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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました  作者: 緑葉
第3章 ルヌプ侵攻編
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47話 暴走する上位精霊

「できた・・・これで」


今にも倒れそうな身体をなんとか持ちこたえつつナギは目の前の宝石を見て安堵した。


彼が作ったのは上位精霊を封じ込めるための封印具・・・に見せかけた精霊の魔力を回復させる道具だ。


「おい奴隷!完成したみたいだな!」


監視のルヌプへがやって来ると雑に魔法具を手に取った。


「ガキだと思っていたが随分と役に立ったな・・・坊主、お前は運がいい。この成果を元帥に報告できればお前をルヌプの軍事部門に入れるかもな」


男の言葉にナギが喜ぶ要素は何一つない、ただこの男が騙されている事だけがナギにとって喜びであった。男がこのまま魔法具を使えば精霊は回復する事ができ逃げ出すことが出来る。


そう思っていた。


だが男は魔法具を机に置くとそのまま上位精霊が封じられている透明ケースに向かう。


「ひひ・・・コーザ隊長は今で払っている。これほどのチャンスは無いよな」


男は上位精霊を見て不気味な笑みを見せる。


「火の上位精霊・・・これだけ衰弱しているんだ。契約するなんて簡単だろ」


男はまるで財宝を見るかのように欲に駆られた目をしていた。


「何故この集落が見つかったか知っているか?俺が見つけたんだ!懐かしい精霊の気配を感じてな!」


男は幼少期精霊の気配を感じ取ることが出来ていた。それは精霊使いにとって必要な事であり、素質がある証拠でもあった。そして彼は初めて火の下級精霊と契約する事に成功した。下級といえども精霊には強い力が宿っている。彼は精霊の力のおかげで並みの魔法使いよりも強力な魔法を放つことが出来た。


だが男はその素質と周りからの羨望によって狂いだす。自分は特別、他の奴より秀でている、そう思うように振る舞い続け生きてきた。


そしてある日彼と契約していた精霊が契約を破棄し忽然と消えてしまった。それもそのはず、精霊は純粋な魔力を好む。彼の歪んだ感情が混ざった魔力は精霊たちにとっては汚物に等しい。だから精霊は彼を避けるようになった。


たとえ精霊を感じ取る素質があっても彼は精霊に愛されなくなった・・・それが彼をどん底へと叩き込む。精霊が集まりそうな場所の捜索、儀式による召喚、様々な手を尽くしたが彼が精霊と契約する事は叶わなかった。次第にさんざん見下していた者からは逆に笑い者にされ生きていくこととなった。


そして何も目標もなく軍部へ入隊しダンジョン探索部隊へと編成された。だがこれが彼にとってチャンスが訪れる。ダンジョンへ向かう途中、かつて感じ取った精霊の気配を感じた。


彼は精霊の気配を辿り向かった先には精霊と共に暮らす亜人達の姿があった。彼は喜んだ、探し求めていた精霊を見つけることが出来た事に。そして嫉妬した、自分ではなく亜人が精霊と契約している事に。


男はすぐに国に集落の事を伝えた。精霊と契約している亜人の集落を発見したと。

亜人は奴隷として、精霊は兵器の道具に・・・それがこの男にとって最大の復讐となった。


「俺は再び精霊使いになれる!俺を捨てたあんな下級とは違う!上位精霊を契約して俺をさんざん見下していた奴を見返してやる!」


男は高笑いしながらケースに触れる


「さぁ!上位精霊よ俺と契約だ!感謝しろ!衰弱したお前を俺が救ってやるんだからな!」


精霊との契約にはいくつかの方法がある。


・対価を支払う

該当者:集落の亜人(魔力を対価に契約)、光輝(お菓子で契約(餌付け)


・互いの合意

該当者:エドワード(期間を設けて協力する形で契約)


基本的には上記の方法で精霊と契約をするのだが、もう一つ契約する方法が存在する。


精霊の魔力を自分の魔力に染める


この方法は精霊にとって『同意も無しに染められる』というのは屈辱と同義、精霊使いにとっては邪道とも言われている方法である。自分の魔力と精霊の魔力が同じになる事で強制的に契約し、一方的に契約を破棄できなくする方法でもある。


これはヒトで例えるなら結婚に近い。生涯ともにするという誓いであり、魔力を染められた精霊は以後契約者以外の者と契約する事も出来ない。


精霊の個体差によって染める時間は変わる。特に上位精霊ともなれば無抵抗な状態で何十年もの時間をかけて魔力を流し続ける必要がある。


だが今彼の目の前にいる上位精霊は消耗しきって下位精霊にも劣るほど・・・男はこの状態なら契約ができると考えたのだ。


「や、やめてください!精霊の魔力を染めるという意味を理解しているのですか?!」


精霊を愛するナギだからこそ男がやろうとする行為が許せない。それこそ今まで抑えられた感情が爆発するほどに。


「ああ?うるせぇ!俺が上位精霊と契約する瞬間を黙って見てろ!他の奴隷達も動くなよ・・・何かしたら仲間の首輪を爆破するからな!」


今にも飛び掛かりそうな亜人達は男の脅迫で動きを止める。


「さぁ・・・仲良くしようぜ、火の上位精霊!」


魔力をある程度流し込むと、男の目の前にモニターが出現する。そのメッセージを見た瞬間に今までにないほどに狂喜の笑みを見せる。


火の上位精霊・ジョーとの契約に成功しました

以下の能力が追加されました

【熱耐性V】【火炎魔法】【爆炎魔法】【魔力量拡張】【精霊眼】【火操作V】【魔力共有】


「ひゃあああ!やったぜついに上位精霊と契約に成功したんだ!」


男の声に亜人達は絶望した・・・自分達が敬う精霊がこんな男と契約させられたことに。そしてまた自分達は何もできなかったことに。


「はは!いいぜ、精霊との繋がりを感じる!あんな下級精霊とは違うデカい力と繋がったのが!」


男は笑い叫びながら亜人達の方へ手をかざす。


「さーて、火の上位精霊・ジョーの力お前達で試させてもらおうかな」


新しいおもちゃで遊びたい・・・そんな目をした男であるが次の瞬間彼の腕が干からびていく。


「な、なにが起きて・・・」


男は上位精霊との契約の意味を理解していない。特に魔力を殆ど失った状態の上位精霊はいわばカピカピに乾いたスポンジのようなもの。【魔力共有】で繋がった今、男の魔力は吸い尽くされようとしていた。


「や、やめろ!まだ上位精霊の力を試せていない!こんな所で死にたくは・・・」


男はまるでミイラのように干からび、無残にもあっけなく死を迎えてしまった。


「上位精霊様?」


部屋に残されたのは亜人達と火の上位精霊・・・数秒にわたる沈黙に包まれた部屋であるがそれを打ち破ったのはジョーである。


「gaaaaaa!!!!」


魔力を得たことで彼を包む透明ケースはあっけなく割れ、脱出に成功する。だがそれが良い結果だとは誰も思わなかった。


歪んだ感情を含む魔力は精霊にとって汚物・・・有害物質である。そんな魔力を持った男から吸い尽くせば何が起きているのか容易に想像できる。


暴れ出すジョー、彼の身体から炎となった魔力があふれ出す。


「上位精霊様!落ち着いてください!」


必死に声をかけるナギであるがその言葉が今の彼に届くことは無い。ジョーは炎で作った剣を手に取りナギの方へ向かう。


『これが罰なら受け入れる』・・・ナギは心の中でそう思いジョーを見つめていた。彼が苦しめられているのは自分達のせいだ。少しでも彼の苦しみを和らげられるのならこの命を差し出してもいい。


ナギの思いを応えるかのようにジョーの炎がナギを襲う・・・だが彼の前に一人の男が現れ炎をかき消した。


「・・・間に合わなかった事に心から謝罪する」

「・・・誰?」


ナギの目の前には黒いマントを纏い黒い仮面をつけた男が立っていた。


「我はマスク・オブ・オリジン!精霊とお前達を救いに来た!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

※補足


【魔力共有】でエドワードが魔力を大量にノバに流れましたが契約を行った後に魔力を渡したためノバがエドワードの魔力に染まっていません。エドワード本人が染めようと思えばノバは抵抗できずに染まる事は可能ですが、エドワードはそんな事はしません。


あと契約した後、精霊が契約者を気に入り生涯尽くす意思があれば契約を行った後も定期的に魔力を流すことで『染まる』ことは可能です。


※補足2

ルヌプの男がジョーと強制的に契約したことで得たスキルがエドワードよりも多いのはノバとの契約で得られるスキルをすでにエドワードが持っていたためです。

面白い、続きが気になるなど思った方は是非評価をお願いします。

投稿のモチベーションにもつながり励みになります。

よろしくお願いします!

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