46話 森での戦い
ダンジョンから出て二日目・・・俺達は集落の入り口を発見した。
「早いなオイ!」
徒歩5日ぐらいかかるとか言っていたのに2日目の朝にもう入口だよ!
「まあ、エドワード様の強行にガウスさん、ナミちゃんの案内もありましたから」
俺のツッコミに付き合ってくれているグンナル・・・まあ、彼を含めエド以外はこんなに早く到着するとは思っていなか。
「それでエド、作戦はこのまま進めるでいいんだな?」
「ええ、ナミ曰くこの時間帯はちょうど技術者の亜人達が奥の洞窟で封印具を作らされ、残りの亜人は食料調達のために入口に集められるそうです」
「なら食料調達の亜人達は俺達に任せてくれ、エドは洞窟の方を頼む」
「っは、ご武運を」
ご武運ね・・・まあ、戦うのは俺じゃないんだけどね。
俺はそう考えつつも無言でモニターを操作する。
さて・・・陽動作戦を開始しますか。
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「よーし、奴隷共俺達の食料を集めてこい・・・言っとくが逃げ出そうなんて考えるなよ!」
ルヌプ兵の隊長らしき男が不敵な笑みを亜人達に見せつつ指示を出す。暗い顔をしながらも逆らう気力も無く亜人達はただ黙って頷く事しかできない。
「伝令!森の方から巨大な狼の魔物が接近しているとのことです!」
「魔物だと?見張りはどうした?新武器で撃退は出来なかったのか?」
「現在交戦中・・・ですが援軍を要請しています」
「っち!3班と6班は俺と一緒に援軍として向かう。奴隷は何人か連れて行く、いざとなった時の肉壁だ!残りは牢屋に入れて周囲の警戒だ」
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「コウキ様、ルヌプ兵20名ほど援軍としてこちらに向かってきています。亜人も一緒のようです」
「・・・いざって時の囮にしようとでも考えているのか?いや、確か首輪をしているから人間爆弾か?・・・オウカ!徹底的に恐怖を与えてやれ!」
ボーロックからの報告を受け俺は目の前で暴れている狼に指示を出す。
30階層に生息するユニークモンスター:魔天狼、名前はオウカ・・・オーガ侍に続き俺がデザインしたモンスターだ。モンスターの名前は俺が考えたダジャレシリーズの一つであるがその強さは非常に高い。
狼であるが飛行能力を持っており、機動力とパワーのステータスはかなり高い。美しい毛並みはまさに極上の絨毯のように気持ちよく俺の癒しモンスターの一体でもある。
「ボーロックは引き続き蝙蝠を使って武器を使わせないように邪魔をして。あとはサクとグンナルが対処するから」
「御意」
そう言ってボーロックの蝙蝠達がルヌプ兵に襲い掛かり、注意力を分散させる。そしてその隙を突くようにサクが秘密兵器が武器を構える。
「捉えました・・・ゾア様特製、更新弾!」
サクが持つライフルから放たれる弾丸は正確にルヌプ兵の武器に着弾する。
「何が起きた・・・は?魔法具が発動しない?!」
混乱するルヌプ兵達は何度も魔法具を発動させようとするも反応を示さなかった。
ゾア特製の対魔法兵器、更新弾。無力化の刻印魔法が施された弾丸を刻印がある場所へ当てる事で、魔法具に施された刻印魔法を無力ささせるものだ。
エドと何か作っていたのは知っていたがこんなものまで作っていたとは・・・
サクの正確無比な射撃で次々とルヌプ兵の武器を無力化させ、その隙にオウカとグンナルが兵士を蹂躙していく。元々武器の性能に頼った兵士・・・武器が使えなくなった瞬間弱腰になってしまってる。
ここはダンジョンではない・・・死んで復活することもない。それは理解しているのだが目の前でルヌプの兵士が死んでいく光景を見ても不思議と俺はそこまで動じることは無かった。
「【精神強化】が意外なところで発揮されているな。無かったらきっとこの場で吐いていたはず」
正直、嬉しい効果とは思いたくないが今はこの効果のおかげで俺は精神を保てている訳だ。
それから数分後にボーロックが言っていた敵の援軍がやって来た。そして援軍の先頭にいた隊長らしきナマズ髭の男が叫び出す。
「私はルヌプ軍・ダンジョン攻略部隊所属のコーザ・マッカートニー中佐だ!随分と暴れたようだな!そこにいる女は奴隷、男共は殺せ『ドサ』・・・え?ぎゃああ!私の腕が!」
コーザと名乗る男は俺とサクを見るやそう言い放った瞬間・・・目の前に現れたグンナルの刀によって腕を切り落とされた。
「キサマ・・・誰を殺すと言った?」
キレ気味のグンナルを前にルヌプ兵達は腰を抜かしていた。
「ま、まだだ!おい奴隷共こいつにかかれ!」
コーザがもう一つの腕から水晶らしき物を取り出すと亜人達の身体が震えだす。多分アレが首輪の起爆装置なのだろう。
「サク!」
「御意!」
俺が言いたいことをすぐさま察知し、サクは更新弾を水晶に当てる。
「な!何を・・・魔力が込められない」
コーザは何が起きたのか理解できない状態であるが、そんな状態でもグンナルは容赦なくもう片方の腕を切り落とした。
「ぎゃあああ!腕が!私の腕が!」
「グンナルやりすぎだ・・・血の流しすぎで死んでしまう」
「大丈夫です、熱で止血しています」
グンナルの言う通りコーザの腕から血は出ていない・・・かなり荒っぽいやり方ではあるが命はまだ取っていない。
「さて、お前達もこうなりたくなかったら武器を捨てるんだな」
グンナルの言葉にルヌプ兵はすぐさま武器を放り投げた・・・とりあえず兵士達はこれで無力化できたかな・・・次は。
「あ、あの・・・あなた達はいったい」
「ああ申し遅れました、俺は神崎・エドワード・光輝。水の上位精霊・ノバとガウスさんの依頼で精霊とあなた方を助けに参りました」
「ガウス・・・って、長は生きているのですか?」
「はい、今は別行動ですが・・・あと昨日ナミという少女を保護しました」
「ナミ・・・ああ、良かった。あの子も無事なんですね」
俺の言葉に亜人達は涙を流して喜んでいた。
「とりあえずその首輪を先に何とかしましょう」
起爆装置は無力化できたけど流石に爆弾を身に着けているのは落ち着かないし。
「大丈夫です、この首輪でしたら」
亜人の一人がそういうと自分の首輪を掴み軽々と外してしまった。
その光景に俺だけでなくルヌプ兵達も驚いていた。
「この程度の首輪・・・すでに外れるように仲間が仕組んでくれていました」
「え?じゃあなんで付けたまま?」
「外すことは出来ても戦う事は出来ません・・・相手の目を欺くために着けていました。それにいざ爆破させようとした時にすぐに外して投げつけることも出来ますし」
なるほどね・・・だが結構リスキーだったんじゃないか?
俺は安心と呆れた気持ちを持ちつつルヌプの兵士を見た。
「さて・・・それじゃルヌプ兵・・・話をしようじゃないか」
「くそ!ルヌプを敵に回したこと後悔するぞ」
両腕を失ってもコーザの目は変わらない様子だ・・・ここまで来るとある意味凄い精神力の持ち主だ。
「お前達が使っていた武器の事は知っている。アレを使ってダンジョンに挑んでいたこともな」
「っち!貴様テオプアの手の者か!」
テオプア?確かダンジョンの東の方に隣接していた大国だったな。エイミィから数年前まで色々と問題が起きていたって軽く説明を受けたが・・・こいつらは俺達をそのテオプアの人間と勘違いしているみたいだ。
「お前達何故亜人の集落を襲った」
「っは!天は我々を味方をしたんだ!あんな便利な亜人達が暮らす集落を偶然見つけられたんだからな!だからダンジョンも我々を導いてくれているはず・・・今頃仲間たちがダンジョンで快進撃を繰り広げているだろうな!」
不気味な笑みを見せるコーザだが彼は知らない。ダンジョンへ向かったルヌプ兵達は全滅している事に。
「お前たちはあの武器を使ってダンジョンを攻略するつもりか?」
「それは手段にすぎない・・・我々の最終目的はテオプアへの侵攻!そしていずれ他の国にも攻め入ってルヌプは最強の大国へ生まれ変わるんだ!」
どうやらあの兵器を使って戦争をするつもりだな。というかこのコーザという男の狂言に付き合うのも嫌になってきた。
「とりあえず聞きたいことは他にもあるし、お前達には償いを『コウキ様危ない!』・・・え!」
一瞬にしてルヌプの兵士達が業火に包まれる。一瞬反応が遅れた俺だがグンナルが身体を引っ張ってくれたおかげで無事だった。
「ありがとうグンナル・・・でも一体何が?」
炎に包まれたルヌプ兵達は叫ぶも炎の轟音にかき消され、そして炎が収まるとそこには灰しか残らなかった。
「いったい何が・・・」
「ぶぁははは!これは傑作だルヌプが大国に戦争?馬鹿だろ自分達が手の平で踊らされている事にも気付かないとか」
俺達が振り向くと亜人達の中に一人、灰色の肌に山羊の角を持った老人が腹を抱えて笑っていた。
「実にご苦労だった。とても良いデータが取れたよルヌプ国の諸君。それに思わない収穫もできた!はじめましてテオプアの・・・いや、ダンジョンの主。俺の名前はザズムフ・・・・『災害の邪神』でも言えばすぐに分かるかな?」
高笑いするザズムフがそう名乗った瞬間、まるで時間が止まったと錯覚するようなプレッシャーを感じた。エイミィのようか神々しさでもなく、フロアボスのよう存在感でもない・・・ただ危険と感じさせる何かだ。
ザズムフ・・・エイミィから聞いていた邪神の一柱が俺達の目の前にいた。
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