64話 お詫び
地天才・・・俺と同じこの世界に召喚された人物が今俺達の目の前にいた。
「さて、本当にウチのバカ男爵が失礼な事をしました。いずれ奴には然るべき処分を下すつもりです」
「処分って・・・確かにムカつきましたけど一発ぶん殴りましたし。というか今更ですけどこれってテオプアに喧嘩売ったってことになったり・・・」
今更だが事が大きくならないか心配になって来た。
「その心配は無いです。むしろこっちが女神・エイミィの関係者たちにご迷惑をかけてしまいましたし。あのバカ男爵の首一つで足りるか」
「いや要らないです」
俺がキッパリと答えると俺と才はお互いの目を見て笑い出す。
「だろうな・・・というか、敬語はやめないか?年も近いし、名前も呼び捨てで構わない」
「そうしよう・・・さっきも言った通り俺は殴ったしもう気にはしないが、今回の一番の被害者はマリーだ」
俺はそう言って後ろにいるマリーを見ると、彼女は自分に話が降られるとは思っていない様子でビクッとした。
「え?あたしですか?」
「そうだったな・・・テオプアの貴族が迷惑をかけてしまった。お詫びとしてギルドで可能な限りの便宜を図ろうと思っている」
「・・・では、家具が見たいです。あたしはデザイナーとして今回ここに来たので」
「分かった・・・一応ジェコネソにもインテリアの工房や倉庫がいくつかあるが、王都でも見学ができるように手配しよう・・・それでいいかい?」
王都の工房での見学?・・・それなんか面白そう!
「はい!それでお願いします!」
マリーもその条件を聞いてかなり上機嫌になっている。
これであのバカ男爵の件は終わりかな。
「そう言えば光輝達がギルドにいるって事はメンバー登録はしたのか?」
「ああ、メンバーカードは発行してマリー達が職人ギルドに登録を・・・そういえば登録は出来たのか?」
才に言われて気付いたがワイト達は職人ギルドの登録を済ませたのだろうか?
「・・・いえ、登録する最中でマリーさんが絡まれましてそれどころではなく」
デューオが説明してくれたがまあ、仕方ない・
「ならここで済ませてしまおう・・・ウィリアム頼む」
「かしこまりました社長・・・では登録希望の方のメンバーカードをお預かりします」
才が後ろのウィリアムという大男に指示を出すと彼がマリー達のカードを預かる。
「私、ジェコネソ支部のギルドマスターを務めさせていただいている、ウィリアム・フレムド・ヴァイキングと申します。以後お見知りおきを」
この大男がギルドマスターだったのかよ!
「今後、ギルドでのトラブルがあったらウィリアムに伝えると良い」
「そう言えば気になっていたんだけど、グランドマスターって?」
ギルドの長がギルドマスターなんだよね?
俺が質問するとウィリアムが答えてくれた。
「ギルドとは最初サイ殿とそのお仲間で立ち上げた支援組織なのですよ。今ではテオプアの各所に支部を立ち上げ、他国にまで影響を与えるほどの巨大組織にまで成長しました。支部のギルドを束ねるのが支部長、そしてその上に立つサイ殿が社長なのです」
ギルドマスター・・・中間管理職だったのか。
「内乱で職を失った者が後を絶たない頃でしたからね・・・サイ殿はそんな民たちを救おうと仕事を探す者、人材を求める者を引き合わせる組織を作ったのです。当初はたしか『人材派遣会社』っと呼んでいたのですがね、いつの間にかギルドという名前が定着したのですよ」
「広めたのはヒュウなんだがな」
才はため息を漏らしながらもウィリアムと同じように懐かしんでいた。
そんなやり取りをしているとウィリアムはポケットから一つの判子を取り出してワイト達のメンバーカードに押していく。
「これで職人ギルドの登録が完了です。仕事の依頼などは受付に検索端末がありますので後ほど使い方の説明をします」
「検索端末?なんか凄くハイテクな言葉が聞こえたんだけど」
ここ異世界だよな?時代背景大丈夫か?
「それも我が国の宮廷魔導士殿が開発されたもので、支部の依頼情報を共有するのに使っています。メンバーカードに登録された個人のランク、達成数、依頼の種類などからその人に適した依頼を見つけやすくしているのです」
ハイテクだな!凄いな宮廷魔導士殿!
「最初は依頼の紙を掲示板に貼るようにしていたんだが実力のない奴が金目当てに受けるやつが多くてな、そのためにランクや達成数で采配するようにしたんだ。あと依頼の数が多すぎたんでそういう仕分けで見やすくするために作ってもらった」
「その事でヒュウ殿が不満気でしたね『雰囲気が無い』って」
確かに効率的だな・・・っと俺が感心したように聞いていると、俺以上に興味深そうに聞いていたのがゾアだった。
「へぇ、その宮廷魔導士って相当優秀な技術者なんやな。是非おってみたいわ」
「近い内に紹介する。今は王都で研究所に籠っているが、珍しい魔道具とかあれば食いついてくるはずだ」
「なんか親近感湧くな、その宮廷魔導士と」
確かにゾアも研究所に籠る事は結構あって、食事の時間とかはメリアスが無理やり連れ来た事が何度かあったな。
「それとワイト殿ですがまだ子供という事もあって受ける仕事には制限がかけられていますのでご了承ください」
「まあそれは仕方ないか。子供に危険な仕事はさせられないよな」
ワイトは少し不満そうな顔をしていたが俺が仕方ないと言ったため納得した。
「ホワイトリー君・・・もし君が望むならテオプア一の鍛冶師に会ってみないかい?」
「テオプア一の鍛冶師ですか?」
「今丁度ジェコネソを拠点に活動しているからな。鍛冶現場は見せてくれるかは分からないが作品は見れるはずだ」
「会いたいです!是非お願いします!」
目を輝かせて言うワイトは無邪気に才の提案に乗った。
「それじゃ向こうとの確認が取れ次第会うとしようか」
なんというか才が来てからかなりトントンとこちらが望むものが手に入ってきている気がする。
「さてギルド関連の話はこれでいいかな。光輝とはゆっくり話したいし場所を変えるとするか?」
「あそこ」
才が窓に指を指すと俺達はその先を見る。
そこには西洋のファンタジー世界には似つかない古風ある旅館が建てられていた。
面白い、続きが気になるなど思った方は是非評価をお願いします。
投稿のモチベーションにもつながり励みになります。
よろしくお願いします!




