44話 期間限定契約と報告
「そこで提案なのだがノバ・・・我と契約しないか?」
エドワードの提案に俺達は『え?』と思い彼を見た。
「精霊は契約せずにこの世界に現れる場合、力を大きく制限される。加えて我々と離れてルヌプ兵と戦った際さらに力を消費したはずだ・・・なら、契約して万全な状態であった方が良いのではないのか?」
エドはそう提案するがノバはあまり乗り気ではない様子だ。
「ノバさん、そんなに契約が嫌なのですか?」
「いえ、エドワード殿ほどの実力者であれば契約できるのは誇らしく思えます。ですが今の状態で解約するのは少々リスクがあります」
ノバ曰く、現在彼の力は本来の3割以下らしい。この状態で契約を行った場合本来の力を取り戻す代わりに契約者が魔力を肩代わりしなければならない。上位精霊ともなればその魔力量は膨大であり、魔力を渡しすぎて命を落とす可能性もあるらしい。
「なら問題は無い・・・我の魔力量を舐めては困る」
まあエドの魔力量はフロアボスの中では2番目に高いし、人間という枠で見ると人外レベルだからな。設定した魔力とかエイミィに見せた時は『人間の魔力量じゃない!』とか言っていたな。
「・・・分かりました。では精霊達を助ける間の期間限定ではありますがエドワード殿を契約者と認めます」
ノバがそう言うと彼の身体が光り出し光の線がエドに当たる。俺が下位の精霊と契約した時はこんな事は起きなかったが、上位の精霊だとこういう現象が起きるのだろうか?
「エド?調子はどうだ?」
「問題なく契約ができたようです・・・それに精霊の力が少しだけ使えるようで」
俺はエドのステータスを確認すると能力の項目にいくつかの文字が追加されているのを確認した。
【水操作V】【水中呼吸】【精霊眼】【魔力共有】
「なんか強そうなのが追加されているな、特に【精霊眼】ってどんな能力なんだ?」
「簡単に言えば空気中の魔力を色として視認できる能力ですね。精霊では当たり前の視界なのですが人間からすれば全く違う景色になっていると思います」
ノバはそう説明するが俺はそんな能力は無いから分からない。エドは早速【精霊眼】で辺りを見て興味深そうにしていた。
「なるほどこれが精霊達の世界なのか・・・空気中の魔力を使った魔法効率が上がりそうだ」
「ノバさんはどうなの?何か変化はありますか?」
ノバの方を見ると何故かノバは辛そうな様子だった。
「っちょ!大丈夫ですか?!」
「す、すみません・・・エドワード殿の【魔力共有】のせいで大量の魔力が流れてきて・・・」
っちょ!これマズくないか?
「エド!【魔力共有】を抑えることは出来ないか?」
「ん・・・やってみよう」
エドが何か念じ始めるとノバの表情が和らいだようで呼吸を整え始める。
「驚きました・・・まさか精霊すら圧倒する魔力。エドワード殿は本当に人間ですか?」
おい!人を勝手にバケモノ扱いするなよ・・・設定したのは俺だけど。
「我は生まれた時からこの魔力を持っていたが?」
「女神エイミィの守護者の一人・・・これほどの実力者だとは」
「ノバさん、大丈夫ですか?」
「ええ・・・もう大丈夫です。すみませんお見苦しい所を見せてしまって」
ノバは面目なさそうに言うが、かなり苦しそうだったぞ?
「魔力が大量に流れ込むってそんなに苦しかったんですか?」
「苦しい?とんでもない!あれほどの魔力が流れてきて正直驚きましたが全身を包む快感。力が溢れ出るような気分で・・・自分が自分でなくなってしまうような快楽。正直あの快感を覚えてしまうと、他の人間との契約を遠慮したく思えてしまいますよ」
にやけた顔をしながら説明するノバ・・・なんかキャラが崩壊していないか?というかノバがなんかヤバい薬に手を染めたような感じになってきているぞ。
「エドワード殿・・・魔力は十分回復しました。できれば魔力の共有は極力控えてもらえないだろうか」
まあ、あんな感じが続くのは今後支障が出てしまうだろう。
「ふぅ・・・本来精霊の方が人間よりも何倍も魔力量が多いので【魔力共有】した場合精霊側が肩代わりするはずなのですけど、エドワード殿の場合は逆みたいですね」
改めてエドの凄さを目の辺りにした俺達。その後、エドは警備をボーロック達に任せて部屋で休憩をすることになり、俺も部屋で寝ることにした。
「・・・あ、そうだ一応エイミィに連絡を入れておくか」
俺はモニターを操作してエイミィに連絡を入れる。
『やっと連絡が来た!光輝無事!』
「ああ、エドのおかげで集落の近くまで着いたみたい」
『うっそ?!集落の場所ってダンジョンからかなり離れていたよね?徒歩でも数日はかかる距離のはず』
「そこはエドが俺達を運んで飛んで・・・残りのメンバーは走って・・・」
今思うと本当ボーロック達に無茶させすぎたな。
「まぁ、他の皆も特に怪我もなく集まっているから明日は集落に向かう予定だ」
『そう・・・絶対に無茶なことはしないでよ』
「どちらかというとエドが暴走しないか心配だな」
『何?エドワードまた何かやらかしたの?』
「またって・・・まあ簡潔に言えばノバさんと契約した」
『はぁ?!ノバと契約って彼、精霊界から直接こっちに来たから能力とかかなり制限かかっていたはずでしょ?大丈夫だったの?』
どうやらエイミィも契約のリスクは知っていたみたいだ。
「なんかエドの魔力が多すぎたのか、逆にノバさんがキャパオーバーした」
『はぁ・・・出鱈目な強さなのは分かっていたけど、常識外れすぎでしょ。そんな彼を相手にするルヌプもご愁傷様ね』
「まあエドもボーロック達もやる気十分って感じだし速攻で救助して戻るよ」
『そうしてちょうだい・・・あとエドワードが暴走しないように注意しておいて。その気になれば国一つ簡単に亡ぼせるんだから』
まるで人間兵器みたいな言いぐさだけど、言っている意味は何となく分かる。
『エドワードは隠しているつもりだけど、アレ絶対光輝に良い所見せようと張り切っているんだから。今回の救助作戦は絶好のアピールポイントだからね・・・他のフロアボス達も自分が行けば良かったとか呟いていたし』
アピールって・・・あいつらがダンジョンに貢献してくれている事は俺が良く知っているのに
『武人肌なのが多いのよ、主に表ダンジョンのフロアボス達は・・・』
「ハハハ・・・確かに」
そういえば全然挑戦者が来ないから島発展の方に注力してもらっているけどやっぱりストレスとか溜まっているのだろうか?逆に地下フロアのボス達は島発展の方をイキイキとやっているような気がする。
『まぁ、ダンジョンは特に問題は無いわ・・・デューオ達がダンジョンの運営をしっかりやってくれているから問題は無いわ』
「それは良かった・・・あいつらにも迷惑かけちゃったし今度なにかお礼を考えておかないと」
『そうそう、今日アルラがね・・・』
その後俺はエイミィの何気ない会話に夜中まで付き合わされたのだった。
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