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ダンジョン作ったら無理ゲーになりました  作者: 緑葉
第3章 ルヌプ侵攻編
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45話 火の上位精霊・ジョー

始まりはとある報告からだった。


幼い下位の精霊達が精霊界に戻っていないというのだ。


精霊の中にはヒト族と契約しその眼で世界を見て行く者もいれば、精霊としての役割を放棄し精霊という存在から寿命があるヒト族へ変わる者もいる。そうした精霊、元精霊達はヒト族が暮らす世界に長く滞在し精霊界に戻らない例はここ最近ではよく起きている。


だが数十もの精霊達がいきなり戻ってこないのは見過ごせないものだった。


そのため火の上位精霊である俺、ジョーが精霊達が消えたとされる場所の調査をすることになった。


上位精霊ともなるとその巨大な魔力のせいで世界の魔力に影響を与えかねないため力は大幅に制限される。ヒト族による契約を交わせばその制限も外れるのだが調査するだけならこの程度でも問題はないはず。


・・・そのはずだった


下位の精霊達が消えた場所を調査すると俺は目を疑いたくなる光景を目の当たりにした。


人間が持つ武器に幼い精霊達が閉じ込められていたのだった。

その武器の性能は見た瞬間に理解できた。

あれは精霊の力を無理やり引き出させる代物・・・精霊の命を消費しているものだ。


そして武器が壊れる度に精霊達の叫び声が聞こえた・・・だが人間達はそんな声を意に介していない様子で次の武器を手にする。


そこからの記憶は殆ど無い・・・あるのは湧き出る感情を抑えずにそのまま暴れたこと、どれだけの人間を焼き尽くそうとこの怒りは収まる気配がしなかったことだけだった。


そして次に目が覚めた時、俺は透明な筒状の物体の中に入っていた。

力は殆ど使い果たし身体も動かない、ただ意識ははっきりとしてきた。


周りを見ると何やら洞窟の中らしいが、所々に見たこともない道具が沢山置かれていた。中には忌々しいあの武器も置いてあった。今すぐにでもアレを破壊して精霊達を救い出したい気持ちでいっぱいだったが、残念なことに俺の身体は動かす力すら残っていないようだ。


ああ、俺は捕まってしまったのか・・・情けない。人間達を焼き尽くす前に幼い精霊達を開放すべきだった。そんな後悔に押しつぶされそうになりつつ、俺は再び眠りについた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


次に目を覚ますと目の前には一人の亜人の少年がいた。亜人特有の多種類の魔力を感じ取られる。本来亜人はその魔力のバランスが取れずに命を落とす存在・・・ゆえに他種族での交配はこの世界では禁じられているはず・・・それでも子をなそうとするのだから愚かとしか言いようがない。


まあヒト族好きな(レヴィ)(ヴァーヴォ)曰く『愛』による行動らしいが俺には分からない。俺はそういったものには全く興味が無いからだ。


っと、思考が脱線してしまった。


目の前の少年だが信じられない事にヒト族の魔力以外に精霊の魔力も感じ取れた。いやこの場に精霊は俺以外いない・・・少年から感じられるのは精霊の魔力の残滓である。


なるほど亜人は多種類の魔力のバランスを崩すと命を落とす。その延命措置の為に精霊の力を使っていたのか。体内の魔力のバランスを保つ程度なら下位の精霊でも可能だ。ここ最近下位の精霊が亜人と契約する話は聞いていたがそういう理由だったのか。


少年の恰好からして精霊を物扱いしていたあの愚か者たちとは違うのは一目瞭然だ。みすぼらしい恰好をした少年はおそらくあの人間達に奴隷として捕まったのだろう。精霊だけでなく同じヒト族すら物扱いとは実に腹が立つ。


そして何やら大きな音が聞こえると扉の方から少年と同じ格好をした大人の亜人達とあの忌々しい恰好をした者達が入ってきた。そういえばあの者達と同じ格好をした者が『ルヌプ』と名乗っていたな。


先頭を歩いていた亜人達は少年を見るとすぐさま手招きし、少年は急いで集団に紛れ込み何事もない様子で亜人の集団たちと一緒に整列した。ルヌプの者は少年が先にこの場にいたことに気付いていない様子だ。


「よし奴隷共今日も作業に取り掛かれ」


ルヌプの男が偉そうに指示を出すと亜人達は机に配られた石を手に取り道具で何か彫り始める・・・いや、あの石・・・あれはあの武器に取り付けられていた物だ。つまりここであの武器が作られているわけか。


扉から複数人のルヌプの男たちが入ってくるとその後ろには透明な箱に閉じ込められた下級精霊たちがいた。いなくなった下級精霊達はかなり衰弱している様子だ、魔力を吸収することも出来ずに閉じ込められている様子。


そしてルヌプの男が亜人が作った道具を手に取ると精霊に近づける。すると精霊はそのまま吸い込まれるように消えた。このように精霊達を使っているのか・・・この外道共が!


今すぐにでもここを焼き払いたい気持ちだが力を使い果たした俺はただ見る事しかできなかった。己の無力とルヌプへの怒り・・・そんな衝動に駆られるも何もできなかった。


そしてそれから数日俺は毎日この地獄のような光景を目にすることになる。そして次第に俺もあの精霊達のように閉じ込められるのだと理解した。何度か下位精霊達が閉じ込められた魔道具を俺に近づけるルヌプの奴がいたが、道具に吸い込まれることは無く逆に道具が壊れていった。


どうやら封印具でも上位精霊を閉じ込める道具はまだ出来ていないらしい。だが道具が壊れる度にルヌプの奴らは作った亜人達を殴っていた。そして特に殴られていたのは毎日他の者達が来る前に俺を見ている()()()()だった。


少年は毎日俺を見ては『ごめんなさい』や『裁きは受けます』とつぶやいていた・・・ここにいる亜人達はあの道具を作っているが少なくとも精霊に対する敬意は持っていた。その証拠に精霊があの道具に吸い込まれる度に亜人達は悔しそうな表情をしていた。少なくともルヌプの外道共とは違っている。


初めは亜人達も焼き尽くそうと思っていたがその考えは間違っていた見たいだ。


ここにいる亜人達は望んであの道具を作っている訳ではない・・・それを知ることは出来たが現状を何とかしない限り彼らは精霊を傷つけ続けることになる。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


それから数日後。いつものように少年は誰よりも早くこの場にいた。

そして少年の後ろには大きな宝石が置かれている。


「上位精霊様・・・今日から僕は貴方を閉じ込める魔法具を作ります。ですがこの道具は【魔力吸収】の刻印を掘ります、そうすれば周囲の魔力を吸い取りあなた様を回復してくれるはずです・・・信じてほしいとは言いません。ですがあなた様を逃がすためにはこれしか無いのです」


少年は胸を抑えつけながら俺に語り掛ける・・・精霊を失った少年には体内の魔力のバランスを取る存在がいない。もって近いうちに少年の魔力は暴走し死に至らしめるだろう。


「僕は契約していた精霊様を失いました・・・これは罰なんです。精霊様を殺した僕の罰なんです」


何が罰だ・・・少年から精霊を奪ったのはルヌプだ!お前がどれほど精霊を傷つけたくないかなど理解している!


「僕が死ぬ前に必ず魔道具を完成させます・・・だからどうか他の精霊様達を助けてください。裁きは受けますから」




涙を溢しながら俺に語り掛ける少年・・・俺は心の底からこの少年を救いたいと思った。

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