41話 野営はビジネスホテル(?)
救助メンバー出動1日目
俺とガウスが現在エドワードの魔法によって空中ジェットコースターを体験中だった。時々後ろを振り向くと全速力で追いかけてくる残りのメンバーたち。
獣人のランカはその身のこなしから獣道を易々と走ってついてくる。機甲人のサクは足にホバー機能でもついているのか宙に浮いて移動していた。若干前のめりの姿勢を維持しながらついてきておりかなり余裕そうである。そして一番苦労しているのはグンナルのようだ。流石妖人族・鬼種と言うべきか体力は非常に高いが馴れない獣道で他のメンバーと比べてペースはやや遅い。そんなグンナルがはぐれないように屍人族・吸血鬼種のボーロックの分身体である蝙蝠が一緒に飛んでいる。
ちなみにノバはというと
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とある場所
ダンジョンで惨敗したルヌプ兵たちは『偶然にも』再会した他の部隊と合流し拠点としている亜人達の集落へ帰還しようとしていた。
「くそ!ダンジョンに行ったのに全然成果を出せなかった」
「しかも貴重な魔道具まで失うとかどう説明したらいいのか」
「あれは消耗品だ、とりあえず取れだデータだけでも報告せねば『見つけましたよ』・・・な!人が浮いて」
突如ルヌプ兵たちの上空に現れた青髪の男性。口調や顔は穏やかでも彼から放たれる魔力は荒々しく威嚇としか感じ取れないものだった。
「コウキ殿からルヌプ兵たちをダンジョンから追い出したと聞いていたのでもしやと思って探しましたが予想通りでした」
光輝達が出発した時ノバはある目的のために別行動をとることになっていた。
目的は単純明快
『制裁』である
「何者だ貴様!我々がルヌプ兵だと知っての態度か!」
「ええ、知ってますよ。初めまして『小物』を意味するルヌプの皆さん。私は水の上位精霊のノバです」
ノバの自己紹介によってルヌプ兵達に緊張感が走る。
「水の上位精霊だと」
「マズいですよ隊長・・・これって俺達への制裁じゃ?」
「いや、これはチャンスだ!ここで上位精霊を捕らえれば成果として報告・・がは!」
隊長らしき人物が武器を構えようと剣を掴もうとした瞬間、水の弾丸が彼の頭を貫いた。
「このような者達に幼い同胞たちが苦しめられ命を失ったというのか・・・」
ノバの怒りはすでに限界を超えていた。
「来世は愚かな国に生まれない事を願うんだな!」
そしてノバによる蹂躙劇が開始されダンジョンに挑んだ兵士達は人知れずその命を落としていったのだった。
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あれからかれこれ4時間近くこのペースでいるがどれくらい進んだんだろう。
「ガウスさん、今どれくらい進んだか分かりますか?」
『(゜▽゜)・・・ハンブンイジョウワコエテイマスネ』
「っちょ!魂!魂が抜けてるぞ!」
白目で放心状態のガウス、口から出てる魂みたいなものが話しかけてきたような気がするが気のせいであってくれ!
「エド!ガウスさんがなんかヤバそうだぞ!」
「ふむ・・・日も落ちてきているし今日はこの辺りまでにするか。ボーロック、この辺りで休むのに適した場所は無いか?」
「2時の方に見える河原が良いかと思います」
「よし、ランカ達をそこへ誘導してくれ」
「御意」
そして俺達は河原の方へ向かい後からやってくるランカ達を待った。
「おーい、ガウスさん生きてますか?」
「はぁはぁ、死んだ集落の仲間が何度か見えかけましたがなんとか生きています」
エドの魔法で飛んでいたとはいえとんでもないスピードで移動していたからな。こんな体験滅多には出来ないだろう。
「コウキ殿は平気だったのですか?私と同じように飛んでいたはずなのに」
「そういえば平気だな・・・なんでだ?」
「コウキ様には【精神強化】の【スキル】を所持していますため、並大抵の【恐怖】やには強い耐性を持っているのです」
そう言えばそんな【スキル】があったな。【ゴッドスキル:リンク】で大量に手に入ったけどアルラにうかつに使わないように釘を刺されたからあまり試せていないから忘れてた。
「つまりよほどの事がないと動じないって事か」
「ですが恐怖は生存本能の一つです・・・戦いの中では必要な時もありますので高すぎるのも注意です」
確かに恐怖も感じずにただ突っ込むのは蛮勇とも言えるからな。
「やっと着いた!エドワード様早すぎますって」
「・・・残りエネルギー10%未満。休憩及びエネルギー補給推奨」
「はぁはぁ・・・途中何度かはぐれそうになった。ボーロックがいなければ絶対にはぐれていた」
「いやグンナルの適応力も見事としかいえない。途中から獣道にも難なく進めるようになっていたし、後半は距離を縮めていたではないか」
やって来た、ランカサクグンナルにボーロック、全員疲労困憊と言った様子だった。
「よし揃ったな。今日はここで野営をする。しばらくは我が結界を張っておくからお前達は休憩していろ」
エドがそう言って周囲に結界を張るといくつかの箱型の魔法具を取り出した。
「エドそれはなんだ?」
「ゾアが開発した簡易型宿泊セットです・・・これに魔力を注ぐと・・」
エドが箱に魔力を注ぎ込むと箱はみるみる大きくなりやや大きなコンテナへと変化した。キャンプセットだからどちらかというとプレハブに近いのかな。
さすがに7人だと狭いだろうと思いつつも中に入ってみると明らかに外見の箱よりも中のスペースが広すぎた。
「え?なんか広くない?」
「【空間拡張】が施されていますから。コウキ様の部屋はあちらです」
そう言ってエドが差し向けた先にはいくつもの扉が設置されている。
案内されるままに扉を開くと中は10畳くらいのスペースはあり、シンプルにベッドと机が用意されていた・・・なんというか窓の無いビジネスホテルの一室と言えばしっくりくる雰囲気だ。
「申し訳ございません、本来であればコウキ様専用としてさらに豪華な部屋を用意すべきなのですがまだ開発段階のようで今回はこのような質素な部屋しか用意できず・・・」
「いやいやいや!これ野宿のはずだよね?!俺キャンプ的なものを想像していたんだけど」
「なるほど天幕ですか・・・少々防衛には不安点があるが思いますがコウキ様の望みであれば」
「いや、なんか俺が想像しているのとエドが考えているのはかなりズレている気がするから今は置いといて・・・皆もこのレベルの部屋なのか?」
「はい、休憩のための部屋にはトイレにシャワールームが付いており、料理が作れるキッチンや食事が出来るラウンジも完備しています」
あれぇ?野営ってこういうものだっけ?
よし考えるのは辞めよう!じゃないと・・・・
「ハハハハハ、ナンデスカコノヘヤワ?ワタシワマタユメヲミテイルノダロウカ?」
俺よりも先にキャパオーバーしたガウスは目を点にした状態で自分の部屋を見ていた。内装は俺の部屋と全く同じのようだな。
「ガウスさん、一旦寝て頭をリフレッシュしましょう」
「うむ、精神的な疲れはあるようだし寝ているのが良いだろう」
「ワカリマシタ。デワ、オヤスミナサイ」
そう言ってガウスは部屋のベッドに潜り込むとまるで電池が切れたかのように眠ってしまった。精神的な疲れがあったのは本当のようだ。グンナル達も自分達の部屋を見ると俺とエドを凝視したが、何か悟ったのか何も言わずに部屋で休憩を取ることにした。
「あとはノバさんを待てばいいのかな」
ルヌプ兵の事を教えた時後で合流すると言い残して別行動を取っているノバ・・・まあ、何をするかは何となく予想はつくがルヌプは精霊の逆鱗に触れてしまったのだから俺達が関与するつもりはない。
「ええ・・・どうやら来たようです」
エドの結界内に入ったのか、感知したエドはすぐに外へ出て空を見上げた。
すると予想通りノバが空からやってくるのが見えた・・・一人の亜人の少女を抱えて。
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