにでっかい塔みたいになったりしないよな?」
『外見の設定とかは光輝が弄らなければ変わらないわ』
よかった、せっかくもらった屋敷が変化しないか心配だった。
「つまり光輝の設定次第ではダンジョンの魔物をこのジェコネソに無尽蔵に解き放てるわけか?」
俺が安堵していると才がとんでもない事を確認しだした。
『・・・やろうと思えばできるわ。だけど才、あなたから見て光輝がそのような事をする人物だと思っているの?』
淡々と答えるエイミィだが明らかに好意的じゃない視線で才を見ている。
だが才はそんなエイミィの視線に意に介さない様子で言う。
「確認のための質問だ。この数日間光輝達を見ていたがそんな事をするとは思っていない」
才が心配する理由は分かるしこの屋敷はジェコネソの中にある・・・つまり外の脅威だけでなく新たに内から脅威が誕生する可能性もあるわけだ。
『そう・・・才がそう思っているならいいわ。まあ、そもそも光輝がダンジョン化させなければ良いだけの話だしね』
「あ・・・それもそうか」
なんか話の流れ的にダンジョン化した後の事になっていたが俺がダンジョン化させなければ良いだけの事か。
「いや、俺としてはここをダンジョン化させる事に反対はしない」
「え?・・・でもさっきはダンジョンモンスターの事を心配していたじゃん」
「あくまで最悪の事態のケースの可能性を確認したかっただけの事。さっきも言ったが俺はお前がそんな事をする奴だとは思っていない」
才が真直ぐ俺を見て断言してくれるとなんか嬉しい反面ちょっと恥ずかしい気持ちだ。
「それにここがダンジョン化するという事は、そっちのダンジョンの行き来が楽になるんだろ?」
『そうね、転移門の設置すればいつでも行き来ができるわ』
「俺としてはダンジョンとの繋がりは持っておきたい」
『・・・つまり取引がしたいと?』
「交易、異文化交流・・・でも良いが、ダンジョンでの取引で得られるものはこちらにとっても刺激的なんだ。それと同時にそちらにも良い刺激になると思っている」
異文化交流か・・・確かに他国との繋がりはこちらとしても利益は大きいがリスクも高い・・・特にエイミィ関連の情報はトップシークレットもんだ。
『才の事は信用できるけど、正直リスクが大きいわね・・・ダンジョンの目的の一つは私を守る事だし』
「別に国単位での取引をするとは言わない。光輝を商人ギルドに登録してそちらが欲しい物とこちらの欲しい物を照らし合わせて取引を行おうと思っているだけだ」
『なるほどね光輝と才が窓口になれば情報漏洩は最小限に済ませられる』
確かに交易とか言うとデカい取引をイメージするけど俺と才個人での取引ならまだリスクはかなり低い。
「そっちだって住民はいても土台は盤石とはいえないんだろ?」
「まあまだ出来て一年も経過していないし」
「一年足らずであの品質かよ・・・お前、さんざん俺がこの世界で色々とやらかしているとか言っていたがお前も対外だぞ」
呆れた様子で才が見るがそれはお互い様だ。
『いいわ、正直こっちも色々と足りない物が多いからね・・・なるべく《《常識的》》な物を出すようにするわ』
「そうしてくれ。龍酒なんかを樽ごと出されたりしたら大問題だ」
エイミィの許可も出たのでこれからはテオプアとの交流が増えそうだ。
『それじゃ光輝、ダンジョン化させたら転移門でダンジョンに繋げて才と一緒にこっちに来てくれる?』
「分かったが・・・いいのか?才をダンジョンに呼んで?」
『近い内に彼は呼ぶつもりだったし、せっかくならダンジョンの街を見て感想を聞きたいしね』
エイミィはそう言うが、つまり才にダンジョンを見せつけて自慢したいのだろう。
エイミィの許可も下りたので早速俺はこの屋敷をダンジョン化させる。
一瞬屋敷の中が歪んで見えたがこれでダンジョン化に成功したのだろうか。
異変に気付いたゾア達は何事かといった様子で部屋に入ってきたが、モニター越しのエイミィがダンジョン化させたことを説明して納得してくれた。しっかりと女神モードに戻っているのを見た俺と才は微妙な表情で彼女を見ていた。
「つまりいつでもワイらはダンジョンからここへ行き来出来るっちゅうわけやな」
「ああ、それと後でワイトに連絡入れてくれないか。ダンジョンに戻りたいならこの屋敷に来て欲しいって。あの時、流れでトーマスさんに預けたけどワイトも一度ダンジョンに戻って色々と取りに行きたい物とかあるだろうし。」
「せやな了解したで」
ゾアがワイトに連絡をしている間俺はモニターを確認すると『光輝の屋敷』という項目が増えているのを見つけ、タップするとダンジョンの編集と同じように色々と設定する事が可能なのを確認できた。
とりあえずダンジョンの地下45階層の住宅エリア辺りまでの転移門を発動させる。
「コレがダンジョンへ繋がる転移門なのか?」
「そうだね・・・一応住民達が住むフロアへ繋がっている」
『フフフ、才がどんな顔をするか楽しみね』
とりあえずゾアはワイトが来るのを待ち、テスラ、ジョージは屋敷の設備の調査の為ここに残り、デューオ、ボーロック、マリーは俺達と一緒にダンジョンに戻る事にした。
さて久々にダンジョンへ帰還だ。
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