52話 エイミィへの報告
宴を終えて明日の準備のために全員が仮設住宅で寝ている間俺も明日の為に部屋に戻っていた。
「さて・・・」
俺は一度一息つきモニターを操作してエイミィに連絡を入れる。
『あれ?光輝どうしたのこんな時間に?もしかして集落で何か起きた?』
「えーとまあ結論から言えば集落にいた亜人や精霊達は救出する事に成功したし皆無事だよ」
『そうそれは良かった』
全員無事だと聞いてエイミィは安堵した表情を見せる。
「あと悪い報告じゃないんだけど、色々とあって」
『何?光輝の事だから集落にいた亜人達をダンジョンに受け入れたいとか言い出すんでしょ?』
「あ、分かってた?」
『光輝の性格を考えればね・・・こっちにいる亜人達もダンジョンでの暮らしに馴染んでいるし百人くらい増えても大丈夫でしょう』
亜人の事はエイミィにも予想されていたか・・・まあ、エイミィの許可も出たしこれで大きな課題はクリアだな。
「ありがとうガウス達も喜ぶよ。明日には引っ越しの準備をしてダンジョンに戻る予定。数は50人くらい」
『分かったわ。グラムにも移住者の件伝えておくわ・・・ところで光輝何か隠していない?』
「・・・えーと実はかくかくしかじかで」
とりあえずエイミィに今日起きたことを全部話した。
・ルヌプ兵の事
・邪神ザズムフと戦った事
・精霊帝シオが現れてエドに猛烈アプローチしていた事
『最後のは凄く興味あるんだけど、ちょっと待て!ザズムフってあいつ生きてたの?!』
「生きていたというか本人は残滓と言っていたけど」
邪神の話を間に挟んでスルーさせる戦法は空しく失敗しエイミィに問い詰められる。
『ザズムフはエドワードが倒したんだよね?』
「うん・・・最後に『抗えよ』って言っていたが。どういう意味だ?」
『・・・その事は戻ってから話をしましょ。邪神の話はフロアボス全員で情報共有したいから』
「分かった・・・それで精霊帝の件だけど『あたしがどうしたって?』・・・うぉ!」
突然俺の後ろに現れた精霊帝の声に思わず声をあげてしまった。
未だエドの結界の中にいるためシャボン玉の中に閉じ込められたような状態であるが本人は自分の魔力で動かせるからそこまで不便に感じていない様子だ。
「シオさん、いつのまに?」
「ふふん、エドワード様の結界のおかげで魔力が全然漏れないからね。これのおかげで気配とか全然感じさせないのよ」
自慢げに言っているが結局のところ結界に入ったまま移動していたわけか。エイミィとの話に夢中になっていたからドアが開くのも気付かなかったか。
「エイミィ久しぶりね。最後に会話したのは100年くらい前かしら?」
『相変わらずねあなたは・・・そうね、神狩りが色々と広まり始まった頃だったからそのくらいかしら?』
いつもだったら女神モードになっているエイミィだったがシオに対しては何かいつもと変わらない様子だ。
『光輝、シオは昔からの仲だから大丈夫よ』
「エイミィ人前だといつも大人ぶっているからね。コウキ君にはそのままなんだ」
なんか精霊帝に『君付け』で呼ばれたけどスルーしよう。
『光輝は私の恩人でもあるからね。最大限の加護を与えているわ』
「ああ、どおりでコウキ君からあなたの魔力を感じるわけね・・・ふーん、随分と気に入っているのね」
『あなたこそ、ウチのエドワードに随分とご執心みたいだけど?』
「そりゃ、あんな魔力を感じたら契約するしかないでしょ!というか邪神の残滓を倒して【勇者】じゃないってどういうこと?」
『相変わらず勇者マニアね』
「勇者マニア?どういうことだ?・・・現れた時もだが随分と勇者に固執していたみたいだが?」
今回の件だって精霊にとっては大きな問題なはずなのに精霊帝は動かなかった。
『簡単に言えばこの精霊帝は恋がしたくて勇者をさがしているの?』
「・・・どういう事?」
『なんか精霊達の間で契約者に恋するのがブームになったらしくてね、そのせいで精霊達が大勢役目を放棄して命あるヒトへなった時期があるのよ』
精霊にも恋愛ブームとかあるのか?
「あの時は大変だったわよ。当時の上位精霊達が纏めていなくなったし指示を出せる精霊が少なくて・・・若い精霊達を育てるのに私まで手伝わされて」
なんか有能社員が一斉退社した社長の愚痴みたいに聞こえる。
『そんなブームが起きていたんだけど、そこの精霊帝は乗り遅れたのよね』
「乗り遅れたんじゃないですぅ!あたしに釣り合う相手がいなかっただけですぅ!」
『っで、結局自分が契約するに相応しいのは世界に選ばれた【勇者】の称号を持つ人物って言いだしてずっと【勇者】を探しているのよ。仕事の殆どを部下に押し付けて』
なんだろう色々と思う事はあるけどそれを口にした瞬間ボコられそう。
「なるほど・・・っで、エドの魔力を見つけてやって来たわけか」
『残念だったわね。お目当ての【勇者】じゃなくて』
「まあ【勇者】じゃないけど、あたしと契約するのに相応しい人物なのは間違いないわ。だから絶対契約してみせるわ!そして念願の恋ってやつをするの!」
なんか目的が少しおかしくないかと思ったが、そういう考えもあるのか?
少し周りの空気に流されているような気がするが。
『まあエドワードに無理強いや害をなそうとしないのであれば私は特に気にしないわ。契約してくれたらエドワードがさらに強くなれるし』
まあエイミィの方も色々とメリットはあるよね。
「ええ、エドワード様の初めての契約はあたしがいただくわ!」
『「・・・あ」』
シオのやる気ある言葉に俺とエイミィはある事を想いだした。
『・・・えー、大変申し上げにくいんだけどシオ』
「何かしら?」
「エド・・・ノバさんともう契約してるよ」
衝撃の事実に部屋の空気が凍り付いた。
・・・すまんノバ・・・生き延びてくれ!
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